英ロンドン郊外の首相別邸チェッカーズ周辺で、ドナルド・トランプ米大統領(左)とテリーザ・メイ英首相(右)のマスクをかぶり、大統領の訪英に反対するデモ参加者(2018年7月13日撮影)。(c)AFP PHOTO/ Isabel INFANTES〔AFPBB News〕 ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)のあり方をめぐる保守党の内紛の影響で、テリーザ・メイ首相率いる内閣にひびが入っているちょうどそのときに、米国のドナルド・トランプ大統領が欧州に到着し、大西洋をまたぐ同盟が崩れかけていることを思い起こさせた。 2016年まで、英国の外交政策とは、欧州でのパートナーシップとワシントンでの影響力とを混ぜ合わせたものだった。しかし今、この国の統治は羅針盤なしで荒海を行く船のような状態になっている。 政治をリアリティー番組として楽しむ人々はこの1週間、お祭り騒ぎに興じた。トランプ大統領は北大西洋
ベルギーの首都ブリュッセルの欧州連合(EU)本部前にはためく英国旗と欧州旗(2016年1月29日撮影、資料写真)。(c)AFP/EMMANUEL DUNAND〔 AFPBB News 〕 バラク・オバマ米大統領がまもなくロンドンを訪問する。出迎えるデビッド・キャメロン英首相に促され、オバマ氏は恐らく、国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めるのは正気の沙汰ではないとの考えをほのめかすだろう。英国が欧州大陸から離れたとしても、ワシントンに安息の地を見いだすことはないだろう、と。欧州を手放して代わりに世界を手に入れることができるなどという離脱派の約束も、もはやこれまでだ。 米国の大統領が英国のいとこたちに権力の厳しい現実を突きつけるのは、特に目新しいことではない。米国と「特別な関係」を深めようとする英国の熱意はもう何十年も前から、欧州統合の促進に向けた米国の取り組みと衝突している。その結果として生
2016年に関する予想を評価する際には、「連続性バイアス」に気を付けた方がいい。今年は昨年に少し似た年になる、ただ、その様相が強まるだけだと想定したくなる衝動のことだ。 実際、最近の政治史は、1年を決定付ける出来事は概して大きなサプライズや連続性が突然途切れる断絶であることを示している(どうしても必要なら、それを「ブラックスワン」ないし「未知の未知」と呼ぶといい)。 2014年の初めに、筆者の知る識者でロシアがクリミアを併合するとか、ISISと呼ばれるジハード(聖戦)主義者集団がイラク第2の都市モスルを制圧すると予想している人は誰もいなかった。 また、2015年の初めに、多くの人がこの年に100万人以上の難民がドイツに到着すると予想したり、米国でのドナルド・トランプ氏の信じ難い台頭を予見したりしていたという記憶はない。 これらはすべて、2016年の最も重要な地政学的な出来事もやはり、識者と
ここに問題がある。自国のことを米国の最も信頼できる軍事同盟国と見なす国が、西側における中国の特別な友人にもなれるのか? 英国のジョージ・オズボーン財務相に聞けば、その答えは明快な「イエス」だ。ほかの人――ホワイトハウスやホワイトホール(英国政府)の人々――は別の見方をしている。 オズボーン氏は中国各地を巡り、北京の中央政府の権威が先住民のウイグル族に挑まれている、問題を抱えた新疆ウイグル自治区も訪れた。 財務相は商業契約に署名していない時には、あらゆる手を尽くして物議を避けた。オズボーン氏の狙いは、中国の習近平国家主席が10月に英国を公式訪問する際に、金融、投資に関する一連の合意文書に調印するお膳立てをすることだった。 オズボーン氏は、習氏が中国の資金をイングランド南部の新しい原子力発電所に投じたら、20億ポンドの納税者の支援を保証すると約束した。また、同氏は英国を中国独自の原子力技術の試
スティーブ・イースターブルック氏が3月にマクドナルドの最高経営責任者(CEO)に就任する時、英ワトフォード・グラマースクール出身の同氏は、創業60年の歴史上、最大級の難題に直面する会社を引き継ぐことになる。 イースターブルック氏は競争心が強い。イングランド北部の大学に通っていた時には、後にイングランド代表チームを率いることになるナセル・フセインが主将を務めるチームのクリケット選手だった。 だが、時価総額870億ドル規模の会社を立て直すことは、全く別の戦いだ。48歳のイースターブルック氏は、何年も続く売上高の伸び悩みと、旗艦商品「ビッグマック」に代わる、より健康的な食べ物を選ぶようになった消費者に直面している企業を引き継ぐ。 1月28日、イースターブルック氏がドン・トンプソン氏の後継CEOになると発表した時、マクドナルドは米国事業について「厳しく、周到な評価」を行っており、数は未定だが人員削
1919年、英国の帝国参謀本部の副総長を務めていたフィリップ・チェトウッド大将はこう警告した。 「他人の問題に干渉して、聞こえよく『和平』と呼ばれるものを結ぶ習慣は、異常性愛のようなものだ。ひとたびはまると、やめられない」――。 オバマ政権のメンバーがこんなぎょっとするような比喩を使うことは想像しにくい。しかし、米国が中東全土の混乱に対処するのに腐心している今、デビッド・レイノルズ氏の新刊『The Long Shadow(長い影)』で引用されたチェトウッド大将の不満は現代的な響きを持つ。 チェトウッド大将の上官で、1919年に「世界中で20から30の戦争が繰り広げられている」とこぼし、混沌とした国際情勢を「統治にあたるには全く不適当で、統治することのできない」政治指導者のせいにしたヘンリー・ウィルソン参謀総長の嘆きは、それ以上に大きく響く。 1世紀前の英国と現在の米国の類似性 英国は191
(2014年10月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 英国の富豪で化学会社イネオス創業者のジム・ラトクリフ氏は今冬、英国のシェールガス革命を引き起こそうとしている。同氏は、シェールガスを開発するためにイネオスに協力してくれたら、地元社会や地主に将来の収入の6%を分配することを申し出た。これは英国でこれまでに提示されたどんな分配よりもはるかに大きい。 「これはゲームチェンジャーになる」。ラトクリフ氏はこう言い、同じような分配金が2010年以降のシェールガス採掘の劇的な拡大を助けた米国から6%の約束というアイデアを真似たと説明する。 実際には、この申し出が広く受け入れられる可能性は高くない。英国ではシェールガス採掘がまだ極めて大きな議論を呼び、これまで概して阻止されてきたからだ。だが、ラトクリフ氏の挑戦は喝采に値する。それがなぜか理解するためには、10月初旬に公表された国際通貨基金(IM
米国は自由の国であり勇者の祖国――。この国の国歌ではそううたわれているが、いつもそう感じられるわけではない。 米食品医薬品局(FDA)は先週、電子たばこを通常のたばこと同様に規制する方針を打ち出した。電子たばこが通常のたばこに手を伸ばすきっかけになるという証拠などないにもかかわらず、だ。実際はその逆で、電子たばこは禁煙を手助けする道具なのだ。 電子たばこもダメ、炭酸飲料もダメ、カフェイン禁止も時間の問題か? シカゴ、ボストン、ロサンゼルスの当局はさらに一歩踏み込み、公共の場での電子たばこの使用を禁止している。電子たばこから出る蒸気が使用者やその周囲の人々に害を及ぼすという証拠はない。どうやら、電子たばこを吸う姿が見えるだけで十分に不快であるようだ。 米国はこれまでもずっと、自由を求める衝動と、干渉せずにはいられないというカルヴァン主義的な衝動との間で揺れ動いてきた。21世紀に入って、この振
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