防衛省 技術研究本部 先進技術推進センターの佐藤文幸氏は、遠隔操作により様々な場所での離着陸や空中停止、壁への張り付きが行える球形飛行物体を開発した。直径42cm、重量350gの球形体に飛行機に必要な要素を収めた。市街地や森林での低空飛行や地上回転移動、高所長期監視、窓越しの偵察などの用途が見込まれ、実用化が注目される。 機体は垂直に離着陸できる。姿勢制御を行う操縦舵面は通常の飛行機では機体の後方にあるが、前方に置くことで、空中と接地中の姿勢制御を共通にした。推力を増せば、壁面などに同物体を押し付けることもできる。今後は、乱気流や特異な地形を考慮して耐環境性を改善する。 プロペラとモータ、空気の流れを整えるダクト翼、8枚の舵面などで構成しており、カメラなどを搭載可能。空中停止時間は8分、最高速度は毎時60km。製作費は約11万円。カーボンやスチレン、ペットボトルなど市販材料で手づくりした。