岐阜県の稲作農家が、こんな仕打ちに翻弄(ほんろう)された。なぜ売れないのか。原因を究明すると、種子を供給する「三井化学クロップ&ライフソリューション」(東京都)が実は7年前から、産地の偽装表示・純度不足などの問題を抱えた種子を販売していたことが判明。民間企業の種子ビジネスを後押しする種子法廃止から5年、危惧されていた問題が顕在化した。同法廃止を違憲として訴訟している弁護団は近く、今回の問題を刑事告発する方針だ。(曽田晋太郎、安藤恭子)
黄色く色づく木々が並んだ道端で、その男性は1人、ヤマブドウのような木の実を食べていた。 北海道恵庭市の市街地から南へ数キロ。ナラやシラカバの林の合間に、平野や牧草地が広がる。15年ほど前、そこで佐藤さん(40代男性・仮名)は男性に声をかけた。 「こんにちは」 以前、近くの牧場から手を振ってくれた人かと思い、尋ねた。 「そこの牧場の人ですよね?」 「そうです」 「どこに住んでるんですか?」 「あそこの小屋で寝てるよ」 男性の身長は165センチほど。灰色の上着に黒っぽいズボンをはいていた。年上のようで、歯がほとんど無いように見えた。 「……ご飯とかちゃんと食べてます?」 「あんまりまともなものは出てない」 男性は、近くの「遠藤牧場」に住み込みで働いていた。男性ら知的障害のある60代の3人は今年8月、この牧場で長年「奴隷労働」をさせられていたとして、経営者家族と恵庭市に計約9400万円の損害賠償
チョコレート菓子「ブラックサンダー」を主力商品とする有楽製菓(東京)は2020年、自社製品に使う全てのカカオ原料を児童労働に頼らないものにすると発表した。調達先の変更は簡単ではなかったが、全製品の約96%の原料を切り替えた。河合辰信社長は「商品を通じてお客さんに笑顔を届けたいと思ってやってきたが、その過程で誰かの笑顔を搾取しているとしたら矛盾だと思った」と話す。 チョコレートの原料カカオを生産する西アフリカでは、子どもが学校にも行かず収穫などの作業に従事させられる児童労働が横行する。欧米の企業が先行していたが、日本の菓子メーカーの間でも児童労働に頼らないカカオだけを使用し、さらには現地農家に農業支援などを実施して労働環境の改善を手助けする動きが加速している。(共同通信=板井和也)
スペイン北部パンプローナで、ゴルフコースに植えられた苗。気候変動危機を訴える団体「絶滅への反逆」提供(2023年7月2日提供)。(c)AFP PHOTO / HANDOUT / EXTINCTION REBELLION 【7月3日 AFP】スペインで2日、ゴルフ場で水が過剰に使用されているとして、環境活動家が国内10か所のゴルフコースでホールカップをセメントでふさぎ、グリーンに苗木を植えるなどして抗議行動を行った。欧州は現在、深刻な干ばつに見舞われている。 気候変動危機を訴える団体「絶滅への反逆(Extinction Rebellion)」のメンバーは、バルセロナ(Barcelona)、マドリード、バレンシア(Valencia)などのゴルフ場で、夜陰に紛れて行動した。 同団体は声明で「水のない世界でゴルフはあり得ない」と批判した。 さらに、国内の環境NGO「エコロジスト・イン・アクション(
Published 2023/01/09 21:04 (JST) Updated 2023/01/09 22:13 (JST) 法律で義務付けられた障害者雇用を巡り、企業に貸農園などの働く場を提供し、就労を希望する障害者も紹介して雇用を事実上代行するビジネスが急増していることが9日、厚生労働省の調査や共同通信の取材で分かった。十数事業者が各地の計85カ所で事業を展開。利用企業は全国で約800社、働く障害者は約5千人に上る。 大半の企業の本業は農業とは無関係で、障害者を雇うために農作物の栽培を開始。作物は社員に無料で配布するケースが多い。違法ではないが「障害者の法定雇用率を形式上満たすためで、雇用や労働とは言えない」との指摘が相次ぎ、国会も問題視。厚労省は対応策を打ち出す方針だ。
Published 2022/09/21 22:28 (JST) Updated 2022/09/21 22:45 (JST) 茨城県警は21日、技能実習生として働いていた畑で雇い主の知らぬ間に大麻草を栽培したとして、大麻取締法違反(栽培)の疑いで、タイ国籍の農業手伝い、ウィセートスィー・セークサン容疑者(28)=同県鉾田市=を再逮捕した。大麻を共同所持した疑いで8月に逮捕されていた。 再逮捕容疑は6月ごろから8月18日までの間、鉾田市の畑で、大麻草を栽培していた疑い。 鉾田署によると、ウィセートスィー容疑者はこの畑で働いていた。署は約13平方メートルの範囲にあった大麻草32本を押収。いずれも成長した状態だったが、雇い主は栽培に気付かなかったという。
ウクライナ東部ドネツク州クラマトルスクの小麦畑の収穫風景(2022年7月7日撮影)。(c)MIGUEL MEDINA / AFP 【7月16日 AFP】農業大国ウクライナに対するロシアの侵攻は、世界の小麦市場に深刻な混乱をもたらしており、一部の国では飢餓を引き起こしかねないと懸念されている。 ■世界の主食 「Feeding Humanity(人類への食料供給の意)」と題する著書がある経済学者のブルーノ・パルマンティエ(Bruno Parmentier)氏は、「小麦は世界中で食べられているが、どこでも生産できるわけではない」と指摘する。 輸出できるだけの小麦を生産している国も、十数か国しかない。中国は世界一の生産国だが、14億の人口を養うために小麦を輸入している。 小麦の輸出大国は、ロシア、米国、オーストラリア、カナダ、ウクライナ。輸入国の上位は、エジプト、インドネシア、ナイジェリア、トルコ
タイ・バンコク(CNN) タイでアジアの国として初めて、9日から大麻が合法化された。ただし保健相によれば、娯楽目的で大麻を吸引した場合は厳罰に処せられる。 アヌティン・チャーンビラクル保健相は合法化を前にCNNの取材に応じ、大麻栽培の合法化によって経済の活性化が期待できるとする一方、娯楽目的の大麻使用は引き続き禁止されると述べ、「大麻製品の消費や吸引は依然として法令で規制されている」と強調した。 合法化に伴い、マリフアナや大麻製品の栽培や取引、疾病治療のための大麻草利用は犯罪ではなくなった。飲食店でも大麻入りの食事や飲料を出すことができるが、気分を高揚させるテトラヒドロカンナビノール(THC)という成分の含有量は0.2%未満とすることが条件。
サワ湖周辺にあるホテルや観光施設の廃虚。イラク南部ムサンナ州で(2022年4月19日撮影)。(c)Asaad NIAZI / AFP 【5月7日 AFP】イラク西部の砂漠の端に立つ「釣り禁止」の標識。この場所がかつては湿地帯で多様な生物が生息し、行楽地としても知られたサワ湖(Sawa Lake)だったことを示すわずかな手掛かりの一つだ。 砂岸に囲まれた塩湖は、1990年代のピーク時には水泳やピクニックを楽しむ新婚カップルや家族連れでにぎわっていた。だが、当時のホテルや観光施設は今や廃虚となっている。 首都バグダッド南方のサマワ(Samawa)市に近いサワ湖は現在、ほぼ完全に干上がっている。人的活動と気候変動が、大量の塩に覆われた不毛の荒れ地に変えてしまったのだ。 塩をまぶしたような砂地に残っているのは、地下水面とつながる、小さな魚が泳ぐ池一つだけだ。 ムサンナ(Muthanna)州の環境局
4月28日、日本の食文化を代表するそば、とりわけ安さが売りの立ち食いそばは原材料の多くを輸入に依存し、その一杯はインフレに直面する世界経済の今を凝縮している。長野県青木村のそば畑で2014年9月撮影(2022年 時事通信) [東京 28日 ロイター] - 日本の食文化を代表するそば、とりわけ安さが売りの立ち食いそばは原材料の多くを輸入に依存し、その一杯はインフレに直面する世界経済の今を凝縮している。すでに値上げに踏み切ったチェーン店もある中、「ロシア」、「円安」という要因が加わり、一段のコスト上昇圧力を受けている。関係者の間では「いつでも気軽に食べられるものではなくなってしまうかもしれない」(製粉大手)との危機感が広がる。
米ニューヨーク市内のスーパーで販売されているビヨンド・ミートの代替肉(2019年11月15日撮影)。(c)Angela Weiss / AFP 【1月27日 AFP】米ペプシコ(PepsiCo)と代替肉製造・販売大手ビヨンド・ミート(Beyond Meat)は26日、植物性たんぱく質から作った飲料や食品の開発・販売で提携すると発表した。 両社は、合弁会社「プラネット・パートナーシップ(The Planet Partnership)」を設立。ペプシコがマーケティングと流通を、ビヨンド・ミートが植物性食品の開発を担う。 耕種農業は、畜産農業に比べ環境への負荷が少なく、植物由来の食品の方が地球環境に良いと考えられている。 ペプシコのチーフコマーシャルオフィサー(CCO)のラム・クリシュナン(Ram Krishnan)氏は共同発表で、今回の提携を通じて、より持続可能な食料供給システムを構築するため
”Institute for Agriculture and Trade Policy” (IATP)(「米国農業貿易政策研究所」)の新しい報告によると、大手酪農企業13社が排出する温室効果ガスは、世界第6位の経済大国である英国の総排出量と同じであることが明らかになりました。 ➡Milking the Planet-How Big Dairy is heating up the planet and hollowing rural communitiesー」 (※参考:Emissions from 13 dairy firms match those of entire UK, says report) 世界の酪農大手企業13社を合わせると、2017年の温室効果ガス排出量は、オーストラリアに本拠地を置く鉱業・石油・ガス大手のBHPや、米国に本拠地を置く石油会社ConocoPhillips
運ばれる数々の「動物」たち。 2013年にニューヨークの食肉加工地区を巡回しているトラックがたびたび目撃された(動画はこちら)。ぬいぐるみだが、助けを求めるかのような鳴き声がトラックから鳴り響き、口や頭を動かしたりするものもあり、その「表情」は恐怖を表しているようにも見える。 「バンクシー」は壁画となる落書きをこっそり描くアーティストとしては有名だが、オブジェや動く作品なども手がける。 食肉とその産業について考えさせるメッセージであろう。人間はぬいぐるみにも食肉にも美しさを見出し、きれいに写される肉料理の写真はSNSの主役でもある。しかし、その産業の背景に決して美しくない現実も潜んでいる。 肉食、ベジタリアン、ビーガンについてもっと読む→「人はなぜ、肉を食べないのか?」 他のバンクシーの作品を見る→バンクシー・シリーズ (写真:The Shared Experience / Flickr
スマトラトラ。豪シドニーの動物園で(2017年9月13日撮影、資料写真)。(c)PETER PARKS / AFP 【11月18日 AFP】インドネシアで、絶滅の危機にあるスマトラトラが農家1人を殺害し、同国人の観光客1人に重傷を負わせた。自然保護当局が18日、明らかにした。 【写真特集】6亜種のみの残存が確認された絶滅危機のトラ 南スマトラ(South Sumatra)州の自然保護局のトップによると、スマトラ(Sumatra)島のコーヒー農園で17日、木を伐採していた農家の男性(57)がスマトラトラに襲われ格闘した後、殺されたという。 前日にも、同州デンポ(Dempo)山周辺の茶農園でキャンプをしていた観光客のグループを、同じスマトラトラが襲撃。観光客1人のテントの中に侵入し、背中に傷を負わせた。被害者の男性はその後、病院に緊急搬送されたという。 観光客らを襲ったスマトラトラは、同州に生
米カリフォルニア州の店頭に並ぶ除草剤ラウンドアップ(2019年9月1日撮影、資料写真)。(c)Mark RALSTON / AFP 【10月31日 AFP】ドイツ製薬大手バイエル(Bayer)は30日、除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」をめぐる米国内における訴訟が、今年7月から今月までの間に4万2700件まで急増したと発表した。 【関連記事】モンサントに約2200億円の賠償命令、除草剤の発がん性めぐり3度目の敗訴 米加州 ラウンドアップ訴訟の件数は、7月の時点では1万8400件で、今月までに2倍以上に増えている。原告側は、主要成分であるグリホサートが、がんなどさまざまな病気を引き起こしていると訴えている。 バイエルのベルナー・バウマン(Werner Baumann)最高経営責任者(CEO)は「訴訟の数は、訴えが正当かどうかとは無関係」であり、「世界の代表的規制機関が、グリホサート含
サトウキビの搾りかす(バガス)で作ったジーンズを身につけるさとうきび創生ラボの富井岳さん=4日、浦添市港川の「SHIMA DENIM WORKS」 沖縄県内外の若手の会社経営者7人で構成するさとうきび創生ラボ(浦添市)は、サトウキビの搾りかす(バガス)をすき込んだ「バガス和紙糸」を完成させ、県内でジーンズに仕立てて浦添市港川の「SHIMA DENIM WORKS」で販売している。年間約20万トンが排出されるバガスに利用価値やファッション性を付加することで、担い手不足などに直面するサトウキビ農業の活性化を後押しする。 昨年10月に立ち上がったさとうきび創生ラボの設立目的について、メンバーの富井岳さん(27)は「サトウキビ畑は沖縄の原風景。この風景を守るために農業以外の形で僕たちに何ができるか考えた」と語る。 サトウキビの新たなブランディングで目を付けたのが、バガスの繊維質を生かしたデニム生地
東急田園都市線は、沿線の住宅開発とセットで建設された通勤路線。開発が始まる前にあったはずの「田園」は、ビルやマンション、一軒家の群れに置き換わりました。路線名に含まれる「田園」が見える場所は、いまもあるのでしょうか。 地下区間最後の駅から中央林間へ 「東急田園都市線」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。条件反射的に「通勤ラッシュ」が出てくる人が多いかもしれません。国土交通省が2018年7月に発表した調査結果(2017年度)によると、混雑率は185%。関東圏の主要区間ではワースト9位です。 長津田の車両基地に並ぶ東急田園都市線の電車(2017年11月、恵 知仁撮影)。 しかし、この事前情報なくして、真っさらな心で路線名を耳にすると、なんとなく牧歌的というか、おっとりした印象がありませんか。 「田園」は、「田と畑」あるいは「田舎、郊外」といった意味を持っており、さらに「田園都市」を辞
Case: Black Supermarket フランスの大手スーパーマーケット・Carrefourが仕掛けたソーシャルキャンペーンをご紹介。 農家が出荷する野菜のサイズが法律で厳格に定められており、規格のサイズに収めるために農薬などが使用されている「不自然な現状」に対抗するため、規格外サイズに育った野菜たちのみを販売する「ブラック(違法)スーパーマーケット」をスーパー店内の一角にオープン。「不自然なのは法律のほうだ!」と、改正を呼びかけました。 店内に設けられた「ブラックスーパーマーケット」。扱っているのは少し形がいびつな普通の野菜なのですが、「法律的には違法なもの」というイメージを強調し、まるでドラッグや武器を売るかのようなブラックな雰囲気をまとっています。 野菜を育てた農家の人々も、まるで闇社会の人間であるかのような雰囲気でポスターに登場します。 「違法バターナッツかぼちゃを生み出し
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