取材ノート ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。 日中関係は依然として冷え込んだままだが、この春くらいからか、双方に「出口」を求める動きも出てきた。11月に北京で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)をターゲットに、特使派遣など水面下の動きも伝えられる。 そんな中で、おやっと思ったのは今年4月の胡徳平氏の来日だった。知日派として知られた故・胡耀邦元総書記の長男だ。共産党や政府の要職にはないが、互いに党中枢だった父親を持つつながりで習近平総書記と「直接対話ができる関係の数少ない知日派」という。官房長官や外相、野党要人らと会見していったが、安倍晋三首相との面会が実現したことは公表されなかった。 外務省の招待だったそうだが、共産党指導部の了解があっての来日であり、日中関係打開の何らかの瀬踏みの意味があったのだろう。私も外務省関係者から