高揚感が支配した2・28と3・1 少し前の話になる。先月末、2月28日朝、筆者はソウルへと向かう機中にいた。翌日、今年の3月1日が、1919年に勃発した3・1運動から100周年の記念日に当たっており、ソウル市内の各所では大規模式典が予定されていた。 だからこそ、韓国政治、とりわけその民族主義のあり方について研究してきた者として、是非ともその現場を見て置きたい、と思った訳である。 機中ではいつものように、配布される韓国の新聞各紙をかき集め、イデオロギーの左右なく読みふけった。ソウルに到着する前に頭の整理をし、また、衰えるばかりの韓国語能力を少しでも回復する為である。 しかしながら、3・1運動100周年を祝う前日の韓国の新聞において、これに関わる記事はさほど多くはなかった。 それは当然だった。なぜなら、前日の2月27日からベトナムのハノイにて米朝首脳会談が行われており、韓国の人々はその行方を、
シンガポールで行われた米朝首脳会談。会談とその後に出された共同声明をどう評価するか。今後の米朝対話の課題は何か。専門家に聞いた。 合意の文書化に意味 宮本悟氏 聖学院大教授(北朝鮮政治) 米朝が和解の方向に向かったこと自体が一つの成果で、合意を文書化しただけでも大きな意味がある。和解するからこそ非核化ができ、国交正常化ができる。まだ完全に和解したわけではないが、ターニングポイントを迎えたことは間違いない。北朝鮮の最高指導者として誰もできなかったことをやったという点で金正恩委員長にとっても大きな成果になったと言えるだろう。 トランプ米大統領は、対話継続中の米韓軍事演習の中止について言及した。北朝鮮に対し安全保障を与えるという米国側からのメッセージと言える。北朝鮮に体制保証の根拠を与えることで非核化の可能性は高まる。順調にいけば今後、首脳会談が重ねられ、非核化に向けた協議は、米朝だけでなく国際
――南北、米朝首脳会談が相次いで開催される見通しです。今の局面では、日本が単独でできることはないように思えます。 そんなことはない。約10年間、北朝鮮との関係は切れたままなので結び直すのは難しいが、朝鮮総連などとの関係を積極的に使えば、2002年に実現した小泉純一郎首相の訪朝のようなことも実現できる。圧力をかけながら対話しても構わないはずだ。 北朝鮮側には、「本当の北朝鮮外交」なんてものはない。あるとすれば自分たちの体制を守ること。北の体制が変わらないことと外交が柔軟化することは全く別の問題。核・ミサイル開発も断念はしなくても何らかの合意はするかもしれない。本来の意味での社会主義、統制経済はもはや存在せず、経済改革を始めるかもしれない。変化の可能性は常に見ておかないといけない。 ――安倍首相は、北朝鮮との対話を探るトランプ大統領に対し最大限の圧力継続を促しています。 日本が北朝鮮との対話に
韓国は6日、北朝鮮と首脳会談実施で合意したと発表した。背景や見通しを専門家に聞いた。 韓国政権、強い意志 木村幹教授 神戸大大学院(東アジア政治) 韓国大統領府発表を聞く限り、両国ともにかなり踏み込んだという印象だ。北朝鮮は非核化に向けた交渉に言及するなど、手の内にある中で最も融和的なカードを切ってきたと言える。韓国は両国の会談が行われた平壌で大きな決断を迅速にしており、この機を逃したくないという文在寅政権の強い意気込みが感じられる。 北朝鮮からすると、核開発で一定の進展があった今こそ最も良い条件でトランプ米政権と交渉できると踏んだのだろう。経済制裁で追い込まれたから、非核化に向けて妥協したという単純な構図ではないと見ている。
韓国にとって2017年は激動の年だった。この年の1月、韓国の大統領は朴槿恵であり、国会で弾劾された彼女は、その有効性を争う憲法裁判所の判断を待つ立場にいた。ソウルをはじめとする韓国の主要都市では、弾劾支持派と反対派の双方による大規模デモが展開され、街には殺伐とした雰囲気すら漂っていた。 3月には朴槿恵の罷免が確定し、5月に行われた大統領選挙にて進歩派の文在寅が当選した。文在寅を待っていたのは苛酷な状況だった。国内では与党は全議席の3分の1をわずかに超える議席しか有しておらず、新政権は全ての閣僚を任命するのに半年以上を費やした。国外では北朝鮮が核やミサイルの実験を繰り返し、ポピュリスティックな傾きを持つトランプ新アメリカ大統領が、過激な言動を繰り返した。中国や日本との関係も円滑には程遠く、問題は山積しているように見えた。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く