在宅酸素や胃ろう(栄養摂取のために腹部に開けた穴)など、医療依存度が高い人を自宅でみることは容易ではない。だが、在宅医療では医師や看護師によるキメの細かい支援があるので、家族も心… 続きを読む
在宅酸素や胃ろう(栄養摂取のために腹部に開けた穴)など、医療依存度が高い人を自宅でみることは容易ではない。だが、在宅医療では医師や看護師によるキメの細かい支援があるので、家族も心… 続きを読む
あさかわ・すみかず/1948年2月東京都中野区生まれ。東京都立西高校から慶應義塾大学経済学部に。1971年日本経済新聞社に入社。小売り・流通業、ファッション、家電、サービス産業などを担当。87年に月刊誌『日経トレンディ』を創刊、初代編集長を5年間勤める。93年流通経済部長、95年マルチメディア局編成部長などを経て、98年から編集委員。高齢者ケア、少子化、NPO活度などを担当。2011年2月に定年退社。同年6月に公益社団法人長寿社会文化協会常務理事に就任。66歳。 医療・介護 大転換 2017年5月に「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法」が成立し、18年4月からは介護保険と医療保険のサービス内容が改定された。少子高齢化が急速に進む中で、日本の社会保障はどう大きく変革するのか。なかなかその全貌が見えてこない、医療・介護大転換の内容を丁寧に解説していく。 バックナン
自身の終末期に自宅で最期を迎えられると考えている人は23%にとどまるとのインターネット調査結果を、民間シンクタンク「日本医療政策機構」がまとめた。施設から在宅にケアの場を移す動きがある中、介護負担を減らすなど自宅でみとりができる支援策が国などに求められる。【河内敏康】 2016年に自宅で亡くなった人は死亡全体の13%だが、内閣府の12年度調査では55%の人が最期を迎える場所に自宅を望んでいる。 同機構が昨年11月、成年男女1000人を対象に、今の住環境や家族などを考えた場合に自分が自宅で最期を迎えることが可能か尋ねたところ、「分からない」が過半数の52%を占め、「可能」とした23%を大きく上回った。年代別では、一般的に介護に当たる人が急激に増えるとされる50代で「分からない」が61%と高かった。
医療・介護業界で「惑星直列」と呼ばれていた2018年度制度改正が終わった。国レベルでは診療報酬と介護報酬、障害者福祉サービスの報酬がそれぞれ改定されたほか、都道府県では医療計画と医療費適正化計画の改定、国民健康保険の都道府県単位化に向けた手続きが進んだ。市町村でも介護保険事業計画が改定された。これらの制度改正の方向性を捉えると、医療行政に関する「都道府県の総合的なガバナンス」と、介護保険に関する市町村の「保険者機能」を強める方向で制度改正が進んでおり、医療行政に関する都道府県の役割と、介護行政についての市町村の役割がそれぞれ大きくなることは間違いない。 一方、診療報酬や介護報酬で重点分野とされた在宅ケアは医療・介護の垣根が低く、医療・介護連携など切れ目のない提供体制を構築する上では、都道府県と市町村の連携が求められる。 本レポートでは、制度改革で都道府県、市町村に期待されている役割を考察し
高齢化による「多死社会」の到来で、通報で駆け付けた消防の救急隊員が心肺停止している高齢者の蘇生処置や搬送を拒まれるケースは、今後増えると見込まれる。その難しい判断の基準や根拠をどこに求めればいいのか。医療、救急の現場でルール化の検討が進みつつあるが、国に法整備を求める声も強い。【長谷川容子、三上健太郎、堀井恵里子】 「60代男性が自宅で意識不明、呼吸していない」。2016年12月、119番を受けて埼玉西部消防局(埼玉県所沢市)の救急隊員、小野和幸さん(45)らが駆け付けると、男性の妻は「末期がんなので、夫の望み通り自宅で最期を迎えさせたい」と訴えた。家族は主治医を呼ぶ予定だったが、その場にいない知人が急変を聞いて、慌てて119番してしまったという。
病院や高齢者施設には入院・入居の際、「身元保証人」を求める慣習があります。多くは家族が担いますが、頼れる人がおらず、身元保証業者に依頼する人もいます。 身元保証人がおらず、転院先探しの際に苦労した――。愛知県内の男性(66)は3年前、そんな状況に陥った。 地元の建設会社で働いていた時、左半身の力が抜けるのを感じた。脳卒中。近隣の大病院に救急搬送されて2カ月が経った頃、リハビリ病院への転院を求められた。 「頼れる人は、いなかったねぇ」 男性は、力なく当時を振り返る。支払いの担保や緊急時の対応、院内で亡くなった場合の引き取りまで。病院側は身元を一手に引き受ける保証人を求める。最初の入院先には保証人を立てなくても受け入れてもらえたが、転院先はそうはいかなかった。 男性は独身だったが、きょうだいが6人。皆近くに住んでいた。だが、15年ほど前にきょうだいを巻き込む金銭トラブルがあり関係が悪化。保証人
かつて国のハンセン病隔離政策に協力した真宗大谷派。東海地方の住職たちが教団の負の歴史に向き合い、療養所訪問と入所者との交流を四半世紀にわたり続けている。らい予防法廃止とそれを受けた教団の謝罪から20年。今なお出身地を明かせない人もいて、隔離の爪痕はあまりに深い。 「南無阿弥陀仏……」 骨になっても療養所を出られなかった人たち、3700人余りの遺骨が眠る納骨堂前で念仏が唱えられた。10月下旬、東海地方の住職や市民でつくるハンセン病学習グループ15人が、国立療養所・長島愛生園(岡山県瀬戸内市)を訪れた。納骨堂は園がある島の高台にある。 園内に1泊2日する日程では、21歳で愛生園に隔離され、今も園で暮らす津市出身の田端明さん(97)の講話を聞いたほか、島に隔離した患者の消毒や身体検査をした収容所などの施設を巡った。夜の酒席では入所者4人と夜更けまで懇親を深めた。 今回で24回目。愛知県西尾市の大
願はくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ 桜と月をこよなく愛した平安末期の歌人・西行は、自らの死に場所の希望をこう詠んだ。実際、西行は文治6年2月16日(1190年3月31日)に亡くなったというから、その願いは叶ったといえよう。 2015年国勢調査速報によると、65歳以上の高齢者人口が3342万人と、総人口の4分の1超の26.7%に達し、日本は超高齢化社会に突入した。週刊誌は「やってはいけない手術」「飲んではいけない薬」といった医療関連特集をしつこいほどに続けている。なぜなら、売れるからだ。ひところは「一銭もかけない死に方」などの死に方特集が続き、今は老人の性特集が定番となっている。 そんな折、「在宅みとり」を推進する厚生労働省が7月6日、「在宅医療にかかる地域別データ集」を公表した。その中で、在宅死の割合を自治体別にまとめている。14年の人口動態統計のデータを基に集計し
終の棲家とも称される特別養護老人ホーム(特養)。だが、緩やかに状態が低下していく入所者を、静かに看取(みと)れるかどうかは、施設の力量による。医師との協力が十分でないと、看取り間際の高齢者を救急車で病院に運んだり、呼吸停止後に運んだりすることもあるという。早急な環境整備が求められる。(佐藤好美) ◇ 関東地方のある特養は最近、入所者をホームで看取れるようになった。健康管理にあたる「嘱託医」を変更。新しい嘱託医が日頃の健康管理の延長線上で臨機応変にホームに来て、死亡診断書を書いてくれるようになったからだ。 それまでの嘱託医は、週1回の定期訪問には来てくれたが、臨時の訪問はできなかった。だから、入所者の状態が低下して最期の時が近づくと、心肺蘇生(そせい)をしながら救急車で嘱託医の勤務する病院に搬送。そこで看取ってもらっていた。 過去10年の間には、入所者の呼吸が止まった後、施設の車で運んだこと
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