ロシアが設置した「国境検問所」を越え、実効支配するクリミアへ入境してきた人たち。記者がクリミアからウクライナ側へと「出国」する際に通過した「検問所」で、記事中で紹介した「往路の検問所」とは別の地点となる=クリミアで2019年3月2日、大前仁撮影 ここは5年前までウクライナ本土と南部のクリミア半島を結ぶ幹線道路だった。だがロシアが2014年にクリミアを強制的に編入したことから、実質的な国境地帯に一変した。ロシアとウクライナがそれぞれ設けた「税関」の間には、全長1キロに満たない道が延びている。私は首都キエフから9人乗りのバスに乗ってきたが、幼児や高齢者という特殊な事情を持つ乗客以外は、ここから先は徒歩で渡らなければならない。 かすむ街灯を頼りにして、スーツケースを引きずりながら早朝の幹線を歩いた。私だけがウクライナ側の「出国」手続きに時間がかかり、他の客は先に行ってしまった。しばらく進むと、歩