また社会学者かよと思ったかも知れないが、また社会学者である。現代思想2016年10月号の社会学者の大澤真幸氏が、相模原障害者殺傷事件に関して「この不安をどうしたら取り除くことができるのか」と言うエッセイを載せているのだが、勘違いに基づく功利主義批判が展開されている。つまり、良くある功利主義批判と視点が逆の事を言っているので指摘したい。 功利主義は危険な思想である。功利主義に基づくと、他人に多くの快楽や幸福をもたらす人の生は重んじられ、逆に、他人に苦労を要求せざるを得ない弱者の生は軽いものになってしまうからだ。その弱者には、障害者や老人が含まれる。 生が重んじられる/軽んじられると言うのが分からない表現だが、飢饉で全員は助からないと言う状況などでは無い時の*1、財やサービスなどの割り当ての多寡と解釈しよう。労働能力が高い健常者と、労働能力が低い障害者を考えたときに、功利主義ではどのように財や