菅義偉官房長官は14日の記者会見で、8月のジュネーブ軍縮会議で日本の高校生平和大使の演説が、核保有国とみられる一部加盟国からの圧力で見送られたことについて「スピーチは実現できなかったものの、高校生がさまざまな国の代表と直接意見交換をすることで、互いの考え方を理解し合えたことは有益だった」と述べた。 政府は代わりに、高校生らがジュネーブでの日本政府代表部主催のレセプションに参加し、各国外交官らの前でのスピーチや意見交換を行う機会を提供した。 河野太郎外相は14日の会見で「会議の段取りは、コンセンサスが得られなければ変わらざるを得ない」として、各国の合意がなければ軍縮会議での演説は困難だとの見解を改めて説明。レセプションへの参加に関し「一方的に演説するのではなく、核兵器禁止条約への賛成国、反対国などさまざまな国の代表と双方向のやりとりができ、今まで以上にいろんなことを考えられる場になったと思う
スイスのジュネーブ軍縮会議で高校生平和大使による演説が今年は見送られる見通しとなったことを受け毎年、平和大使を派遣している被爆地の長崎では、大使経験者や被爆者らから「残念」「意見の違いを尊重して」などの声が上がった。 長崎市では19日、今年の高校生平和大使22人のうち、長崎から派遣される3人の出発式があった。彼らは演説を想定し、英語力を鍛えてこの日を迎えた。 引率する元教師の平野伸人さん(70)=同市=は、取材に対し「正式に見送りを伝えられたわけではないので何とも言えない」と絶句。その上で「政府が反対している核兵器禁止条約を平和大使が『推進すべきだ』と主張してしまうことを、外務省側が恐れたのではないか」と推測した。議事内容次第では直前の変更もあるといい「演説ができることを期待している」。 出発式に参加した被爆者の井原東洋一さん(81)=同市=は「条約への言及を懸念しての対応ならば、政府と市
「高校生に本会議場から出ていくよう求めることもできる」。本紙が入手した外務省の公電には「ある国」の大使からの強い言葉がつづられていた写真を見る 核兵器廃絶を訴える高校生平和大使たちの演説が今年、ジュネーブの軍縮会議で実現しなかった背景には、核保有国とみられる他国からの日本政府に対する圧力があった-。西日本新聞が入手した外務省の公電からは、核兵器禁止条約の採択に向け大詰めを迎える中、一部核保有国の強硬な姿勢や、被爆国ながら「核の傘」に依存する日本政府の苦しい立場が浮かぶ。核廃絶運動に携わる長崎の関係者からは、落胆の声が上がった。 公電によると、スピーチ見送りの要請があったのは今年2月10日、同国の軍縮代表部次席主催の昼食会だった。次席が進藤雄介公使に対し「貴国が毎年軍縮会議で実施している高校生のスピーチを止めていただけないか」と発言した。 進藤公使は「次世代を担う若い世代に核軍縮・不拡散関連
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