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ブックマーク / magazine-k.jp (20)

  • 第2回 電子コミックとスマートフォンの蜜月はいつまで?

    前回の記事では、電子コミック市場の現状について「先は長いもののかなり前進した」と書いた。「先が長い」というのはほかでもない。まだまだ乗り越えるべき障碍がいくつも残っているからだ。今回はその中のひとつである読書端末について考えてみたい。 電子コミックはなにで読む 当たり前の話だが、電子コミックを読むためには読書用の端末とビュワーが必要だ。ダウンロードするためにはネットにも接続しなくてはならない。 紙のマンガなら、さえ手に入れたらすぐ読めるのに、電子コミックを単体で読むことは今のところ不可能だ。電子か紙かの議論になったとき、紙派の人たちが必ず持ち出してくるのがこの点である。紙なら単体で読めるのに、どうしてわざわざ端末やビュワーを使って読むのか。たしかに一理ある。電子コミック派が「アナログレコードがCDにとって替わられたように、フィルムがデジタルカメラにとって替わられたように、もデジタル化し

    第2回 電子コミックとスマートフォンの蜜月はいつまで?
  • Kindle Unlimited上陸について思うこと

    Amazonの定額電子書籍読み放題サービス、Kindle Unlimitedが、8月2日より日でも始まり、楽天も雑誌の読み放題サービス「楽天マガジン」のサービスを開始しました。そこで、これらに先立つ既存の「読み放題サービス」についてちょっと思っているところを書いてみたいと思います。 音楽や動画では常識化してきているサブスクリプション型サービス 近年、動画や音楽の世界では、定額で見放題、聴き放題型のサービス――サブスクリプション契約型のコンテンツ提供サービスが一般化してきています。 動画配信では今は日における事業では日テレビの傘下となったHuluを皮切りに普及が進み、現在はアメリカ最大手のNetFlixに勢いがあります。今テレビを購入するとリモコンの目立つ場所にNetFlixのボタンが配置されているという話もあり、もうこれは完全に一般化したと見ていいでしょう※1。ちなみにこれは従来の放

    Kindle Unlimited上陸について思うこと
  • 第1回 Kindle Unlimitedは貧乏大学院生への福音となるか?

    人は千差万別な事情があって大学院に通うことになるわけで、理由や動機はともかく入ってしまったが最後、史料/資料を集めることからは逃げられない。これには万人が同意してくださるところであろう。 今回、連載の機会をいただいたので、現役大学院生の図書利用術を、電子書籍やデジタルアーカイブを含めて紹介してみたい。名づけて「アーカイブ・ハック」、ようするにケチケチ利用術である。 「借りるより、ポチってしまえ 、ホトトギス」 新幹線片道2時間半の通信制大学院に遠距離通学しているため、大学の図書館はほぼ利用できない。先日、所属大学図書館で借りてみた(1冊2,400円の)のだが、約月イチでの登校なので、期限である3週間に返却は間に合わない。期限切れになると同時に、ご丁寧に電話での「返却願い」が留守電で入る。返却したところ今度は「あなたの返却には不備がありました」とのメールがわざわざ送信されるほどの手厚さだ。

    第1回 Kindle Unlimitedは貧乏大学院生への福音となるか?
    tacticslife
    tacticslife 2016/08/23
    unlimitedは時間が有り余ってる人向けだと思う。/「悩む理由が値段なら買え、買う理由が値段なら止めておけ」と同じで、unlimitedでタダだから読む、というなら時間のムダ。
  • 孤軍奮闘の作家をサポートするオーサーライト

    「一生のうちに一度でもいいからを出してみたい」――そう思う方は多いのではないだろうか。 昨今では、その夢は叶いやすくなったのかもしれない。商業出版や「自費出版」(著者がコストを負担する紙のの出版代行)といった今までの道に加え、テクノロジーの発展によって、電子書籍の形でコストをほとんどかけずに著者自身が行う出版(「自己出版」)も可能になったからだ。アマゾンの「キンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)」を利用して、好きなように書いたコンテンツを電子として販売したり、日であれば「note」のようなコンテンツ課金が簡単にできるサービスを使ってブログを有料出版することも可能だ。 しかし、自己出版が可能になったからといって、一人で何から何までやるのは容易ではない。また、たとえ商業出版をしたとしても、の存在を広く知ってもらい、財布のひもを緩めてもらうところまでこぎつくのは並大抵ではない。

    孤軍奮闘の作家をサポートするオーサーライト
  • 出版営業が『まっ直ぐに本を売る』を読む

    4年前の秋の夕暮れ。1時間に1のローカル線の駅から歩いて20分。バスも廃線となった北関東の幹線道路脇を私はテクテクと歩いていた。世間では涼しくなってきたとほざいているが、注文書を入れた重いかばんとともにいるので、汗だくである。 「せんせー、せんせー、せんせー、せんせー」 ロードサイドを中心に展開するとあるチェーン書店の自動ドアを開けるなり、就業時間を終え、すでに私服に着替えていた彼女が呼びかける。何度も呼ぶのは癖なのか何なのかよくわからない。 「せんせー、『割戻し』って歩戻しのこと?」 書店員なのだが、簿記の学習中のため、アポは「退勤後!」というご指定である。要するに、営業で訪問しているはずなのだが、やっていることは勉強の指導である。こっちは汗を引かせたいので一服したいところなのだが、お構いなしに話を続ける。 「ウチらだと『歩』じゃん。『割』の方が大きいよね」 「あー、似ているけど違うか

    出版営業が『まっ直ぐに本を売る』を読む
  • 「出版不況論」をめぐる議論の混乱について

    毎月1日にリリースされる、小田光雄さんの「出版状況クロニクル」というウェブ記事を楽しみにしている出版関係者は多いと思う。私もその一人である。これを読まずにはひと月が始まらない。毎月かならず読んでいる。 小田さんが書かれた『出版社と書店はいかにして消えていくか〜近代出版流通システムの終焉』はのちに論創社から復刊されたが、私は1999年にぱる出版からでた版で読み、大きな衝撃を受けた。1999年といえばまだアマゾンが日に進出する前の時期である。日の出版業界が抱えた構造的な問題をロードサイドビジネスや郊外社会論とからめて分析し、彼が名付けた「近代出版流通システム」がもはや機能不全を起こしている事実を、この時期にいちはやく伝えた小田さんの功績はとても大きい。 小田さんはその後、論創社のサイトで「出版状況クロニクル」という定点観測コラムを始め、それは『出版状況クロニクル』という単行としてまとめら

    「出版不況論」をめぐる議論の混乱について
  • こんまりの「片づけ」本は海外でなぜ売れた?

    真由美さま 前回のお手紙をいただいてから少し時間が経ってしまいました。 日ではの印税率が下がってきていて、とうとう「印税率3%でを書いてくれ」と言われたというビジネス書の著者さんの話をFacebookで見かけて背筋が凍りました。事態はここまで来てるんですね。 これが英語圏の出版社だと、新人でもハードカバー(ようするに「新刊書」)の印税が10%、増刷がかかって10万部を超えたあたりから数%割増しになるのが普通です。超売れっ子先生だと初版から12%、がバカ売れして増刷になり、「お札を刷っているような状態」になれば15%までハネ上がります。 印税率より大きな違いは、英語圏での出版物には通常「アドバンス」と呼ばれる印税の前払い金があることです。しかもその一部は、原稿を一文字も書いてなくても、出版契約を結んだ時点で支払われる。ようするに出版社にとってアドバンスというのは、著者に対し、この

    tacticslife
    tacticslife 2016/02/24
    売れたのは分かるのだけど、何であそこまで売れたのかが知りたい。
  • アマゾンはリアル書店で何をたくらむ?

    アマゾンが11月の初めにシアトル郊外のショッピングモールの片隅に「アマゾン・ブックス」という屋をオープンして2ヶ月が経つ。「出版社との関係構築が目的」とだけ発表したアマゾンは、誰とどんな関係を築こうとしているのか。 日ではアマゾンが意図する「中抜き」は、出版社ではなく、取次のようだ。大手には甘い取引条件なのに対して、これまではなにごとも後回しにされがちだった中小出版社に対し、アマゾンは「うちに直接おたくのを卸せば六・六掛け(正味66%)にするよ」などと説明しているとか。 アメリカではそのへんはどうなのか? アメリカでは独禁法により、取次業者が大手出版社に対する取引条件を優遇することが禁じられている。また、どんなに小さな屋さんでも、ホールセラー(日の取次に相当する流通業者)から最大手のバーンズ&ノーブルと同じ条件でを調達できる。書店の規模によって違うのは注文数に応じたディスカウン

    アマゾンはリアル書店で何をたくらむ?
  • グーグル勝訴で浮き彫りになるフェア・ユースと著作権の問題

    グーグルの書籍電子化、著作権法に違反せず=NY連邦高裁」(ロイター)、「米高裁も書籍電子化認める著作権裁判、グーグル勝訴」(共同)といった見出しで第一報が伝えられていますが、グーグルの「ライブラリー・ブックスキャン」の上訴審で初審の判決を認める判決が10月16日に下りました。以下、判決文を読んだので詳細を説明してみます。 これはもともと2004年頃から、グーグルが国内外の複数の図書館と合意の上で蔵書をスキャンし、電子化されたデータを図書館側に渡す一方で、グーグル利用者がキーワード検索するとその言葉が載っているが全文検索で探せて、一部閲覧できる、Google Books Library Projectというサービスを始めたところから起きました。 2007年にこのプロジェクトに慶應義塾大学図書館が加わり、日語のも対象になったこと、そして一方で、図書館ではなく、出版社とパートナーを組んだ

  • 新人(賞)の方法

    このたび、拙作「反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ」が第59回群像新人評論賞優秀作に選ばれた。関係者のみなさんに感謝しつつ、こういう経験は(少なくとも私の人生のなかでは)あまりないものだから、記念のため、ワザというかテクというか、賞をとるための方法について、自分の書き方を中心に考えてみた。 100%の我流なので、あまり参考にならないかもしれないが、まぁ、軽い読み物として読んで欲しい。 「反偶然の共生空間」要約 拙作「反偶然の共生空間」は、ジョン・ロールズの『正義論』という有名な政治哲学のテクストを、偶然性を排除する想像力についての観点から読み直してみると色々発見があるかもよ、という論旨で読解したものである。 たまたま目が見えない体に生まれてきたよ。たまたま貧乏な家で育ったから満足な教育を受けられないよ。たまたま事故に遭って全身麻痺状態になっちゃったよ。偶然は人々を無根拠に不幸に

    tacticslife
    tacticslife 2015/10/13
    おめでとうございます!
  • 村上春樹『職業としての小説家』への賛辞

    季刊誌「マグナカルタ」Vol. 02(2013年 春号)で、なぜ数多いる日人作家の中で村上春樹だけが突出して海外でも読まれているのか、というお題をいただいたことがあります。引き受ける際に「論と呼べるような持論は特になにもありませんが、なぜなのかを彼の人脈という点から種明かしをする形でなら書けます」とお答えして、それでもオーケーだということだったので、書きました(その時の原稿は『新・日人論』というアンソロジーに加えられました)。 村上春樹の小説だけが、海外で飛び抜けて売れるわけ その種明かしとは、「村上春樹のがこれだけ海外で、とくに欧米で売れるようになったのは、彼のバックに業界屈指のリテラリー・エージェントと、ランダムハウス傘下のクノップフという文芸の一流出版社と、村上春樹が翻訳を手がけたレイモンド・カーヴァーらの担当編集者がついているから」という、「論」とはおよそかけはなれたものでし

    tacticslife
    tacticslife 2015/09/28
    『職業としての小説家』、読んでみたくなった。
  • 私設雑誌アーカイブ「大宅文庫」の危機【前編】

    「知らなかった、大宅文庫が経営の危機にあることを」――。 8月8日、このような一文から始まる書き込みをFacebookにアップした。すると瞬く間に「拡散」され、5日後には「いいね!」が497人、「シェア」が276件。Facebookと連動させているTwitterのほうは、「リツイート」が674件、「お気に入り」が272件……。正直、驚いた。こんなに話題になるとは思ってもいなかった。その一方で、「みんな当に大宅文庫に関心があるの?」と訝る気持ちも生まれてきた。 公益財団法人・大宅壮一文庫(以下、大宅文庫)は、東京都世田谷八幡山にある雑誌専門の私設図書館だ。その名の通り、ノンフィクション作家で評論家の大宅壮一(1900〜1970年)が蒐集した膨大な雑誌資料が元になっている。大宅壮一といえば「一億総白痴化 」や「駅弁大学」「男の顔は履歴書である」といった名言・語録でも知られているが、「は読む

  • 第1回 皮算用編

    はじめに こんにちは、結城浩と申します。 「数学ガール」シリーズという数学物語や、プログラミング技術に関する書籍を書いています。 今回は「私と有料メルマガ」というタイトルで、私が運営している有料メールマガジンについての記事を書きます。 想定している読者として、自分で有料メルマガを運営したいと思っている方はもちろんのこと、文章やコンテンツ作成に関心のある方全般を考えています。 有料メルマガに対しては、ときどきこのような意見を聞くことがあります。それは、 有料メルマガはWebに比べてクローズドで、読者は広がらない。 有料メルマガの著者は少ない人数のために力を割かなくてはいけない。 というものです。私もその意見は理解できるのですが、自分が有料メルマガを運営しているときに感じていることとはずいぶんずれがあるように思います。 そこで私は、自分の有料メルマガの運営経験を文章にまとめてみようと思いました

    第1回 皮算用編
    tacticslife
    tacticslife 2014/02/28
    悩みどころが多いことが分かる。/無料で書いてるものとジャンル変えるのが良さそう。/でも金額考えると、毎月新書1冊分だからなー。重い!
  • 「ネットとマスコミ」の連載を終えて

    昨年4月から今年10月まで約1年半、ネットとマスコミの向き合い方を取材してきた。これまでの取材活動を出版社の動向を中心に振り返ってみたい。 電経新聞に連載した「ネットとマスコミ」は2009年4月にスタートした。激動するネットとマスコミの関係をじっくり取材して見極めたいという思いから始まった企画だ。もともと1年以上の連載にする予定だったが、開始当初、「最後の総括では『逆襲するマスコミ』『ネットで再生するマスコミ』くらいの見出しを付けることになるのではないか」という、いま思えばひどく甘い見込みを立てていた。要はマスコミの底力に期待していたわけだ。 結局マスコミを取り巻く厳しい事業環境は、当時といまとで何も変わっていない。ひどくなっているようには見えないが、改善しているともいえない。あえて表現するなら「苦境の固定化」といったところか。 そのような中、従来よりもネット事業に傾注する社が増えているの

  • アマゾンのこれからを「読む」には

    でもようやくキンドルが出回り始めて、実際の使い心地も、サービスの内容も一通りわかるようになったから、次はこの先のことをアマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスはどう考えているのかが知りたい……というのがせっかちな日のマスコミの心情のようだ。 とはいえ、アマゾンは具体的な数字を一切出さないニュースリリースやプレゼンに長けているので、アメリカの業界事情を詳しく知るレポーターでさえも、正確な売上げの数字や今後の動きについては慎重にguess work(当て推量)するしかないのが実情だ。 アマゾンに関する断片的なニュースから察するに、来年はヨーロッパ市場でキンドルに力を入れていくと思う。日はぶっちゃけ、後回し。良くて、しばらく様子見といったところだろう。だって、自費出版プログラムも、アンドロイドのアプリマーケットも、クラウドDB事業も、ストリーミングのインフラも、やることはすべて日でもやったんだ

    tacticslife
    tacticslife 2012/12/05
    動画を後で観る事。
  • 新型Kindleでアマゾンは次のステージへ

    今日は確かアマゾンの記者発表(下の埋め込み映像でも再生可)がある日だったな、と思っていつものように知人で行く人がいないか聞き回っていたら「今回は西海岸だよ」と指摘されてまず驚いた。アマゾンによるこの手のイベントは今まで出版業界の中心地である、このニューヨークで行われていたからである。 ということは……と改めて考えてみると、アマゾンにとってキンドルというビジネスがEブックを超えて自社が提供するエンタメサービスであることを世に知らしめる、という意図があるのだなと納得した。 アメリカではEブックは「3割の時代」を迎え、紙のとの共存が当たり前になっている。どのリーダー端末を買ってもそれで読めるについては、セレクションにも値段にも大した違いはない。とりあえず、読みたいはそこにあり、簡単に検索できて、安価で瞬時に手に入る。だから、今さら出版社が新しく加わりましたとか、自費出版の新しい試みが始まり

  • 電子書籍の「探しにくさ」について

    紙版が100万部を突破、12のストアでほぼ同時発売された電子書籍版も空前の売り上げを記録した『スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ』(講談社)。同書は内容のすばらしさもさることながら、「紙でも、電子でも」買える環境を新刊刊行と同時に広範に提供した初の書籍としても、後世に語り継がれるものになりそうだ。 だがそのことは同時に、従来の電子書籍の世界からは見えなかった課題も、あぶりだすことになった。紙と電子の書籍を横断検索できる「ブック・アサヒ・コム」の運営に携わる経験から、また発売日に複数の電子書籍ストアで同書を購入した個人的体験から、現段階でわかっていることを報告したい。 中心的なテーマは電子書籍の「探しにくさ」である。 電子書籍版『スティーブ・ジョブズ』の例から考える 発売前後の経緯を簡単に振り返ってみよう。各種報道によると、講談社は同書を当初2011年11月に発売する予定だったが、10月5日のジョブ

  • Kindle年内日本開店を見送り、来春以降へ延期

    共同通信英語版は12月27日、アマゾンが日でのKindleストアの年内開設を断念し、来春に延期したと報じた(以下英文毎日の記事による)。業界関係者によれば、小売価格の決定権を巡る出版社との交渉が難航しているのが理由という。現状では十分な日語タイトルを揃えられず、来年春が次のターゲットとなるようだが、“原理的対立”があるとすれば、決着はさらに延びる可能性もある。出版社にとって、時間が無限にあるわけではない。相手のほうが選択肢が多いからだ。 日で「最大の書店」としての存在感を発揮しているアマゾンは、E-Bookについても1年以上前から交渉を始めているが、今年も空振りになることがはっきりした。アップルiBooks、Googleもまだ参入しておらず、ガラパゴス状態は続く。 紙と電子のリンケージは不合理である 記事によると、アマゾンは、出版社が求める「固定価格による委託販売制」ではなく、「書店

    Kindle年内日本開店を見送り、来春以降へ延期
  • 震災の後に印刷屋が考えたこと

    3月11日に発生した大きな地震を、僕はオフィスで迎えた。 僕のオフィスはもともと活版印刷機を回していたビルなので、古いが大変に頑丈な作りをしている。ゆっくりと増幅しながら粘る揺れは、最初は水平方向に縦横に、次いで垂直方向を混ぜた立体的な揺れに変化して、オフィスを気持ち悪く揺さぶった。 僕のすぐ後ろの棚はシート(断裁等していない刷ったままの印刷物)を吐き出し続け、書棚は不恰好なダンスを踊っては壁にぶつかって音をたてた。重い原棚が摺り足でせり出してくる。上司が「ついに来たか!」と叫んだ。 幸い社屋の損傷は軽微で、けが人も出ることはなかったが、総務部の判断で16時をもって社員は解散ということになった。その一方営業に出たきり連絡の取れない社員もあり、また顧客に呼ばれて出て行くものもあった。こんな時に営業にきたと得意先でアイドルになった営業もいる。 後に聞いたところでは東京西部と埼玉にある印刷現場

  • 「電子出版の未来を考える会議」レポート

    最近、電子出版への流れは恐らく不可避だろう、と思うようになってきました。このレポートは、そう思うようになったキッカケを与えてくれた勉強会に関するものです。 先月の28日、「電子出版の未来を考える会議」(通称「でんのみ」)という勉強会が開催されました。飲み会と勘違いされやすい略称ではありますが、「でんのみ」は「”でん” 子出版 “のみ” 来を考える会議」という意味であり、えxぺというオンラインユニットの活動の一部として行いました。出版、新聞、金融、オンラインサービス、ライターなどを職とされている方々で、電子出版に興味がある方々が集まりました。参加の呼びかけ等はTwitter上で行われ、互いにTwitter上で知り合った人々による会議と言えそうです。 「でんのみ」はクローズドな会議のつもりだったのですが、『マガジン航』の編集部からぜひレポートを書いてほしい、との依頼を勉強会後にいただいたので

    「電子出版の未来を考える会議」レポート
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