【ロンドン=内藤泰朗】英国を公式訪問している中国の習近平国家主席は21日、キャメロン英首相と総額7兆円超もの巨額契約を結び、中英両国の蜜月ぶりを見せつけた。だが、言論の自由を掲げる英国メディアでは、人権や民主主義の価値を共有していない中国との関係深化を懸念する声が高まっている。巨額契約締結後に行われた両首脳の短時間の共同記者会見で、その不満が爆発した。 「習主席、英国民は、民主主義がなく、不透明で人権に大きな問題を抱えた国とのビジネスが拡大することを、なぜ喜ばなければならないのでしょうか」 キャメロン氏に指名された英BBC放送の女性記者が21日、いきなりこんな質問をぶつけた。 キャメロン氏はこれに苦い表情で、「人権か、ビジネスかという質問の前提にはまったく賛成できない。5年、首相を務めて思うのは、両方が重要だということだ。経済関係が強固になれば、双方の関係も深まり、それ以外の問題でも率直な
中国の人権活動家たちは最近、米国のオバマ政権に対する不満を高めている。歴代米政権と比べて、中国の人権や民主化問題への言及が少ないだけではなく、ミシェル・オバマ大統領夫人(50)が今月、中国を訪問した際、四川省成都市のチベットレストランで食事をしたことについて「チベット問題で中国の演出に協力した」とショックを受けた人が多い。シリア、ウクライナ問題の対応でリーダーシップが取れず「弱腰外交」と国際社会から批判されたオバマ政権だが、中国の人権問題への対応でも手厳しい評価を受けている。 無意味な「人権報告書」 北京の人権弁護士らが大きな不満を持っているのは、2月末に米国務省が発表した2013年の人権報告書だ。「中国がインターネットの規制や政治的不満を持つ人々に対する弾圧を強めている」との内容は盛り込まれたものの、「中国政府に対する批判は緩い」と受け止めた人が多い。「これまでに言ってきたことを繰り返し
ローマで12日から3日間行われた「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」で、教皇フランシスコは、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との面会を断った。背景には、中国への配慮があると欧州メディアは報じている。 ◆中国政府のカトリック信者への虐待 バチカンと中国との外交関係は、1951年より存在していない。古くは唐の太宗時代(618年頃)、カトリックのミッションが訪問したことが最初の接触である。第二次世界大戦後に中華人民共和国を樹立した中国共産党は、カトリック教会を認めず、関係は途絶えた。党はカトリックを、西洋諸国の手先ととらえていたようだ。1955年には毛沢東主導で、バチカンとの関係を絶たない聖職者を迫害、拘束した。 1957年には、政府公認でバチカンから独立した「中国天主教愛国会」をつくった。天主教愛国会の司教は中国の関係当局が任命する。バチカンにとってそれは容認できない。バチカンの教えに
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