福岡市の「唐人町寺子屋」の塾長で、日々、150名余りの小中高生たちと奮闘する鳥羽和久さん。同じ塾内では文芸・音楽イベントを開催したり、書籍や雑貨を隣の店で売るなど、地域で楽しめる空間がそこにあります。開校してから19年、子や親のリアルな悩みにも耳を傾け、学びの意味や今の生き方を模索した話題書(『親子の手帖』『おやときどきこども』)もある鳥羽先生にうかがいました。「勉強って何のため?」。子供に聞かれたら、現場の先生のありがたいお話をバシッと伝えようという安易な思いを込めて。しかしそれは思わぬかたちで自分に戻ってくることになりました。 * * * 「何のために勉強するの?」。ある日突然、子どもからそう尋ねられた大人は、ほとんどの場合、とっさに言葉を発することができず返答に窮(きゅう)するでしょう。そして、ひと呼吸置いた後に、なんとか子どもの疑問に大人らしい回答をしようと、「あなたの将来