グリーンランドのラッセル氷河。末端では氷がとけて滝となって流れ落ちる。だが、これは二酸化炭素濃度とは関係ないとマーク・モラノはいう=2017年7月20日、中山由美撮影 「地球温暖化論は科学的根拠に乏しく、『対策』は社会を狂わせる」と断じる本が米国で昨年2月に出た。これを邦訳し、『「地球温暖化」の不都合な真実』(日本評論社)として刊行した。 著者のマーク・モラノ氏は1968年生まれのジャーナリスト。国内外の科学者や政治家(たとえばチェコ元大統領)への精力的な取材をもとに軽妙な筆で論を張り、地球温暖化の恐怖を警告する「脅威派」と、それに疑いの目を向ける「懐疑派」双方の声を吟味した。ご本人の講演動画が、滑らかな口調と強い気迫をよく伝える。読みとれる米国の風土(談論風発、共和党と民主党の確執)も興味深い。 刊行から1年4か月を経ても米国Amazonのベストセラー状態にある同書のサワリを紹介したい。