シングルマザーの母親を「悪魔」と呼び、ほぼネグレクト状態で生活しているAくん(中学1年生)。入学式であたたかく迎えられはしたものの、学校に適応できない彼の「問題行動」は増えていく。そんなAくんを変えたのは「国語の授業」で培(つちか)われた、教師との、そしてクラスメートたちとの絆だった。 【母親は「悪魔」……ネグレクト家庭で育った中学生を一発で「笑顔」にした教師の秘策】より続く 教師と口論、そして鉛筆で自傷にはしったAくん 入学式からあっという間に1ヵ月以上がすぎ、5月半ばのある日、校外学習があった。 Aくんが「悪魔」と呼んで憚らない(はばからない)彼の母親は、彼に参加費も小遣いも渡してくれなかった。小遣いがなければ、Aくんはその日、昼食すら取ることができない。 結局、お金は教員が工面することとしたが、当日の朝、また問題が起こった。その日、A君は担任に手を突き出して、ぶっきらぼうにこう言った