『潜入ルポ 中国の女』(文藝春秋) 「男の子を産まないと、一人前の女じゃないから」 エイズに侵され死に瀕しながらも、男の子を産むために3度出産した女性は言った。中国の貧しい農村、文楼村は村民の半数がHIVキャリアの「エイズ村」と呼ばれている。生きるために自らの血を繰り返し売った結果、不潔な器具がウイルスを拡大させた。 フリージャーナリスト・福島香織氏の『潜入ルポ 中国の女 エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)は、タイトルの通りエイズ村の女性や売春婦、ゴミ拾いから富豪にのし上がった女性など、現代中国に生きる女性にクローズアップしたルポである。 ――本書で一番強烈だったのは、「農村で女に産まれるくらいなら、牛や馬に生まれた方がまし」という言葉です。エイズ村に生きる女性の過酷過ぎる人生はもちろん、別の女性は実兄の結婚資金ために遠くの村に売り飛ばされています。中国で、ここまで男尊女卑が激しいと
ある学問分野において、もっとも基本的な事物を指し示す言葉を「基礎概念」といいます。基礎概念を組み合わせることによって、他の抽象度の高い概念を説明する、という形で学問という論理の体系が構築されていきます。したがって、基礎概念を定義することは、通常、その学問の入り口ということになります。 ところが、差別論において、「差別」という概念を定義することは、学問の入り口どころか、むしろ究極のゴールの一つとされています。なかなか上手に定義できないんですね。 例えば、2009年末に出たばかりの差別論の教科書を見てみましょう。好井裕明編『排除と差別の社会学』(有斐閣選書)です。いい本ですよ。おまけに、この分野には授業でそのまま使える教科書は少なかったから、貴重な本でもあります。 この本の中で差別の定義というと、冒頭でアルベール・メンミ『差別の構造』という古典からさらっと差別主義の記述が紹介されているだけです
近ごろ「最近の若者はダメ」が、(また)流行っているようなので、自エントリをまとめてみる。もし、「最近の若者は…」を見かけたら、ここを思い出してほしい。 きっかけは、職場の飲み会。「近ごろの若い連中はダメだ!」と一席ぶつオッサンがいたこと。それって、昔から言われてますね、と返すと、「何年何月何日に誰が言った!?出典どこだよ?何の根拠でそう断定できるんだよ?」ってオマエは小学生か。そこで調べてみたところ… ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1. 近ごろの若者は当事者意識がなく、意志薄弱で逃げてばかりいて、いつまでも「お客さま」でいる件について [URL] 「最近の若者はダメだ」と昔から言われているが、特に今の若者はひどい。当事者意識が欠如しており、いつも何かに依存し、消費し、批判するだけの「お客さま」でいつづけている――という小論。出典を隠すと、内田
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