世耕弘成経済産業相は23日、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された事件で日本の刑事司法制度に批判が出ていることに関し、「各国の司法制度は歴史上の成り立ちがそれぞれ違う。その一部を切り取ってその国の司法制度が正しいか間違っているかという議論はフェアではないと思う」と述べた。 スイスで開かれている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での日本に関する討論会で、事件について問われた世耕氏は「日本は厳格な法治国家」としたうえで、「刑事手続きの法律が明確にすべての日本人、外国人に平等にあてはめられる」と説明した。 さらに「日本では検察官が、独立した裁判所の許可を得ない限り逮捕できない。フランスでは予審判事が独立した判断で人を逮捕したり、勾留したりできる」と言及。「各国の司法制度は成り立ちが全然違う。その一部を切り取った議論は私はすべきではないと思う」と述
菅義偉官房長官が15日にテレビ番組に出演し韓国政府の強制徴用賠償判決への対応姿勢を批判した。 菅長官は15日夜、BS日テレの番組に出演し、韓国政府の強制徴用賠償判決への対応姿勢について「国際法の大原則を否定するようなことはすべきではない」と指摘し、「条約というのは全ての当事国の政府機関、そこを拘束するということ。それは司法も入っているんですから」と主張した。 8日に韓国大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院は新日鉄住金の韓国内資産差し押さえ申し立てを承認した。これに対し日本政府は韓国大法院(最高裁)の賠償判決を国際司法裁判所に提訴することなどを検討中という。だが文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日の年頭記者会見で「三権分立による司法府の判決に韓国政府が関与することはできない。政府は司法府の判決に対し尊重しなければならず、日本も同様だ」と明らかにした。 しかし菅長官は「韓国国民は『三権分立だか
中国で麻薬を密輸した罪に問われたカナダ人の被告が死刑を言い渡され、これをカナダのトルドー首相が批判したことに対して、中国外務省の報道官は「最低限の法治の精神すら欠けている」などと反発しました。 こうした中、中国の裁判所は、14日、麻薬を密輸したとして1審で懲役15年を言い渡されたカナダ人の被告に対するやり直しの裁判で死刑を言い渡し、カナダのトルドー首相は、「恣意的(しいてき)な死刑の適用は極めて憂慮すべき事態だ」と強く批判しました。 これに対して、中国外務省の華春瑩報道官は15日の記者会見で「被告は222キロの覚醒剤を密輸した」などと罪を強調したうえで、「カナダ側の発言は、最低限の法治の精神すら欠けていて、強い不満を表明する」と述べて反発しました。 さらに、華報道官は、カナダ外務省が中国が恣意的にカナダ人を拘束するおそれがあるなどとして、渡航に注意するよう国民に呼びかけたことについても「恣
【ソウル堀山明子】日韓請求権協定に基づく2国間協議について韓国外務省は9日、「日本側の要請については綿密に検討する」とのコメントを出した。最高裁判決後、韓国政府見解をまとめる役割を担っていた李洛淵(イナギョン)首相側は反応を示していない。元徴用工訴訟問題に関する文在寅(ムンジェイン)政府見解の整理が難航する中、協議受け入れを決めかねている状況だ。 韓国大統領府の金宜謙(キムウィギョム)報道官は9日の記者会見で、新任の盧英敏(ノヨンミン)秘書室長が主催する懸案点検会議でこの問題についても「多くの議論が行われた」と明かしたが、今後の対応については「首相室が主管しており、整理されれば公表するだろう」と語るにとどめた。
韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、10日午前、年頭の記者会見を開き、「徴用」をめぐる裁判で悪化している日韓関係について、「韓国政府がつくり出した問題ではなく、不幸な歴史によってつくられた問題だ。日本はこの問題を政治化させず、解決のために互いが知恵を絞るべきだ」と述べました。 この中で、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる裁判で、日本企業の資産の差し押さえを認める韓国の裁判所の決定が企業に通知され、日本政府が日韓請求権協定に基づく協議を韓国政府に要請したことについて、応じるかどうか直接は言及しませんでした。 そのうえで、ムン大統領は「これは韓国政府がつくった問題ではなく、不幸な歴史がつくった問題だ。日本政府は政治の争点とすることなく、解決のために互いが知恵を絞るべきだ」と述べました。 一方、北朝鮮の非核化が実現する可能性に関して、「今回の非核化の過程は、過去に失敗したものとは大いに違い、首脳
韓国の文喜相(ムンヒサン)国会議長は11日、外国メディア向けの記者会見で、日韓慰安婦合意について、「韓国人の大部分が間違った交渉だったと判断している。慰安婦は同意しなかった」と指摘した。「(安倍晋三首相の)誠意のある謝罪さえあれば、(日本が慰安婦財団に拠出した)10億円は問題ではない。1円もなくても解決できる」とも語った。 文氏は合意に基づいて設立された財団の解散はやむを得ないとの考えを示した。一方、元徴用工への損害賠償を認めた大法院(最高裁)判決が人権問題などを考慮した結果だとしたうえで、「韓国人は誰もが受け入れるしかなく、異議は唱えない」と述べた。「三権分立であり、司法の判決をひっくり返すことはできない」と立法府として介入しない考えも示した。 文氏は韓日議連の元会長。昨年5月、文在寅(ムンジェイン)大統領の特使として訪日した際に安倍首相らと会談し、日韓慰安婦合意について「合意をすぐに破
事故や災害で被害が予想されるのにもかかわらず、「大したことないだろう」と思っているうちに惨事となる現象の原因を、社会心理学者たちは「正常性バイアス」(Normalcy bias)という言葉で説明する。過去に何度も経験した時の記憶にとらわれ、より大きな危機に直面しても、自分にとって大したことない状況だと認識しようとする心理的傾向は「経験の逆機能」の1つだ。日本に対する文在寅(ムン・ジェイン)政権の対応はこれに当たるのではないかと強い疑問と不安を抱いてしまう。 10月30日の徴用被害者(徴用工)に対する韓国大法院(最高裁判決)は極めて「大韓民国の裁判所らしい」判決だ。外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構(OECD)加盟国にはほかにないと聞いた。約50年間にわたり維持してきた合意や約束を覆せば相手が反発して関係が悪化するだろう、ということは誰もが知る事実ではなかったの
2018.11.21 日韓請求権・経済協力協定に関して、ミスリーディングなニュースが流されていますので、きちんと説明をしたいと思います。 日韓請求権・経済協力協定は、日韓間の財産・請求権の問題を一括して解決するとの方針にしたがって日韓両国で合意されたものです。 この協定によって、個人の請求権を含めた日韓間の財産・請求権の問題は完全かつ最終的に解決されました。 日韓両国は、請求権・経済協力協定第二条1で、請求権の問題は完全かつ最終的に解決されたものであることを明示的に確認し、第二条3で、一方の締約国及びその国民は、他方の締約国及びその国民に対する全ての請求権に関して、いかなる主張もできないとしていることから、個人の請求権は法的に救済されません。 この個人の請求権は法的に救済されないということはどういうことでしょうか。 日韓請求権・経済協力協定そのものが、この協定でいうところの個人の財産や請求
政府は、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に対し、韓国人の元徴用工への賠償を命じた判決に反論する英語資料を作成した。国際会議の取材に訪れる海外メディアなどに配布し、判決は国際法違反だと国際世論に訴える狙いがある。 「What are the Facts(事実は何か)」と題した資料は2ページで、すべて英語。1965年の日韓請求権・経済協力協定が、両国間の請求権問題は「完全かつ最終的」に解決されたと明記していると説明。今回の判決について「協定に明確に違反」し、「2国間関係の法的基盤を覆すだけでなく、戦後の国際秩序への深刻な挑戦だ」と批判した。協定文書などの写真も載せた。 まずは、安倍首相が出席するシンガポールでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の場を活用し、14日にも海外メディアや政府関係者へ配布し、対外発信を強化する。
今月2日に予定されていた日韓特許庁長官会合が見送られたことがわかった。10月30日に韓国大法院(最高裁)が日本企業に対し、元徴用工への損害賠償を命じた判決を受け、日本側が延期を申し入れた。判決が出てから日韓関係は悪化しており、今後も両政府で予定されている様々な協議に影響を与えそうだ。 日韓関係筋によると、韓国大法院の判決が出た翌日の10月31日、日本の特許庁側が韓国側に「今は両国間の雰囲気が悪いので、延期した方がいい」と申し入れた。韓国特許庁の朴原住(パクウォンジュ)長官は翌11月1日から訪日予定だったが、急きょ取りやめたという。日本の特許庁は「中止になったかどうかも含めてコメントできない」とした。 特許庁長官会合は毎年1回開かれており、今年は京都市内のホテルで開催を予定していた。両国の特許、商標などの分野での関係強化を目指して協議するほか、長官を含む両庁の交流も目的で、今年で30回目だっ
韓国のイ・ナギョン(李洛淵)首相は、太平洋戦争中の徴用をめぐり日本企業に賠償を命じた判決に関する声明を発表し、「判決は1965年の請求権・経済協力協定を否定するものではない」としたうえで、韓国政府として対応策をまとめるために努力していると強調しました。 この中で、イ首相は「日本政府の指導者たちが過激な発言を続けていることに深い憂慮を表明する。発言は妥当でも賢明でもなく、司法の判断に政府が介入しないのが民主主義の根幹だ」として、日本政府をけん制しました。 そのうえで「判決は1965年の請求権・経済協力協定を否定したものではなく、協定を認めたうえで適用範囲がどこまでかを判断したものだ」としています。 一方で、日本政府が求めている対応については「韓国政府の関連部署と民間の専門家たちの知恵を集め、対応策をまとめるために努力している。政府は被害者の傷を癒やすことに最善を尽くすだろう」として、具体的な
政府は5日、韓国の元徴用工をめぐる訴訟で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる確定判決を出した問題で、韓国政府が賠償金の肩代わりを行う立法措置などを取らない限り、国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針を固めた。また、裁判手続きに関する韓国側との交渉、折衝などが必要なため、長嶺安政駐韓大使の召還は行わない。 ICJで裁判を開くには原則として紛争当事国の同意が必要で、手続きには(1)相手国の同意を経て共同付託する(2)単独で提訴した上で相手国の同意を得る-という2つの方法がある。政府は韓国から事前に同意を得るのは難しいことから単独提訴に踏み切る。 その場合も韓国の同意は得られないとみられ、裁判自体は成立しない可能性が高い。だが、韓国に同意しない理由を説明する義務が発生するため、政府は「韓国の異常性を世界に知らしめることができる」と判断した。 河野太郎外相は既に、徴用工問題が1965(昭和40)年の
日韓協力委員会に所属する塩崎恭久衆院議員らが5日、韓国の政党関係者らと懇談した。元徴用工への損害賠償を命じた10月30日の大法院(最高裁)判決を巡り、塩崎氏は「日韓関係の法的基盤を根本的に覆す」として、判決を事実上修正するための措置への協力を求めたが韓国側から肯定的な反応は得られなかった。判決を厳しく批判する日本の政治家の発言に、韓国では反発も広がっている。 韓国の専門家の間では、判決が1965年の日韓請求権協定を覆すとの意見も出ているが、韓国の与野党は国民感情を刺激する徴用工問題について、基本的に判決を支持する立場をとっている。 韓国の第1野党、自由韓国党によれば、塩崎氏らは5日午後、同党幹部らと会談した。塩崎氏は判決について「決して受け入れられない。国際法違反の事案について、是正を含めた必要な措置が必要ではないか」と迫った。 塩崎氏は、韓国政府が判決後に「未来志向の関係」を強調したこと
元徴用工の損害賠償請求を認めた30日の韓国大法院(最高裁)判決は、日韓が徴用工問題を解決したと認めた1965年の請求権協定を大きく揺るがした。韓国はなぜ53年前の合意を覆したのか。請求権協定が結ばれる過程に立ち会ったソウル在住の町田貢元駐韓公使(83)に話を聞いた。 町田さんは1962年11月、日本の外務省を訪れた韓国中央情報部(KCIA)の金鍾泌(キムジョンピル)部長が、大平正芳外相と大臣室で会談していたことを覚えている。韓国は、日本が朝鮮半島を統治した時代の行為への賠償として10億ドル以上を要求したが、会談で合意された内容は「無償供与3億ドル、有償援助2億ドル、民間借款1億ドル以上」とされた。町田さんによれば、日本の当時の外貨準備高は20億ドルにも満たなかったという。 町田さんは「日韓は当然、徴用工の問題も意識していた」とし、「30年以上(朝鮮半島を)統治したから色々な問題があった。全
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