概要 武庫川女子大学附属総合ミュージアムは、近現代の着物や生活用品約3万6千件を所蔵しています。当館が位置する阪神間の暮らしが織り込まれたものです。2019年に寄贈されたS家コレクションも、そうした阪神間の暮らしを反映した資料群であり、暮らしの中で蓄積された衣類や生活用品で構成されています。 S家は、大阪船場の道修町の薬種問屋を出自とし、創立200年を超える企業の創業者の家系です。大阪の事業家が、家族の居宅や別荘を構えたことによって、阪神間に独自の生活文化圏を形成したことが知られていますが、当家は、そうした流れに先鞭をつけた船場商家の一つです。 従来、阪神間モダニズムとしてクローズアップされてきた対象は、近代になって阪神間地域を彩ることになった私鉄交通機関の敷設やそれにともなう宅地開発や遊園地・動物園などの施設、モダンな建築物や住居など、郊外住宅地の形成に関することでした。また阪神間に住ん