「本日も樺太新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、マトリョーシカ号モスクワ行きです。途中の停車駅は、ユジノサハリンスク…」。こんな車内アナウンスを聞ける日が、いつか来るのだろうか。 日露経済協力の目玉としてロシア側が要求してきたシベリア鉄道の北海道延伸案。日本の高速鉄道技術をロシアに導入する計画も併せて浮上しており、日本列島をモスクワ・欧州と陸路でつなぐ構想が、にわかに盛り上がりを見せている。 実は、ロシアは過去にも何度か日本側へ延伸案を打診しており、2013年には露極東発展省がサハリン(樺太)と大陸を結ぶ総工費1兆円の鉄道橋構想を発表した。結構本気の案件だ。 ただ、日本側では膨大な建設費に見合う効果があるのか疑問視する声が強く、政府筋は「まるで夢みたいな話だ」と一笑に付す。果たして夢物語か現実か。日本と大陸が鉄道でつながった日をイメージすると…。 ◇ 稚内からサ
パリの中心部にほど近いサンラザール駅は、フランスで初の旅客駅として1837年に開業した。パイオニアは今、フランス国鉄が仕掛ける駅再開発プロジェクトの先頭を走っている。 3月中旬に駅を訪ねると、駅長のベンジャマン・ウトが、駅のすぐ隣にある3階建てのショッピングモールを案内してくれた。2012年に開業したばかりだという。 1万平方メートルの敷地に食料品や衣料、文具、アートなどさまざまなジャンルの87店舗が入る。三つ星シェフが腕をふるうレストランが目玉の一つだ。 駅に併設するショッピングモールは、国内で初めて。売り上げも好調で、年間1800万ユーロの賃貸料がフランス国鉄の収入になっているという。 ウトは「駅は通り過ぎるだけの場所だから、成功しないだろうと言う人が多かった。でも、ふたを開けたら大人気。今後、バーやスポーツクラブも開業する予定です」と誇らしげだ。 頭上を見上げると、鉄骨の三角屋根には
ヤンゴン中央駅で利用客にインタビューする松永カメラマン(左から3人目)、川上 ディレクター(左から2人目)、そして西尾さん(左端)。列車の乗り心地や利用頻度 について尼僧がにこやかに答えてくれた 前回の記事 撮影隊がやって来た 駅の主役は列車なのだとつくづく思う。夜8時半過ぎのマンダレー駅。オレンジ色のぼんやりした蛍光灯に照らされ、物憂げでノスタルジーな雰囲気に包まれていた構内に、「プァーン」という甲高い汽笛とともに約15時間かけてヤンゴンから走ってきた列車が入線した瞬間、空気が確かに湧き返った。 駅舎から車両に駆け寄る出迎えの人々や、無事の到着に安堵の表情を浮かべ、大きな荷物を手に次々とホームに降り立つ乗客たちの流れに、(株)スタジオヒダカの川上隆ディレクターと松永香カメラマンが真剣な面持ちでレンズを向ける。 時間にすればものの数分だろうか。 興奮気味の人々の声やバタバタという足音、息を
はじめに 昨年9月に日本はインドネシアにおけるジャカルタ-バンドン高速鉄道建設プロジェクトの受注に失敗しましたが、その4か月後の2016年2月、蒸し返したように一部日本のメディアが醜悪な書きっぷりで、本件を再度大きく取り扱い始めました。記事の内容は一言でいうと「中国主導の鉄道建設は問題だらけ」です。部分的には一理あると思いますが、少し調べてみると、これらメディアの姿勢には独特の偏りが見られることがわかりました。また、こういった情報が今後の日本にとってマイナス要素になるのではないかという危機感も同時に抱かせる結果となりました。これらの記事にはソーシャルメディアの「いいね」が何千と押され、記事ランキングの上位に掲載され、一部はバズり(残念ながら当サイトはバズっていません(笑))、「インドネシア」というトピックには不釣り合いなトラフィックを獲得しています。以下にて、インドネシアを舞台とした日本メ
今年10月、インドネシアに高速鉄道を輸出する50億ドルの商談で日本が中国に敗れたとき、日本の技術力の偉大なる象徴であり、国民に愛される「新幹線」が却下されたことを国中が嘆いた。 しかし、今月は日中の立場が逆転し、インドのムンバイとアーメダバードを結ぶ総額150億ドルの高速鉄道建設プロジェクトを日本が獲得。中国の当局者は、これは一般競争入札ではなかったから敗れたわけではないと言い張った。 日本と中国はアジアにおける産業面の覇権と政治的影響力を巡って競い合っており、高速鉄道の売り込み合戦はその代理指標と化した。だが、当局者に言わせれば、この状況は一般の認識とは異なる現実を反映している。高速鉄道を本当に欲しがっている国はほとんどない、という事実だ。 「新幹線は日本のアイデンティティーの一部だ。売り込めるようがんばらねばならない」。実に気前の良い資金援助パッケージを日中両国が提示していることについ
「列車はなぜ踏切でスピードを落とさないのですか。左右の確認はしないのですか」「赤くて丸い警報機は、列車の運転士と線路を渡る自動車の運転手、どちらのためのものですか」「遮断機のせいで線路内に閉じ込められることはありませんか」――。 雨の踏切視察 ここは、JR秋田駅から南西約6kmに位置する豊岩踏切。お互いの声すら聞き取れなくなるほど大粒の雨が、時折バタバタと大きな音を立てて傘をたたき付ける中、7人のミャンマー人たちが雨に負けじと声を張り上げ、雨合羽姿の男性に次々と質問を投げ掛けている。 そんな彼らの顔を見ながら、男性が顔をつたう雨をぬぐいもせず、質問に一つひとつ答えていく。 「列車の運転士が常に確認しているのは、線路沿いの信号です」「警報機は、列車が近付いていることを自動車や歩行者に知らせて踏切内への進入を止めるためのものです」「警報機が鳴り始めてから無理に進入した車両を逃がすため、2本の遮
インドネシア政府の閣僚は、自国の高速鉄道計画で中国の案を採用することについてNHKのインタビューに応じ、「最も大事なのは技術ではない」と述べ採用にあたって最も重視したのは日本が強みとした高い技術ではなかったことを明らかにしました。 これについて、高速鉄道の建設計画を主管するインドネシアのリニ国営企業相は、1日夜、首都ジャカルタでNHKのインタビューに応じました。リニ国営企業相は日本側が高い技術や安全性をアピールした新幹線方式について、「日本は1960年代に新幹線を開通させ、技術的に発展していることは分かっているが、最も大事なのは技術ではない」と述べ、採用にあたって最も重視したのは日本が強みとした高い技術ではなかったことを明らかにしました。 また、中国の高速鉄道の安全性については、「中国はすでに1万7000キロの高速鉄道網を整備しており、安全面での国際基準も満たしている」と述べ、2018年の
初めての鉄道コンテナ輸送 その映像は、コンテナがクレーンで吊り上げられ、コンテナ車に載せられる場面から始まった。ヤンゴン港内のコンテナヤードに積まれていた、長さ40フィート(約12m)の海上コンテナだ。 「気を付けろ」「ワゴンにしっかり固定しろよ」などと言っているのだろうか、日差しに照らされながら、男たちが口々に声を掛け合っている。 コンテナを載せた貨車が機関車にけん引され、港の敷地に引き込まれた線路をたどってヤンゴン港を出ていくところで場面が切り替わった。けたたましい金属音を立てながらゆっくりと走行する貨物列車。 再び切り替わった画面には、冒頭のコンテナを載せた貨物列車が広い平原に停車している姿が上空から映し出され、「Mandalay」の文字が画面に現れる。ヤンゴンから約600km北、国土の中心部に位置する古都であり、第2の商業都市でもあるマンダレーの貨物基地に到着したのだ。 昨年9月末
日本と中国が受注を目指していたインドネシアの高速鉄道計画について、インドネシアのジョコ大統領の特使が、菅官房長官と会談し、日本側の提案を採用しない考えを伝えたのに対し、菅官房長官は、遺憾だという考えを示しました。 この中で、ソフヤン長官は「日本と中国の双方の提案は再検討が必要だといったんは判断したが、その後、中国側からインドネシア政府の財政負担を伴わずに事業を実施できるという新たな提案があった。中国提案を歓迎したい」と述べ、日本の提案を採用しない考えを伝えました。 これに対して、菅官房長官は「日本は実現可能な最良な提案を行ったと確信している。日本提案が選ばれなかったことは残念だ」と述べました。そのうえで、菅官房長官は「参画機会を公平に提供すると説明を受けていたにもかかわらず、方針が急きょ変更され、中国提案を歓迎することになった経緯は理解し難く、極めて遺憾だと言わざるをえない」と述べました。
【ジャカルタ=吉村英輝】日中が受注を競った末に計画自体が撤回されたインドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画で、同国は引き続き高速鉄道建設を目指す方針を示した。ナスティオン調整相(経済)が23日、日本の谷崎泰明大使を呼んで伝えた。 ただ、現地の日本外交筋によると、同調整相は「詳細は今後決定する」としており、財政負担の扱いなどがどう変更されるかは不明。インドネシア側の方針は二転三転しており、慎重に対応する構えだ。 中国側は資金調達面などで譲歩を続けてきた。方針転換は中国にも伝えられたとみられ、中国が今後さらに有利な条件を提示する可能性もある。日本は官民挙げて新幹線を売り込んできたが、インドネシア政府は今月4日、財政面の負担が重すぎるとして、安価な「中速度」鉄道を建設する方針を日本に示していた。
流れが面白かったので。 簡単な導入から指導日の終わりまで 追伸:簡潔にするため市内を走っている日本のバスなどの写真を大幅にカットしています。興味のある方はツイート主様のツイートを追うと良いと思います 続きを読む
8月31日、日本と中国が受注を競うインドネシアの高速鉄道計画で、インドネシア政府が中国の事業案採用に傾いていることが、インドネシア政府筋の話で明らかになった。西ジャワ州 で25日撮影(2015年 ロイター/Darren Whiteside) [ジャカルタ 31日 ロイター] - 日本と中国が受注を競うインドネシアの高速鉄道計画で、インドネシア政府が中国の事業案採用に傾いていることが、インドネシア政府筋の話で明らかになった。 政府筋はロイターに匿名を条件に「中国案のほうが政府の財政負担が軽く、安全面の問題への対応も適切になされているため、中国案に傾いている」と述べた。 別の政府筋はインドネシア政府が大規模なインフラ計画の発注で日本と中国の間でバランスを取ろうとしていると指摘した。日本は既にジャカルタの都市高速鉄道と石炭火力発電所の建設を受注している。 関係筋によると、閣僚レベルの委員会が31
日本と中国が受注を目指すインドネシアの高速鉄道計画について、インドネシア政府は、日中双方が提出した案のいずれも財政面の負担が大きく受け入れられないとして、今後、よりコストを抑える方向で高速鉄道の計画そのものを見直す方針を示しました。日中の受注競争は仕切り直しとなった形です。 インドネシア政府は、2日、関係閣僚の会議で日中双方の提出した案を検討し、関係者によりますと、主要閣僚からいずれの案も財政負担が大きすぎるという指摘が出たということです。 この会議の報告を受けたジョコ大統領は、3日記者団に対し「国家予算を投入せず、融資への政府の保証もしないことを決めた」と述べ、いずれの案も受け入れられないという考えを示しました。 またナスティオン経済担当調整相は、3日夜、現在の計画より列車の速度を落としてでも、30%から40%安いコストで建設したいと述べ、高速鉄道計画そのものを見直す方針を示しました。
新しい指針 国の方針とは、こうして決まっていくのだろうか。その場は、確かに、熱気と、高揚感と、いささかの緊張感に満ちていた。 「A New Directon(新しい指針)」と題したオリエンタルコンサルタンツ(現・オリエンタルコンサルタンツグローバル)の柴田純治総括のプレゼンテーションは、前半と後半を合わせて100分近くにおよんだ。 「全国運輸交通プログラム形成調査」の概要や、同時に実施したフィージビリティースタディー(F/S)の結果、そしてマスタープランの内容が次々と発表される。 「大きなお絵描きのようなもの」――。ふと、いつか聞いた柴田総括の言葉を思い出した。そう、この日柴田氏が話していたのは、まさに、ミャンマーの運輸交通インフラ全体の将来の姿を描いた壮大な「絵」だった。 雨期にもかかわらず、朝から晴天に恵まれた2014年9月16日。ミャンマー全土を対象にした運輸交通セクターの開発戦略を
脱線や遅延の原因を分析 1年間に650件以上。ミャンマーを走る鉄道で発生する衝突や脱線などの事故件数だ。特に地盤がゆるむ雨期には脱線が多い。いったん脱線すると、復旧まで5~6時間遅れることも珍しくない。 そんな事故の事例を集めて分析し、今後の鉄道政策に生かそうと、JR出身の仲間たちとチームを組みミャンマー国鉄側に呼び掛けた男性がいる。日本コンサルタンツ(JIC)技術本部特別顧問の黒田定明氏だ。専門は保線。 国鉄時代は、東海道新幹線の整備にかかわったのを皮切りに、研究所に所属しながら東北新幹線や青函トンネルの軌道の設計業務に従事した。その後、ボストンにあるマサチューセッツ工科大学(MIT)に留学したり、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の鉄道課に出向した経験もある国際派だ。 海外鉄道技術協力協会(JARTS)を経て、現在は、安全性とサービス面共にさまざまな問題を抱えているミャンマー
動揺測定 朝8時15分、車掌が列車から身を乗り出して駅舎に向かい大声で何か叫んでいる。と、ロンジー姿の女性が1人走り出てきて列車の最後尾に駆け込み、ほっとしたようにはにかんだ。ほぼ定刻通りに汽笛が鳴り、列車がヤンゴン駅を出発する。 ここミャンマーでは、2013年8月からより良い鉄道サービスと安全な輸送を実現するために保線技術を伝える協力が行われている。 普段はJR東日本の委託を受け、東北地方の各地で保線作業の最前線に立っている日本人技術者たちが1~2カ月ずつ交代でやって来ては、蒸し暑い雨期の日もぎらぎらと太陽が照り付ける乾期の日も、ミャンマー鉄道のエンジニアたちと一緒に汗を流しながら、毎日、枕木交換や砂利の敷き直しの方法を実地に指導しているのだ(前回参照)。 今日は2週間に1度の動揺測定の日。現場作業が休みの土曜日に実際に列車に乗り、作業済みの区間とまだ終わっていない区間の揺れの大きさを振
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