【日露首脳会談秘話(上)】安倍-プーチンの信頼関係は一時破綻寸前に…仲を取り持ったのはまたもやあの男だった! 日本海に面し、幾つもの入り江と島々が連なる山口県長門市。平安中期、前九年の役で敗れた東北の武将、安倍貞任の一族がこの地に逃げ落ちた。首相、安倍晋三は、その末裔だと伝えられる。 日露戦争の日本海海戦ではロシア兵の遺体が流れ着き、地元の人々は丁重に弔った。露大統領、ウラジーミル・プーチンとの会談の場にこの地を選んだのは、そんな自らのルーツを知ってほしいという思いがあったからだろう。 「山間にある温泉の夜の静寂(しじま)の中でじっくりと交渉したい」。長門市に発つ直前、安倍は羽田空港で記者団にこう語った。 安倍とプーチンの会談は第1次安倍政権を含めて今回で16回目となる。度重なる会談を通じて2人の信頼関係はジワジワと醸成されてきたが、国際情勢の煽りを受け、険悪な状態に陥ったこともあった。