「いわゆる改憲勢力」が3分の2以上とれるかどうかが憲法改正の観点から焦点だ、という国政選挙のたびに繰り返されてきた主要メディアの言説は、法制度的にも、現実政治としても「幻想」に過ぎません。 「改憲勢力」が3分の2を衆参両院で超えたとされるのは、第二次安倍政権発足後、最初の2013年夏の参院選で、その後3回の国政選挙で「改憲勢力」の獲得議席は3分の2を超えました。改憲に積極的だった安倍政権下で約6年間も「改憲勢力3分の2」を保持したのに、憲法改正は半歩も進みませんでした。 それもそのはず「3分の2」が具体的な改憲案で一致して初めて「発議」できるのです。公明党も含む「いわゆる改憲勢力」は改憲の中身について何ら一致点がなく、超党派で合意形成を行う動きもありませんでした。改憲の中身で一致した「3分の2」が形成されて選挙が行われるなら政治的に大きな意味をもちますが、現状はそうなっていないのです。