7月まで東京都の一時保護所と足立児童相談所があった施設。現在は建て替えのため仮移転している=東京都足立区で 「一週間ずっと教科書の内容をノートに書き写していた。職員もほとんど話をしてくれなかった」。親から虐待を受けて保護された十代の女子生徒は、東京都の一時保護所で経験した「個別」と呼ばれる指導の実態を本紙に証言した。「守ってもらえるはずの場所で、なぜあんな思いをしないといけないのかと思った。今も納得できない」と話す。 (岡本太、森川清志)
「和歌山毒物混入カレー事件」の“犯人”として死刑判決を受けた林眞須美(58歳)。その長男(31歳)が、今夏、『もう逃げない。~いままで黙っていた「家族」のこと~』を上梓した。 同書には、両親の逮捕後に入所した児童養護施設での生活、高校時代に受けた侮蔑、中傷、卒業後の不当な解雇や婚約破棄など、綿々と続く苦難が余すところなく綴られている。なかでも、児童相談所の一時保護所や児童養護施設での経験には目を覆いたくなる。 痛ましい児童虐待のニュースが絶えない昨今、児童相談所の対応が問題視されているが、対応のみならず、一時保護所や児童養護施設の内実にも目を向ける必要がある。 バカにするかのように笑われた 1998年7月25日に発生した「和歌山毒物混入カレー事件」。2ヵ月半後の10月4日早朝、警察は事件現場付近に暮らす林健治、眞須美夫妻を別件逮捕した。 このとき、自室でまだ眠っていた当時小学校5年生の林家
拘束具で身体を拘束された後、多数の警察官に囲まれるアルジュンさん。最大で16人ほどが保護室に駆けつけたという。 2017年3月、ネパール人のシン・アルジュン・バハドゥールさん(当時39)が東京地方検察庁の取り調べ中に意識を失い、病院搬送後に死亡した事件で、当日の朝、警察官に取り押さえられ、特殊な拘束具で手足を拘束された経緯の詳細が明らかになった。 関係者から、警視庁新宿警察署の留置施設内のビデオの映像を入手した。 アルジュンさんの妻は、国と東京都を相手に約6935万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴している。 留置施設の映像は、裁判の手続きの中で東京都側が裁判所に提出した。 映像からは、最も多い時点では16人ほどの警察官がアルジュンさんを「保護室」内で取り押さえ、「ベルト手錠」などで手足が動かせない状態にした経緯の詳細がわかる。 記事とともに公開した映像は、東京都側が証拠として提出した映像
現地の事情を知ること自体難しい 中国の西北部に位置する新疆ウイグル自治区において、現地のウイグル族(ほか、主にテュルク系の少数民族)に対する深刻な人権弾圧が起きていることはさまざまなメディアで報じられている通りだ。 現地では漢民族の移住が進み、都市部のインフラが目覚ましく整備されるいっぽう、少数民族の伝統的な生活習慣や宗教信仰への抑圧が進む。2014年ごろまでは月1回程度のペースで数十人以上の犠牲者を出す騒乱が発生していた。現在、新疆の少数民族は海外との通信が厳しく制限され、「再教育」を名目に収容施設に入れられている人々も100万人以上にのぼると伝わる。 ※2014年春に筆者(安田)が訪れたときのカシュガル市の旧市街。現在は建物の多くが取り壊されて住民も移住させられ、観光用に整備された建物だけが建っているという。 2014年ごろまでは日本の新聞の現地取材もある程度まで可能だったが、取材のハ
自民党の杉田水脈衆院議員が、「新潮45」8月号に寄稿した「『LGBT』支援の度がすぎる」(以下ここから引用)が物議を醸している。 LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。 これには3つの間違いがある。 子供を作らない人には生産性がない 生産性がない人に税金を使う必要はない 「生産性」の定義 今回は、「生産性がない人に税金を使う必要がない」という主張について考えていきたい。 自民党は元々、「普通」から外れた人に苛烈 自民党は、BuzzFeed Newsの取材に対して「杉田水脈衆院議員の寄稿文につきましては、議員個人としてのものと理解しております」と回答し、杉田氏を容認している。 杉田水脈議員のLGBT寄稿、自民党は「個人としてのものとして理解」 それは、自民党議員や支持層は、内心同じことを思っているから
医師として関わってきた多くの子どもの中には、忘れられない子が何人もいます。その中で、最悪の記憶として残っている赤ちゃんがいます。前回のコラムで、障害児の受容は簡単ではないと言いましたが、それが「死」という形になった子がいました。 産科から小児外科に連絡が来ました。先天性食道閉鎖症の赤ちゃんが生まれたのです。食道閉鎖とは文字通り食道が途中で閉じている先天奇形です。当然のことながら、ミルクは一滴も飲めませんから、生まれてすぐに手術をする必要があります。食道は胸の中にありますので、赤ちゃんの胸を開く、難易度の高い手術です。 そして、赤ちゃんの奇形は食道閉鎖だけではありませんでした。 口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)という奇形があったのです。口唇裂とは上唇が鼻まで裂けていることです。口蓋裂とは口腔と鼻腔を隔てている上あごが裂けていて、口と鼻の中がつながっている状態です。口唇口蓋裂は、形成外科の先
もし、電車の中で痴漢呼ばわりされたら、迷わず逃げる――。これは、痴漢呼ばわりされて数日間警察に拘束されたある欧州出身のビジネスマン、マイケル(仮名)さんが得た教訓だ。 彼はその朝、過去4年間毎朝そうしてきたように、混み合った山手線に乗って通勤していた。と、そのとき、突然、激高した女性に怒鳴られ、体をつかまれた。ほとんど日本語が話せないマイケルさんは、最初、その女性が何を主張しているのかまったくわからなかった。 彼女が怒鳴りだした瞬間、車内の乗客は一斉にこちらを向いた。それから数秒後、マイケルさんは自分が痴漢行為をしたとして、彼女に責められていると理解した。 上司に電話で助けを求めたが… それから、その女性は彼の腕をつかむと、彼を列車から引きずり下ろし、駅員を呼んだ。頭が混乱していたマイケルさんは無抵抗だったが、「悪いことは何もしていない」と思っていた。これはそもそも誤解であり、最悪の場合で
ある日の事───。 「そういえば銀行の残高、後いくらくらいだろ?」 ふとそう思って、携帯を取り出し、ネットで残高を調べたその時だった、 映し出された取引履歴には、残された残高よりも気になる物があった。 それは異様に高くなっていた、先月支払ったカードの引き落とし額だ。 最近はソシャゲにも課金していないし、その月はAmazonでネットショッピングもしていない。 だからその月のカードの引き落とし額は、携帯の代金、そして月額500円程度のSNSの会員サービスの料金が三つほど、 それを合して、計7000円程度の引き落とし額の筈だったのだが、 取引履歴に映し出された、その金額は4万近くになっていたのだ。 そこではっとしたように思いだす。 あ! そう言えば先月のカードの請求書、適当なところに置いておいて見てなかった…! 嫌な予感を感じながら、直ぐに請求書の封を切り、利用明細を確認。 すると支払いの一覧に
前に上司に「有給を下さい」と言ったら、「(仕事という)義務は果たしたのか。義務を果たさない人に権利はない」と冗談で言われたことがある。 まぁ、上司もそのセリフが言いたかっただけみたいで、普通に有給はとれたし私も気にも留めていなかった。 良く聞くセリフだなー。仕事しっかりしないとなー。ってな感じで。 でもこの考え方っておかしいと最近気付いた。 義務を果たした人にのみに権利が与えられるというならば、白人にバスの座席を譲らなかったローザパークスは何を行えば座席に座る権利が得られたのだろうか? かつての奴隷は何を果たせば選挙権を得ることが出来たのだろうか? 子どもが不当な体罰を避けるためには(さらに言えば不当に殺されないためには)何をすべきなのだろうか? 女性がすべての職に就くためには何をすれば認められるのだろうか? 動物たちが彼らの本能を満たした生活を送るためには、動物たちは人に何かしらの貢献を
前記事に、もう一つの材料として盛り込もうと思ったが盛り切れなかったので、別記事にする。「人権を守るには人権を守るしかないこと」というタイトルで文章を書こうとして、最初に念頭に浮かんだのは、今回述べる「天皇機関説」だったのだ。すなわち「天皇」(君主)という中心を掲げることにより、結果として国民の人権を保証しようという考え方である。 ただし今日の日本で「天皇機関説」という言葉を使用する場合、それが戦前において猛烈な排斥を受けたことと、またそのような動きが戦前の日本を戦争の破滅へと追いやった重要な一里塚の一つとして記憶されていることまでが、含意されると思う。 スポンサーリンク まずは、丸谷才一『文章読本 (中公文庫)』に、大内兵衛の『法律学について』という文章の一部が掲載されているので、孫引きする。丸谷『文章読本』は国語の教科書に似て、著者が「名文」と判断した文章がふんだんに引用、紹介されている
北村薫『街の灯 (文春文庫)』より引用する。 「この間、横浜の裁判所で、実家に逃げ帰った妻に、慰謝科百五十円を払えという判決が出ました。夫が《けしからん》と訴え出たのです」 「ああ……」 そういうことは、わたしには関係ないと思って、また、不快そうな記事だったので、あまり気にとめていなかった。 「賭事にふける夫に、悪い病気まで移され、たまりかねて逃げ出したのです。それでも、裁判官は、《仕えるべき夫が若気の至りでそのようなことをしても、妻たるものは従うのが当然である》といった。《実家に逃げたのは、自らの務めを放棄し、夫を侮辱する行為である。女の道を踏み外したことは許し難い》――という、お上の判決でした」 「………」 子供の頃、ミス・へレンと読んだ、ビアトリクス・ポターの小さな絵本を思い出した。子描のトムが鼠の夫婦に捕まり、練り粉で体を丸められ、食べられそうになる。恐ろしくてたまらなかった。その
6月20日のエントリー にチラシの画像を載せた講演会に行ってみた。 スポンサーリンク 文化会館というのは、こんなところだ。かなりデカいハコモノである。 入口。 大小のホールの他にギャラリーというのが何部屋かあって、多目的で使われている。こんな催しも。 その一室、こちらが今回の会場。聴衆は50人ほどだった。 開演直前。講演中の撮影は遠慮しましたもちろん。 講演は、次のような質問で始まった。 Q. 国民は憲法をまもらなければいけない? ○か×か。 (会場で配布されたレジュメ「自民党新憲法草案を知ろう」より) 今日の聴衆はみな知っていた。×が正解だ。現行の日本国憲法九十九条には、次のような規定がある。 第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 (wikipediaより。以下同じ) それを自民党改憲草案では、次のように変えようとし
1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 元最高検検事、土本武司・筑波大学名誉教授の発言 この10月、大阪で起きたパチンコ店放火殺人事件の公判に、「絞首刑は残虐な刑罰を禁じた憲法に違反する」と主張する弁護側の証人として、元最高検検事の土本武司・筑波大名誉教授が出廷した。自ら死刑執行に立ち会った経験を踏まえながら、「(絞首刑は)正視に堪えない。限りなく残虐に近いものだ」と証言した土本は、死刑制度そのものについては「憲法は、法律によればどんな刑罰も科せるとしている」と肯定しながらも、「残虐でないことを担保するような方法でなけ
「農業やりたくない」 就職拒否のミャンマー難民夫婦が会見 アジア初の第三国定住制度で来日し、千葉県の農場で職業訓練を受けていたミャンマー難民の夫婦が28日、東京都内で記者会見し、「(農作業は)大変だった。農業はやりたくない」と話した。雇用を前提とした訓練だったが、夫婦ら2家族は就職を拒否した。 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110929/asi11092900180000-n1.htm 産経新聞の見出しに悪意が感じられます。難民でいるよりはマシなんだから、どんな仕事でも我慢すべきだと、彼らが我儘であるかのように批判するのは酷い話だと思います。気仙沼市で津波に襲われ家も仕事も失った人に向かって「ホームレスになるよりはマシなんだからオマエは農業をやれ。シンドイなどと贅沢言うな。イヤなら壊れた家にでも帰れ。」とは言わないでしょう。難民の皆さんは、ミャンマ
先日、栃木県にて、クレーン車が暴走し通学途中の小学生をはね死亡させてしまった事故があった。もちろん加害者を擁護することは出来ない。彼はてんかんを持っていた。そして以前にも「未遂」を起こし、かつ薬の服用を怠ったがためにこの事件は起きてしまった。報道の通り薬を飲み忘れたがゆえにこのような事故が起こってしまったのであれば、これは完全に彼の責任であると私は思う。しかし、多くの人がそれでも思うことは、「では、何故彼はクレーンに乗ることを選択したのか?」ということであろう。この事故に関連し、id:goldhead氏は、俺はたまたま子供を6人轢き殺していないだけ - 関内関外日記において、SASを患っているという観点から記事を書いていえる。その中で、次のような文章が目にとまった。 だから俺は、クレーン車で6人の子供を死なせてしまったやつのことを考えずにはいられない。彼が症状をおさえる薬を飲んでいなかった
1:名無しさん@涙目です。(dion軍):2011/04/20(水) 03:23:43.79 ID:boLC3f0j0● 「持病の薬飲み忘れた」6人死亡事故の運転手 栃木県鹿沼市樅山(もみやま)町の国道293号で18日朝、集団登校中の同市立北押原(きたおしはら) 小学校の児童6人がクレーン車にはねられ死亡した事故で、自動車運転過失傷害容疑で逮捕された 同県日光市大沢町、運転手柴田将人容疑者(26)が、栃木県警の調べに対し、 「持病の発作を抑える薬を飲み忘れていた」と供述していることが19日、捜査関係者への取材でわかった。 県警は事故原因との関連について裏付け捜査を進めている。 捜査関係者によると、柴田容疑者は「てんかんの持病があるが、この日は発作を抑える薬を飲み忘れていた」と供述。 また、事故直前にハンドルに突っ伏し、事故後もしばらく車内で動かないでいる姿が目撃されており、
茂木健一郎 @kenichiromogi オレが日本の法律関係者に訴えたいことは、民法の「連帯保証」に関する条項の一日も早い削除。銃よりも多くの人の命を奪い、鎖よりも多くの人の自由をうばっている。こんな前近代的な制度を放置しているのは、国際的な恥である。 2011-01-30 11:30:50 茂木健一郎 @kenichiromogi 先日、銀行主催の講演会で、「連帯保証人制度は世界の恥である」と言ったら、銀行の人たちは苦笑いしていたけど、会場の企業経営者は真剣に肯いていた。「やらかしちゃった!」と思ったけど、後悔はしていない。この愚かな制度に対する怒りのマグマはかなり溜まっている。 2011-01-30 11:37:16
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