前回(エマニュエル・トッド氏「第3次世界大戦が始まった」)において、フランスの歴史人口学者であるトッド氏は、ロシアのウクライナ侵攻に対する認識を示した。では、戦争終結への道筋をどのように見いだしているのか。また、日本のウクライナ戦争への対応をどのように評価しているのか。ロングインタビューの後編をお届けする。 1951年フランス生まれ。パリ政治学院卒。英ケンブリッジ大学で博士号を取得。家族構成や出生率、死亡率から世界の潮流を読む。76年の著書で旧ソ連の崩壊を予言した。米国の衰退期入りを指摘した2002年の『帝国以後』は世界的ベストセラーに。その後もアラブの春、トランプ大統領誕生、英国の欧州連合(EU)離脱を言い当てた。6月17日に『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書)を出版予定(写真:Abaca/アフロ) トッドさんはロシアのウクライナ侵攻により、「第3次世界大戦が始まった」と指摘
NATO・ヨーロッパ連合軍の最高司令官を務めたアメリカ空軍の退役大将、フィリップ・ブリードラブ氏がNHKのインタビューに応じ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「すでにわれわれは第3次世界大戦のさなかにある」と述べ危機感を示しました。 そして、核兵器の使用も辞さない構えを見せるプーチン大統領を抑止するには、欧米が脅しに屈せず、より強い行動をとることが必要だと強調しました。 フィリップ・ブリードラブ氏は、2013年から3年間、NATO=北大西洋条約機構・ヨーロッパ連合軍の最高司令官を務め、任期中、ウクライナから軍事力を背景にクリミアを一方的に併合したロシアとも対じしました。 NHKのインタビューに応じたブリードラブ氏は、プーチン大統領が「シリアの虐殺者」とも呼ばれるドボルニコフ司令官を軍事侵攻の指揮官に任命したと伝えられたことについて「ロシア軍の部隊がブチャから撤収したあと、世界が目
東西冷戦終結の立役者で、ノーベル平和賞を受賞した元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏(88)はこのほど、ロシアのモスクワで琉球新報の単独インタビューに応じた。沖縄が日本に復帰した1972年以降、89年に終結する冷戦時代から現在に至るまで、米国の核兵器が沖縄に存在するとの情報を把握しているかとの質問に対し、明言を避けつつも、レーガン元米大統領の「信用せよ、されど検証せよ」という言葉を引用し、検証の必要性を提言した。復帰後の非核化に疑念を示唆した形だ。 沖縄の核兵器は復帰時に米国が撤去したとされるが、米国は、沖縄返還交渉の過程で非核三原則を保証する書簡を出す条件として「核の確認や沖縄の貯蔵施設への査察をしないこと」を提示し、日本政府はこれを受諾している。沖縄の非核化は客観的に検証されていない。 また、ゴルバチョフ氏は87年にレーガン氏と調印した中距離核戦力(INF)廃棄条約が8月2日に破棄さ
【ワシントン=中村亮】米国防総省でアジア太平洋地域の安全保障政策を統括するランドール・シュライバー国防次官補は27日、日本経済新聞の単独インタビューに応じた。日韓で防衛秘密を共有する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた韓国に対して「再考を望む」と述べ、撤回を促す意向を示した。「緊張が続いて利益を得るのは中国、北朝鮮、ロシアだ」と指摘し、日韓関係の早期改善の必要性を訴えた。【関連記事】韓国協定破棄「事前通告ない」 米国防次官補の一問一答GSOMIAは日韓が2016年11月に署名した。協定は1年ごとに自動更新される仕組みで、破棄する場合は更新期限の90日前にあたる毎年8月24日までに相手国へ伝える義務がある。韓国政府は23日に日本政府に破棄を通告した。これを受け、国防総省と国務省は「強い懸念と失望」を表明していた。シュライバー氏もインタビューで改めて「懸念と失望」を表明。破棄
北朝鮮で駐英公使を務め、同国の外交政策を熟知する太永浩(テヨンホ)氏は、インタビューの中で拉致問題に対する北朝鮮側の論理に加え、核・ミサイル開発が国内統治に不可欠である点や、苦境に立たされる外交活動の舞台裏にも言及した。その北朝鮮を率いる金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は1日、新年の辞(施政方針)で何を発信するのか、国際社会の注目が集まる。【北朝鮮情勢取材班】 拉致問題は2002年9月と04年5月、小泉純一郎首相(当時)と金委員長の父金正日(キムジョンイル)総書記による日朝首脳会談の結果、拉致被害者5人とその家族の帰国が実現する一方、横田めぐみさんら8人の「死亡」が伝えられた。北朝鮮は14年になって金正恩氏直轄組織の特別調査委員会を設置しながらも、核実験に伴う日本の制裁を理由に16年2月、「調査中止、調査委解体」を表明し、被害者の安否に関する調査結果を…
北朝鮮による核・ミサイル実験が続く中、北朝鮮との非核化に向けた交渉は2011年から12年にかけて米国と北朝鮮、または南北間で行われたものを最後に断絶が続く。交渉の韓国側担当者だった魏聖洛(ウィ・ソンラク)前ロシア大使は当時の経験から、出口の見えない現状に突破口を開くには日米韓中露の徹底した協調が何よりも重要だと強調する。【聞き手・ソウル米村耕一、大貫智子】 交渉にいたる背景を振り返ると、09年にスタートしたオバマ政権は北朝鮮と対話する姿勢を見せていたが、北朝鮮が4月にミサイル発射実験、次いで5月に核実験を実施し、ただちに対話に踏み切るわけにはいかなくなった。その年の末、当時のボズワース北朝鮮担当特別代表が訪朝したが、あまりに立場の差が大きく進展がなかった。翌10年に北朝鮮は挑発モードに転換し、韓国海軍の哨戒艦「天安」沈没事件がおこり、兵士46人が犠…
ムシャラフ元大統領の「インドへの核使用検討」発言 パキスタンのムシャラフ元大統領が毎日新聞とのインタビューで行ったインドに対する「核使用検討」発言は、核攻撃が現実的な選択肢になっていたことを示す。印パ両国は1947年の分離独立以来、カシミール地方の領有権を巡り対立を続け、両軍の間では武力衝突が常態化している。カシミール問題が解決しない限り、核戦争の危機はエスカレートする可能性がある。【ドバイ(アラブ首長国連邦)で金子淳】 ムシャラフ氏が会見で、印パが相次いで核実験した98年に比べ現在のほうが「危険」との認識を示したのは、インドの核先制不使用見直しの動きを危惧したものだ。インドが2003年に発表した核使用に関するドクトリンは先制不使用を原則とする一方、核攻撃に加え、生物・化学兵器攻撃を受けた場合でも核による報復が可能としたため、「限定的な核の先制攻撃」を事実上容認したとの見方が国際的に広まっ
02年、両国関係緊張の事態受け 「報復を恐れ断念」 インドとパキスタンが8月に分離独立70年を迎えるのを前に、パキスタンのムシャラフ元大統領(73)が毎日新聞のインタビューに応じた。ムシャラフ氏は大統領在任中の2002年、インド国会襲撃テロ事件後に両国関係が緊張した事態を受け、インドへの核兵器使用を検討したが、報復を恐れ断念したと明らかにした。核保有国のトップが核使用を検討した事実に言及するのは極めて異例。印パ対立が核戦争の引き金になりかねない状況を改めて浮き彫りにした。【ドバイ(アラブ首長国連邦)で金子淳】 01年12月に発生したインド国会襲撃事件について、インドはパキスタン軍情報機関の支援を受けたイスラム過激派が実行したと非難。印パ双方は計約100万人の陸海空軍を国境付近に動員し、02年10月ごろまでにらみ合いが続いていた。
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