周総裁は第19回共産党大会に合わせて行われたイベントで質問に答え、「景気循環を増幅する要素が経済にあまりに多く存在すれば、景気変動のぶれが大きくなる」と発言。「物事が円滑に進んでいるときに過度に楽観的であれば緊張が高まり、それが急激な調整につながる可能性がある。ミンスキー・モーメントと呼ばれる状況で、われわれは特にこれを防がなければならない」と述べた。 同総裁は価格が急落する可能性のある資産クラスを具体的に挙げることはなかった。企業と家計の債務リスクを広く警告した上で、一部企業の資本効率の低さと不適切な直接ファイナンスなどを背景に企業の借り入れは「非常に高水準」だと指摘。家計の債務については非常に大きいとは言えないが急増しているとの認識を示し、「家計部門のレバレッジ縮小を進めるわけではないが、レバレッジの質を注視する必要がある」と述べた。
米首都ワシントンで開催された国際通貨基金・世界銀行年次総会の春季会合で演説する中国の楼継偉財政相(2016年4月15日撮影、資料写真)。(c)AFP/Mandel Ngan〔AFPBB News〕 正真正銘のトラブルが中国を襲うのは、可能性の問題ではなく、時間の問題だ。 世界金融危機の後、経済成長率を押し上げるために信用供与の蛇口を開いてお金を借りやすくした中国の判断は正しかった。だがその蛇口を再び閉めなかったのは間違いだった。 中国の債務はここ2年間、2008年の不況に続く2年間に匹敵するハイペースで増えている。国内総生産(GDP)比の債務残高は、この10年間で150%から260%近くに高まっている。この種の増加に続くのは金融の混乱か突然の景気減速であるのが普通だ。 中国がこのパターンの例外になることはないだろう。不良債権はこの2年間で倍増しており、公式統計によればすでに銀行の総貸出残高
上海で終わったはずの住宅バブルが再燃している。2015年春以降、住宅市場が息を吹き返し、今年に入ってどんどん価格を上げているのだ。「いまだかつてないバブルだ」(地元紙)との声も聞こえてくる。 「中国ではもう住宅バブルはないだろうと思っていました。また、こんなことになるなんて信じられない」 こう語るのは上海在住の会社員だ。 上海では誰もが「住宅価格は天井に達した」と思っていた。しかし昨年(2015年)、住宅価格が再び上昇局面に入る。上海で販売された住宅面積(新築・中古含む)は前年比55%増の1500万平米。1平米当たりの平均価格も3万元(1元=17.5円として約52万5000円)を超えてしまった(「捜房網」による統計)。 慌てて値段を書き直す不動産仲介業者 上海市の西、虹橋空港に近い古北新区では、築20年近いマンション群が急騰した。1990年代に外国人向けに開発された区画である。
中国広東省深センにある建築模型製作会社「キャニオン・モデル」の製作室(2015年4月23日撮影)。(c)AFP/FRED DUFOUR〔AFPBB News〕 中国の大都市では住宅価格が高騰しているが、大半の地域は供給過剰に苦しめられている。 中国の金融センターである上海は、家を買おうとするよそ者には優しくない。独身の非居住者は不動産の購入を禁じられている。既婚者は歓迎されるが、地方税を2年間納めている者と、購入代金の3分の1近くを現金で支払える者に限られる。 上海と比べると、中国北部最大の都市、瀋陽ははるかに優しい。ここでは誰でも住宅を買うことができる。 もっとも、その効果はほとんどない。瀋陽より5倍高い上海の住宅価格はこの1年間で20%上昇したが、瀋陽の住宅はじりじりと値下がりしている。 バブルを膨らませずに経済成長を促進したい政府にとって、この二極化は悩みの種だ。 裕福な都市とそうで
年明けから世界の金融市場が混乱し、その原因として中国経済の不振が挙げられている。不振の原因は過剰投資にあるとされ、特に2008年のリーマンショックへの対応として行われた「4兆元(約60兆円)」対策の影響が大きいと言われる。 筆者は昨年(2015年)11月に大連の北方約200キロメートルに位置する営口を訪ねた。それについては既に「中国のゴーストタウンで見た官制バブルのなれの果て」と題して報告したが、年初来、中国の過剰投資が金融市場で大きな問題になっているために、もう一度、過剰投資問題に絞って報告してみたい。 閑散とした農村の新幹線 冒頭の写真は営口市の北の外れに作られた新幹線の駅の様子だ。朝9時頃の写真である。PM2.5が混じった朝靄がかかっているために周囲はよく見えないが、周囲は農村である。 農村の中に突然、新幹線の駅が出現したといった感じ。この写真は列車が入線する5分ほど前に撮影したもの
1級都市を中心とする沿海部のいくつかの大都市では活発な住宅需要が見られるが、規模の小さい3~4級都市ではすっかり停滞している。 積み上がる住宅在庫は国家統計局の数字を見ても明らかだ。昨年(2015年)11月末、分譲住宅の在庫は6億9637平米に達した。2014年同期における分譲住宅の在庫は5億9695万平米だったから、この1年で在庫は約1億平米も増えたことになる。昨年9月末からの1カ月間には2122万平米が増え、過去最高の増加数を記録した。 こうした状況に対し、中央政府は強い危機感を抱いている。昨年末に翌年の経済政策の方向性を決める「中央経済工作会議」が開かれたが、この会議で初めて住宅の在庫問題が取り上げられた。
マカオのカジノを経由して資産を海外へ持ち出す中国人は少なくない(資料写真)。(c)AFP/Philippe Lopez〔AFPBB News〕 「3.11」の影響で冷え切っていた投資ブームが再び盛り返しているのだ。山手線沿線で開業する不動産仲介業者によると、中国人からの不動産売買の問い合わせは「最近、非常に増えている」という。 だが、そこには「歓迎ムード」はない。取引の現場で広がっているのはむしろ困惑だ。 当初は「(中国人の)お客様は神様」という風潮もあったが、“マナー問題”が顕在化したことにより中国人との取引にはむしろ消極的だ。「できることなら相手にしたくない」と本音を漏らす不動産仲介の営業マンもいる。 「4000万円の物件でも、のっけから『1000万円負けろ』と平気で言ってくる。売主さんとようやく話をまとめても、契約当日にさらに値引きを迫ってくる。引き渡しの後も何かと文句をつけてくる。
中国政府の想像以上だった人民元切り下げのインパクト ここに来て原油市場関係者の注目は中国経済の動向に集まってきている。 中国政府が通貨切り下げを行った前日(8月10日)の原油価格は、中国の原油輸入量が予想外に大幅に増加し中国需要への不安が払拭されたとして大きく反発していた(1バレル=1.09ドル高)。中国の7月の原油輸入量は、前年比29%増の3071万トン(日量747万バレル)となり、過去最高となった前月の2949万トン(日量約718万バレル)を更新した。原油輸入を積極化させている要因は、「安値を利用した在庫積み増し」だとする見方が有力である。政府の今後の景気対策により原油需要が増加するとの期待からも、原油価格は上昇した。 しかし、景気対策の第1弾である人民元切り下げ措置は、市場関係者にとって大きなマイナスのメッセージだった。 習近平政権が2年前に誕生して以来、国有企業再編など痛みを伴う構
ノーベル賞経済学者・クルーグマン「中国崩壊と世界同時不況 私はこう見ている」 チャイナ・ショック! 世界経済の「明日」を読む【第1部】 世界第2位の経済大国・中国で、株価が暴落した。その巨大なくしゃみによって、日米欧で同時に株安が進行。「世界不況」への門が、不気味な音を立てて開き始めた。混迷の時代がまた始まるのか。 失速と崩壊はまだこれから 「チャイナ・ショック」以外の何物でもない株の急落だった。昨年末から上昇し始めた上海株式市場の総合指数は、6月、5000ポイントの大台に乗せていたが、8月末、一気に下落。25日には、節目の3000を一時割り込み、ピークから4割超下げた。中国バブルは完全に弾け、崩壊した。 日本でも、8月半ばには2万1000円近くまで値を上げていた日経平均が、8月25日、半年ぶりに、1万8000円を割り込んだ。大損を出す投資家が続出。市場は阿鼻叫喚の地獄と化した。 各国で懸
10年続いた不動産ブームが終わった中国。本物の住宅も模型も需要が落ちている。広東省深センにある建築模型製作会社「キャニオン・モデル」の製作室(2015年4月23日撮影、資料写真)。(c)AFP/FRED DUFOUR〔AFPBB News〕 「中国株は今後14%下落へ、1929年株価大暴落に似た動き」。2015年7月28日付ブルームバーグは、1カ月足らずで時価総額4兆ドルが吹き飛んだ中国株式市場の上海総合指数の動きが「1929年に最大48%下落した米ダウ工業株30種平均と類似の値動きだ」とする市場関係者の分析を紹介した。 上海総合指数は今年6月以降売られており、中国政府がまなじりを決して株価対策を講じているものの、7月27日に一時2007年以来で最大の下げを記録するなど一進一退の攻防が続いている。 中国各地に出現したゴーストタウン 7月28日付ブルームバーグは、「オンライン融資業者などから
筆者は、「ミスター・マーケット」――投資のグル(導師)、ベンジャミン・グレアムが考え出した躁うつ病患者*1――の行動を理解できるほど聡明ではないし、理解できていると考えるほど愚かでもない。 しかし、最近のミスター・マーケットは間違いなくうつ状態にある。その背景には中国に対する懸念があるようだ。 ミスター・マーケットが心配するのはもっともなことなのだろうか。端的に言えば、イエスだ。 心配する価値があることとないことの区別ははっきり付けなければならない。中国の株式市場の下落は後者にあたる。心配する価値があるのは、単なる株式バブルの破裂にもうまく対処できていないように見える中国政府当局が直面している難問の大きさだ。 中国主導で調整局面に入った株式市場 株式市場は確かに、中国がリードする形で調整局面に入っている。上海総合指数は6月につけた高値から今週火曜日(8月25日)にかけて43%下落した。だが
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