⚫︎『不適切にもほどがある ! 』、第八話。とにかくコメディとしての密度がすごい。それとと同時に、今回はシリアスな苦い回でもある。 (前回は、自己言及的自虐を通じてやんわりと現代の視聴者へ疑問を呈する感じだったが、今回は「わかりやすい悪役」まで持ち出した、現代の視聴者への強めの批判になっている。この「わかりやすい悪役」のあり方に引っかかる人はいるかもしれないが。) 自分の死んだ後の世界で、孫の世代にあたる若者たちのために闘う阿部サダヲが、「世間」に対する敗北を認識する、というか、若者たちが「(目に見えず、掴みどころのない)世間」を引き受けて生きざるを得ないのだという「未来の現実」を苦く認識する。(限られた「自分たちの未来」のために)娘と一緒に自分の世界に帰るのではなく、驚くべきことに「禁煙」までして未来に順応し、自分の死後の世界を生きる若者たちのために奮闘するが、己の力の及ばなさを自覚する