民族差別などを助長するヘイトスピーチ(憎悪表現)に対応する相談窓口を府が設置して1年。全国初の取り組みとして注目されたが、インターネット上や街宣活動による被害が続くにもかかわらず、相談はまだ1件もない。(山本美菜子) 「全く電話がないとは、想定外だった」 京都弁護士会の浅井亮副会長は読売新聞の取材にそう話した。 府は2017年7月、相談窓口を設置した。月2回の電話相談のほか、対面でも相談でき、人権問題に詳しい弁護士から助言を受けられる。 ただ、16年6月に施行されたヘイトスピーチ対策法では、相談者から要請があっても府が路上での街宣行為を中止することや、罰則を与えることはできない。「結局、自分で訴訟を起こすしかない」(弁護士)ため、相談してこないとみられる。 府は、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」による京都朝鮮第一初級学校前での街宣活動(09年、10年)をきっかけに対策に本腰を入れ始
和歌山県立星林高校(和歌山市)のラグビー部顧問の男性教諭が、部活動の合宿中に飲酒し、部員の男子生徒に暴行してけがをさせていたことが分かった。 同校や県教委によると、教諭は、校内で合宿していた15日夜、夕食時に飲酒。その後、3年生の男子部員を倒して頭を踏むなどの暴行を加えた。グラウンドの整備を巡って教諭が「整備が遅い」と話した際、部員が「部員の人数が少ないので限界です」と答えたことに激高したという。生徒はけがをしたが、入院はしていない。 同校は「おわび申し上げる。再発防止に努める」と謝罪。県教委は「厳正に対処していく」としている。事件後、ラグビー部は活動していないという。 仁坂吉伸知事は24日の定例会見で、「理屈を述べたとたんに暴力をふるうとはとんでもない。こんなことを許してはいけない」と述べた。(土井恵里奈)
厚生労働省は18日までに、虐待を受けている疑いのある子供に対する児童相談所の一時保護について「必要な場面であればちゅうちょなく行うべきだ」などと定めたガイドラインをまとめ、各都道府県に通知した。通知は6日付。厚労省によると、ガイドラインは児相の権限や責務を明確化することが主な狙いで、有識者によるワーキンググループが昨年10月から議論を続けていた。ガイドラインでは、虐待について「対応が後手に回
香川の主治医、品川児相に連絡=一時保護時、異常を察知-5歳児虐待死 2018年07月14日00時26分 東京都目黒区の船戸結愛ちゃん(5)が父親から暴行を受けた後に死亡した事件で、香川県の医療機関で結愛ちゃんを診察した主治医が傷の状態から強い危機感を持ち、品川児童相談所(東京)に電話していたことが13日、分かった。 医師や歯科医師らでつくる「日本子ども虐待医学会」がこの主治医から聞き取り調査を行い、同日開いた記者会見で明らかにした。 一家は以前、香川県に住んでおり、結愛ちゃんは児童相談所に2度、一時保護されたことがあった。この際、診察をした主治医は虐待以外では考えにくい命に関わる傷を確認し、香川県の児相のほか、転居後には品川児相にも連絡していたという。 同学会は「(主治医の)発言は的確に受け止められたのだろうか」と疑問視している。(2018/07/14-00:26)
ケースワーカーとして担当していた生活保護受給者の女性にわいせつな行為をしたなどとして、大阪府大阪狭山市が市総務部の40代の男性主幹を懲戒免職処分(信用失墜行為の禁止など)としていたことが11日、市への取材でわかった。処分は6月30日付。 市は「『公表しないでほしい』という被害者の意向があった」などとして、処分を発表していなかった。 市によると、元主幹は市健康福祉部生活援護グループのケースワーカーだった今年3月、担当する生活保護受給者の女性方で、女性の体を触るなどのわいせつな行為に及んだ。総務部へ異動後の4月も、勤務時間外に複数回、女性にわいせつ行為をするなどした。 5月になって女性の知人から市に連絡があったことから発覚。市の聞き取り調査に、元主幹は「過去に相談を何度か受けたため自分は頼られており、同意のうえと思った」などと釈明。一方、女性は「立場が上のケースワーカーに嫌われたくなかった」な
厚生労働省は、事務連絡「2018年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.5)」を4日付で各都道府県などに出した。「身体拘束廃止未実施減算」や「夜勤職員配置加算」の介護ロボットに関するQ&A(Vol.1)で、 介護老人福祉施設(特養)を想定して 示した解釈が特養のみに適用されるのかとの質問に、それぞれ 「地域密着型介護老人福祉施設」など にも適用されると回答した。【齋藤栄子】 18年度の介護報酬改定では、いすやベッドに利用者を縛り付けて、徘徊を防ぐような対応を改善するため、身体拘束廃止未実施減算を見直し、対策を検討する委員会の3カ月に1回以上の開催を求めたり、現場での業務の効率化につなげるた...
津市の障害者施設で、複数の職員が知的障害があるデイサービスの利用者に対し、暴言を浴びせるなどの虐待をしていたことが施設を運営する団体への取材で分かった。三重県は複数回にわたって身体的・精神的虐待があったと判断し、障害者総合支援法に基づき、運営する団体に再発防止を求めた。施設は2日夜、利用者の家族らへの説明会を開き、問題の経緯などを説明し、謝罪したという。 施設は、津市のNPO法人「おもいやり介護の会つくしんぼ」が、津市一志町庄村で運営する「つくしんぼの家一志」。自閉症などの利用者がデイサービスに訪れており、県によると、今年2月までに複数の利用者に対し複数回の虐待が確認された。けがはなかった。団体側は虐待を受けた利用者は20代の男女で、虐待を行ったのは30代と40代の女性職員と明かした。 団体などによると、男性利用者に対しては「うそつき」「泥棒」などと繰り返し、暴言を吐いた。女性利用者に対し
障害のある長男(42)を兵庫県三田(さんだ)市の自宅の檻(おり)に閉じ込めたとして、監禁罪に問われた父親の無職山崎喜胤(よしたね)被告(73)の判決が27日、神戸地裁であった。村川主和(きみかず)裁判官は「被害者の尊厳を著しくないがしろにした」として、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。 判決によると、山崎被告は妻(病死)と共謀し、2013年4月28日~今年1月21日の約4年9カ月間、重度の知的障害がある長男をおおむね2日に1回、約12時間ずつ母屋で生活させたほかは、隣のプレハブ内に設けた木製の檻(高さ約1メートル、幅約1・8メートル、奥行き約0・9メートル)に入れて南京錠で施錠し、監禁した。 判決は「被害者は長期間立ち上がることもできない狭い檻の中で過ごすことを余儀なくされ、排泄(はいせつ)も檻の中のシートでさせられていた」と指摘。「被告らは施設への入所など、他
東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)が虐待を受けて死亡したとされる事件で、東京地検は27日、父親の船戸雄大(33)と母親の優里(26)の両容疑者を保護責任者遺棄致死罪で起訴した。捜査関係者によると、雄大容疑者は結愛ちゃんに日々の体重を自ら記録するよう指示し、食事制限もしていたという。両容疑者は逮捕当時は容疑を認めていたが、雄大容疑者はその後、黙秘に転じている。 起訴状によると、2人は1月下旬ごろから結愛ちゃんに十分な食事を与えなかったうえ、雄大容疑者は暴行を加えるなどして虐待。2月下旬ごろには結愛ちゃんが極度に衰弱して嘔吐(おうと)したにもかかわらず、2人は虐待の発覚を恐れて放置し、3月2日に低栄養状態などで起きた肺炎による敗血症で死亡させたとされる。 捜査関係者によると、結愛ちゃんは毎朝4時ごろに起きて平仮名を書く練習をするよう雄大容疑者から命じられていた。「もうおねがい ゆるして
1998年7月25日に発生した「和歌山毒物混入カレー事件」。2カ月半後、現場近くに暮らす林真須美が、夫の健治とともに保険金詐欺などの容疑で別件逮捕されたとき、4人の子どもたちはそれぞれ、長女が中学3年生、次女が中学2年生、長男が小学校5年生、三女は保育園の年中クラスで4歳だった。 逮捕当日の朝、真須美は長女に、「もしかしたら捕まるかもしれんけど、パパもママも何もしてないから、すぐ帰ってくる」と伝えた。長女が「ほんまはどっちなん?」と問うと、真須美は「おまえはアホか! やってるわけないやろ」と叱った。そして財布から3万円を出して長女に渡した。その金額から、真須美が本当に「すぐ帰ってくる」つもりだったことがうかがえる。 その直後、「林さん、林さん」と玄関の扉が叩かれ、真須美は「はーい」と返事をすると子どもたちの前から姿を消した。つけっ放しにされていたテレビの画面には、両親が警察の車で連行される
川崎市教育文化会館の前に集まり「レイシストは帰れ」などと声を上げ、ヘイトスピーチに抗議する市民ら=川崎市川崎区で2018年6月3日、後藤由耶撮影 ヘイトスピーチ対策法は2016年6月に施行され、差別的表現の解消にむけた理念をうたい、国や自治体にその取り組みを求める。だが、施行2年の今月、川崎市の公共施設を舞台にヘイトスピーチが発せられ、大阪府北部で震度6弱を記録した地震でもネット上で在日コリアン差別をあおる言説が拡散した。対策の現状を見た。【井田純】 「不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない」。対策法のこの理念もむなしく、法施行2年の今月3日、川崎市川崎区の市教育文化会館で、在日コリアンらへの差別的主張を続ける政治団体関係者が「時局講演会」を企画。差別反対を訴える地域住民ら約400人の「カウンター」が「レイシスト帰れ」と抗議の声を上げ、結果、講演会は開催されなか
いま、虐待死をなくすために我々が向き合うべきこと――児童相談所と警察との情報共有を強めることは、子どもを救う切り札になるのか 山岸倫子 ソーシャルワーカー 福祉 #虐待 目黒区で起きた5歳女の子の痛ましい虐待死事件が、虐待への関心と、虐待防止に向けてどうあるべきか、という議論を巻き起こしている。それ自体はとても良いことだと思う。良いことなのだが、事件の検証がなされておらず、かつ児童相談所の可能性が十分に検討されず、それどころか、虐待の実態さえ十分に把握されないまま、警察と児童相談所における虐待情報の全件共有(以下、全件共有とする)へと議論を進めて行くことに、私はとても大きな違和感をもっている。 警察との全件共有の議論はとてもシンプルな善意に基づいている。あの亡くなった女の子がかわいそうだ、今もまだ苦しい思いをしている子がいるはずだ、早く助けてあげたい。 それは人として当然の感情で、だからこ
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