既に閉店している酒場をネット検索したときに「おっ、懐かしいな」「こんなのあったな」と思い出し、喜んでもらえることを目的とする“酒場伝説”シリーズ。本来であれば、酒場の最新情報や人気料理などを紹介するのが酒場ライターとしての務めであるが“古き良き酒場”を愛する私は、過去に存在した名酒場たちをあえて……いや、ある種の“使命”として紹介したいのだ。 例えばだが“遺伝子レベルで懐かしい”と、感じた瞬間がないだろうか。筆者がまず思い浮かぶのがお寺や神社を訪れた時だ。静謐(せいひつ)な雰囲気とお香の匂い……膝を折って畳に座り、手を合わせればなぜだか落ち着いてしまうだろう。 筆者がよく訪れる「武蔵一宮 氷川神社」。 すると、心の奥底からにじみ出てくるような“懐かしさ”に包まれるのだが、よく考えてみればお寺や神社は何千年も前から存在している。せいぜい数十年しか生きていない人間が“懐かしい”という感情を抱く