ドイツと中国の蜜月関係 ドイツにおける中国報道が、ここのところ面白いほど変化してきた。 去年の半ばぐらいまで、ドイツメディアはとにかく中国贔屓で、聞こえてくるのは中国経済が力強く伸びていく話ばかりだった。「中国はあれも買ってくれる、これも買ってくれる」、「それも千個ではなく十万個」といった竜宮城のような話だ。 日本で報道される中国の姿とのあまりの差に、私はしばしばビックリし、どちらが本当だろうかと考え込むことさえあった。 中国詣でを熱心にやり始めたのはシュレーダー前首相で、十年以上も前のことだが、その後を継いだメルケル首相は、最初の2年ほどはダライ・ラマに会うなどして中国側の機嫌を損ねたものの、それ以後はシュレーダー首相を超えるほどの蜜月外交に徹し始めた。 毎年、大勢の財界のボス達を伴って北京を訪問しては、自動車を売り、エアバスを売り、ヨーロッパでは放棄した超高速鉄道も売って、「中国はドイ
1971年カナダ生まれ。2007年早稲田大学アジア太平洋研究科のリサーチ・アソシエイト、2009年香港中文大学日本研究学科助教授に就任、2014年より現職。早稲田大学「アジア地域統合のための世界的人材育成拠点」シニアフェロー、 香港中文大学香港アジア太平洋研究所国際問題研究センター研究員を兼任。研究テーマは東北アジアの国際関係、日中関係、アジアの地域統合及び地域主義、非伝統的安全保障、人間安全保障、移民及び入国管理政策。 DOL特別レポート 内外の政治や経済、産業、社会問題に及ぶ幅広いテーマを斬新な視点で分析する、取材レポートおよび識者・専門家による特別寄稿。 バックナンバー一覧 北東アジア地域では、中国、日本、韓国の関係悪化により、ナショナリズムが沸騰している。多くの国が日本の“右傾化”を非難あるいは警戒しているが、筆者は一貫して、現代日本とナショナリズムに関して、次のような関心を抱いて
日本が「戦後70年談話」で再度謝罪を表明しても和解はもたらされない。謝罪は不毛である――米国でこんな意見が出てきた。 2015年は第2次大戦の終結からちょうど70年の年である。終戦記念日の8月15日に安倍首相が発する「戦後70年談話」の内容をめぐって、早くも内外で論議が始まった。焦点は、安倍晋三首相の談話が戦争への謝罪を盛り込むか否かである。 中国や韓国が安倍首相に対して、村山富市首相や小泉純一郎首相、さらには河野洋平外相と同様に戦争に関する謝罪を談話に盛り込むよう求めることは、当然予測される。中国と韓国の両政府はすでにその意向を表明している。 日本の謝罪を期待するオバマ政権 だが、それ以上に日本にとって気になるのは米国の態度である。日本の同盟国、しかも世界で唯一の超大国、さらに第2次大戦で日本の最大の敵国だった米国が、安倍談話の文言についてどんな態度を示すかは大いに注目されるところだ。
また、米国オークランド大学教授の日本研究学者、ジェーン・ヤマザキ氏は近著『第2次大戦への日本の謝罪』で、戦後の日本は異様なほど何回も謝罪してきたと記す。ヤマザキ氏によると、対外的な国家謝罪は、自国の立場を国際的に低下させ、自国民の自国への誇りを傷つけ、いまとなっては自分たちを弁護できない自国の先人にとって不公正なものとなる。そのため、普通の国家はしないのだという。 そのうえでヤマザキ氏は、謝罪を日本の外交手段と見るならば完全な失敗であると断じる。「日本は国家首脳レベルで中韓両国などに何度も謝罪を述べたが、関係は改善されなかった。国際的にも、日本が本当には反省していないという指摘は消えていない」と論じ、「謝罪が成果を挙げるには、受け手がそれを受け入れることが不可欠だ。だが、中韓両国は歴史問題で日本と和解する意図はない」と結んでいた。アンドリュー・ブラウン氏のコラムの結論と同様である。 安倍首
ブラウン氏はそのうえで、すでに宮沢喜一首相や村山富市首相らがその種の謝罪を述べてきたことを強調し、それでも中韓両国などとの「関係改善」や「和解」をもたらさなかったと指摘した。特に「中国は共産党政権が反日感情を政権保持の支えにし、『謝罪しない日本』を軍拡の正当化の理由に使っている」から、日本の謝罪は決して受け入れないだろうというのだ。 ブラウン氏は同コラムのなかで、米国のダートマス大学准教授の若手日本研究学者、ジェニファー・リンド・ダートマス大学准教授の近著『謝罪国家=国際政治での謝罪』から「安倍首相が何を述べても中韓両国を満足させはしない」という見解を引用していた。リンド氏は「特に中国は日本からどんな謝罪の表明があっても、不満を述べ続ける」と予測しているという。 リンド氏はここ数年、米国の大手雑誌や新聞などへの寄稿で、日本の謝罪が「危険」であることを説き、以下のように述べてきた。 「日本が
エコノミスト・カンファレンス「ジャパン・サミット2014:2020年に向けた日本の転換」からお届けするリポート第3回は、『世界の中の日本』。政治学者でコロンビア大学のジェラルド・カーティス教授が安倍政権への評価を述べた(4月17日開催)。 カーティス 今、安倍(晋三)首相が問われているのは、「3本目の矢」はどうなったのか、いつ実行されるのかということです。 今後3カ月から6カ月は、安倍政権にとって極めて重要な時期だと思います。曖昧な期待感だけで人を長期間導くことはできません。今こそ具体的な成果を示す必要があります。 数カ月のうちにそれができれば、多くの人が抱いている不信感、3本目の矢には具体性がないのではないかという懸念が解消されるはずです。 例えば、法人税の引き下げです。私の理解するところでは、安倍首相は今後3年間に段階的に29%まで引き下げたいと望んでいるようです。しかしこれには財務省
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