南の島から転校してきた東海地方の小学校は陰鬱に感じられて息が詰まりそうだった。 そこには明るい色というものが無かった。 木造瓦葺の校舎の光を反射しない暗い瓦の色。 水泳の授業。空挺部隊のようにみんな次々と飛び込んでいく。順番が来て意を決してプールに飛び込こむと、そこは暗緑色の世界だった。パニックで泳げなくなった。 クラスにKという女の子がいた。Kの顔は鮮明に覚えている。少女時代にしか存在しない無垢の輝きをもつ美しい顔立ち。まわりとは明らかに異質な美しさ。 地方都市の郊外の小学校は同調圧力の強い村社会のようなものだ。異質なものは排除される。 南の島からきた転校生。 あまりに美しい顔立ちのK。 Kの家庭は貧乏なのかネグレクトのせいなのか、Kはいつもヨレヨレの服にベタベタした髪の毛と清潔感が無かった。それは排除するための最適な理由になる。 Kは孤立と時折向けられる集団サディズムに堪えるしかなかっ