なぜヒトは宇宙論や生物学に惹かれるのか。それは僕たちの身体が星の欠片からできており、ヒトが細菌のような生物から進化してきたことを自覚しているからだ。本書の帯には「宇宙・地球・生命を通史で読める初めての1冊」とある。僕は5000年の通史を書いたが(「『全世界史』講義Ⅰ、Ⅱ」)、これは138億年史なのでまるっきり桁が違う。読まずばなるまいと手に取ったが、比喩がとても巧みで桁外れに面白い本だった(何しろ、第一行が「山口百恵というアイドルがいた」から始まるのだ。また、皆さんは、「無人島に落ちていた携帯電話」から何を連想されるだろうか?)。 第1部「宇宙の誕生」。宇宙は3種類しかない。僕たちの住む宇宙は「人間に都合よく調節された宇宙」だ。大部分は「調節されていない、人間のいない宇宙」だろう。「調整されているが人間はいない宇宙」もあるかもしれない。ビッグバンが138億年前に起こり太陽系が46億年前に形