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ブックマーク / book.asahi.com (7)

  • 伊藤憲二「励起 仁科芳雄と日本の現代物理学」インタビュー 自由が協力・競争の起点|好書好日

    の物理学はなぜノーベル賞受賞者が多数輩出する「お家芸」となったのか。その起点とも言える原子物理学の父、仁科芳雄(1890~1951)の重厚で多角的な伝記を出した。執筆は10年がかり。「仁科の仕事は多岐にわたる。新資料も見つかり、想定よりも分厚くなった」 仁科は理化学研究所を拠点に宇宙線の観測、原子核物理の理論研究、円形加速器(サイクロトロン)の開発や戦時核研究に加えて、遺伝学などの生物学・医学研究、戦後の日学術会議設立にも関与した。 貢献は個々の業績にとどまらない。「欧米の研究環境に学び、当時最先端の量子力学を伝えるなど、『触媒』として湯川秀樹や朝永振一郎ら後続を大いに刺激した」 研究上の「革命」は後発国にとって好機だ。1930年代、昭和初期の日では近代化や戦争の制約を超えて基礎科学の先端的な研究者集団が生まれようとしていた。 先頭に立つ仁科は「欧米から自然科学分野における知識生産

    伊藤憲二「励起 仁科芳雄と日本の現代物理学」インタビュー 自由が協力・競争の起点|好書好日
  • 「琉球独立論」書評 緊張の東アジアへ、今こそ普遍的意義|好書好日

    過去の琉球で何が起きたか、そして現在何が起きているのか−。琉球人教授が書き下ろした私的「琉球独立論」。「琉球の独立」をテーマとして、歴史、理念、政治経済、国際関係等、多角… 琉球独立論―琉球民族のマニフェスト [著]松島泰勝 書は「琉球独立」を提唱するものである。たとえば、スコットランドがイギリスからの独立を求めて住民投票を行ったことに驚いた日人が多かっただろう。なぜスコットランドが独立を望むのか、私にもよく事情が理解できない。しかし、むしろそれ以上に理解しがたいのは、琉球が日から独立しないでいることである。 そもそも琉球は独立した王国であった。1872(明治5)年に琉球藩とされたが、他国との外交関係が残っていたし、はっきりと日に領有されたのは、日清戦争後である。以来、琉球人は差別されてきた。太平洋戦争では、沖縄は米軍との決戦場とされ、大量の死者を生んだだけでなく、戦後も米国の統治

    「琉球独立論」書評 緊張の東アジアへ、今こそ普遍的意義|好書好日
    Ereni
    Ereni 2024/01/25
    "憲法9条を、琉球が実行するのだ。このような琉球が作る外交関係の網目が、中国、台湾、日本の間の緊張を解く。かくして、琉球の独立は,日清戦争後に形成された東アジアの地政学的な対立構造を解消し,平和を実現する"
  • 「世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット」書評 「普遍」と「特殊」、二つの観点交差|好書好日

    世界のなかにおける中国とは何か。現代中国を代表する思想家が、「文革・琉球・チベット」という3つのテーマを通して、日中関係を根源的に考える。『思想』『現代思想』掲載に書下ろ… 世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット [著]汪暉 著者は私が最も信頼する現代中国の思想家である。魯迅研究者として出発した著者は、天安門事件で弾圧された後、より広い領域に踏み入った。しかし、ある意味で、彼はより魯迅的な道を歩んでいるようにみえる。すなわち、一方で世界的な知的状況に通暁すると同時に、他方でつねに、中国という特殊な文脈の下に考えようとしてきたのである。それが彼を独自の存在にしている。 書にも、その二つの観点がある。一つは普遍的に世界的状況を考え、中国をその中において見ることである。現在の世界に支配的な傾向は、著者の言葉でいうと、「脱政治化」である。これは、つぎのようにいうとわかりやすいだろう。たとえば、

    「世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット」書評 「普遍」と「特殊」、二つの観点交差|好書好日
    Ereni
    Ereni 2024/01/09
    何やその「帝国主義」定義 >柄谷行人『そのようなシステムが「帝国」だとすれば、相手を主権国家として認めた上で、資本主義的経済に巻き込んで文化的にも同化してしまうのが「帝国主義」である』 中国万歳。
  • 萩原ケイクさん「それでも愛を誓いますか?」インタビュー 子どものいないミドサー女性の心情、繊細に|好書好日

    文:若林理央 純須純(35歳)と純須武頼(39歳)は、結婚8年目の子どものいない夫婦。純は仕事を辞めて以来、ほぼ専業主婦の静かな毎日を送っていたが、セックスレスになって5年が経つことに苛立ちを感じ始めている。「仲が悪いわけじゃないけれど、夫と付き合い出したあの頃に戻りたい」そう思い立った純が再就職した春、夫婦それぞれに新たな出会いが訪れて――。 アラサーとはもう言えない、リアルな35歳の心情 ――これまでミドサー・既婚・子どものいない女性にスポットをあてた漫画はあまりなかったように思います。ストーリーを作る際、何か意識していたことはありますか? 今は20代女性やお子さんのいる専業主婦の方など、純とは異なる背景の方にも読んでもらっているようなのですが、当初は純と同じ30代女性で、何かに悩んでいる女性にターゲットを絞って描き始めました。「私の分身がここにいる」と読みながら思ってもらうことが目的

    萩原ケイクさん「それでも愛を誓いますか?」インタビュー 子どものいないミドサー女性の心情、繊細に|好書好日
  • 基地のある風景――小泉悠さん・評『世界の基地問題と沖縄』|じんぶん堂

    記事:明石書店 千葉県松戸市六実(むつみ) 書籍情報はこちら のっけから私事で恐縮であるが、評者は千葉県松戸市のはずれにある六実(むつみ)地区で生まれた。海上自衛隊下総航空基地と陸上自衛隊松戸駐屯地のちょうど真ん中に位置し、頭上にはいつもP-3C哨戒機やAH-1S対戦車ヘリコプターが飛んでいるという土地である。さらに南東部には陸上自衛隊習志野駐屯地があり、晴れた日には空挺団のパラシュートが輸送機からパラパラと蒔かれていく様子が小学校の窓からよく見えた。 こうした環境で育った筆者にとって、基地というのはごく普通に存在するもの――日常と非日常で言えば「日常側」の風景であって、そこに何か特別なものを感じたことはあまりない。おそらく多くの六実住人たちにとってもこれは同じであったのだろう。基地が何らかの政治的問題として扱われることはまずなかったし、その存在が意識されること自体があまりなかったように思

    基地のある風景――小泉悠さん・評『世界の基地問題と沖縄』|じんぶん堂
  • 無責任な服従にも無知にも抗う ヤン・ヨンヒさん「朝鮮大学校物語」|好書好日

    在日朝鮮人の民族教育を目的につくられた朝鮮大学校が小説の舞台。著者のヤンさん自身も東京の郊外にあるキャンパスで青春時代を過ごした。 主人公のパク・ミヨンは在日コリアン2世。演劇の勉強を夢見て大阪から上京するが、大学校の生活指導員は「ここは日ではありません」。民族主義を前面に押し出す教育に反発するようになり、北朝鮮を絶対視する先輩とも衝突する。ミヨンは言う。「なんでも従いますという無責任な人が賞賛されるなんて納得出来ません」 在日であることを気にしないという美大生の恋人の言葉にも違和感を覚える。「気にしない」というのは、「それ以上は知るつもりはないということ」。知識がないから差別や不寛容が生まれる。そんな思いを込めて描いた場面だ。 ヤンさんは「コリアタウン」がある大阪市生野区生まれ。父(故人)は在日朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の幹部を務めていたという。帰国事業の旗振り役も務め、ヤンさんの兄

    無責任な服従にも無知にも抗う ヤン・ヨンヒさん「朝鮮大学校物語」|好書好日
    Ereni
    Ereni 2018/07/13
    家族の姿を撮ったドキュメンタリーを撮影。政治色の強い生き方をしてきた父が、息子3人を北朝鮮に帰国させたことを後悔していることを打ち明ける場面も。「総連幹部の顔と父親として素顔の両面を出したかった」
  • 「兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?」書評 戦争が誘発する性暴力とは|好書好日

    兵士とセックス 第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか? 著者:メアリー・ルイーズ・ロバーツ 出版社:明石書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政 第二次世界大戦下のフランスで米軍兵士たちが何をしたのか、米兵とフランス人女性との性的な関係が米仏関係といかに密接にかかわっていたのかを、膨大な一次史料を用いて、恋愛・売買… 兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか? [著]メアリー・ルイーズ・ロバーツ 1944年夏、フランスのノルマンディー。ここで米軍が行った上陸作戦は、しばしば軍事的側面からのみ取り上げられる。その後のフランスで、米兵がどのような生活を営んでいたのかについては、ほとんど焦点があたらない。書は、性という観点から、第二次大戦下の米仏関係を読み解く一冊。三部構成で、一部では「恋愛」を、二部では「売買春」を、三部では「レイプ」を取り扱っている。 ノルマン

    「兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?」書評 戦争が誘発する性暴力とは|好書好日
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