ただ、日中が反保護貿易主義や地球温暖化問題で中国と組み、米国と対立する立場になっても、日中関係が蜜月に戻る可能性も、日米同盟の基礎が揺らぐことも、まずない。日本にとって忘れてはならないことは、最終的には経済よりも安全保障になるからだ。日中間には領土問題・歴史問題・台湾問題が存在し、この三つの問題がある限り、日中が例えば日米のような同盟関係に近いような親密な関係になることはないし、たとえ憲法を改正しても、沖縄から米軍が出ていくことはない。 必要な逃げ足の速さ 領土問題に妥協が許されないのは当然として、歴史問題は共産党の執政党の正統性の立脚点として中国側は(体制崩壊でもしない限り)妥協するわけにはいかず、台湾問題は日本の安全保障とかかわってくる以上、日本側は妥協できない。日中関係の改善があっても、前提には日中は敵対性のある競争関係にある。中国体制内学者たちも、2018年以降の日中関係改善は戦略