「米国のワシはオリーブを食べつくしたのか」。10月23日、ロシア大統領ウラジーミル・プーチン(66)は米国と旧ソ連が結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を通告するためモスクワを訪れた米大統領補佐官ジョン・ボルトン(69)に問いかけた。米国の国章でオリーブはワシが右足に握る平和の象徴。「オリーブは持ってこなかった」とボルトンが切り返すと「思った通りだ」と笑い声を上げた。米大統領ドナルド・ト
<トランプ米大統領が中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄する意向を表明。その真意は何か、世界や日本にどう影響するのか。小泉悠・未来工学研究所特別研究員と村野将・岡崎研究所研究員が緊急対談で明かした、ここでしか聞けない話> 10月20日、ドナルド・トランプ米大統領は中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄する意向を表明した。 INF条約は1987年に米ソで調印。地上配備型の中距離(射程500~5500キロ)の弾道・巡航ミサイルが対象。開発や保有、配備を禁じている。 条約破棄を受けて、「トランプの無謀な軍拡路線」「秘密裏にINF開発を再開したロシアへの牽制」など、さまざまな臆測が飛び交っている。 その真意は何か、世界や日本にどう影響するのか――。本誌11月13日号の特集「戦争リスクで読む国際情勢 世界7大火薬庫」で現代の戦争リスクを分析した未来工学研究所の小泉悠特別研究員(ロシア軍事研究)と、岡崎
【モスクワ=小川知世】ロシアのプーチン大統領は24日、米国が方針を通達した中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄をめぐり、米国が欧州に新たにミサイルを配備すれば「同等の措置を取らざるをえない」と対抗する構えを示した。米ロ間で軍縮を定めた条約の解消が続けば、軍拡競争を招くと警告。11月にパリで予定する首脳会談での協議に意欲をみせた。同日モスクワで開かれたイタリアのコンテ首相との会談後の共同記者会見
23日、モスクワで会談し握手するロシアのプーチン大統領(左)とボルトン米大統領補佐官(ロイター=共同) 【モスクワ共同】ロシアのリャプコフ外務次官は23日、トランプ米大統領が表明した中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄方針に対し「ロシアは条約維持のために国際的支持を結集し、国連などの場で対処していく」と述べた。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がロシア公式訪問を終えたのを受け、タス通信がリャプコフ氏の発言を報じた。 リャプコフ氏はINF廃棄条約は「欧州と世界の安全を保障する礎石だ」と強調。「新たな軍拡競争や1980年代の状態に戻る必要はないとの確信が国際社会にあると思う」と語り、条約維持に向けて良識の力に期待しているとした。
拓殖大学大学院博士前期課程修了。岡崎研究所研究員などを経て2019年より現職。日本国際問題研究所研究委員等を兼任。専門は日米の防衛政策、核・ミサイル防衛を含む拡大抑止政策。 前回(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14297)は、 INF条約が締結された背景や、ロシアによる条約違反、米国における対抗措置の検討と条約離脱派・維持派それぞれの主張を説明した。そこで述べたとおり、INF条約自体は米露二国間で締結されている条約であり、ともすれば核大国同士が議論すべき第三者的問題として扱われがちである。また条約が締結された歴史的経緯に関連して、ロシア(ソ連)と地続きになっている欧州の軍事情勢と異なり、地理的に離れている日本は蚊帳の外に置かれてしまいかねない側面もある。 INF条約交渉時、日本が果たした重要な役割 しかし、INF条約はその交渉時に日本が重要な役割を果
拓殖大学大学院博士前期課程修了。岡崎研究所研究員などを経て2019年より現職。日本国際問題研究所研究委員等を兼任。専門は日米の防衛政策、核・ミサイル防衛を含む拡大抑止政策。 10月19日、ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ政権がロシアとの間で締結している中距離核戦力全廃条約(以下、Intermediate-range Nuclear Forces:INF条約)の破棄を検討していると報じ、20日には、トランプ大統領自ら条約を破棄する考えであることを明らかにした。 INF条約をめぐっては、2014年にロシアが条約に違反する地上発射型巡航ミサイル(GLCM)を開発しているとして、米政府が公式に非難。2017年にはその実戦配備が確認されたことを受け、2018年2月に公表された「核態勢見直し(NPR)」(参照:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12095)では、
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