北京五輪の開会式で聖火の点火者を務めたウイグル族のジニゲル・イラムジャン選手(左)と漢族の趙嘉文選手(写真:新華社/アフロ) (福島 香織:ジャーナリスト) 私はもともと北京冬季五輪は専制国家のプロパガンダに過ぎないと思っており、外交的ボイコットを支持している。だが、日本選手はじめ世界各国のアスリートたちが4年の研鑽の成果を競い合う貴重な機会であり、楽しみにしているファンも多くいるであろうから、あまり大声で五輪開催自体をこき下ろすのは野暮だと思っていた。 しかし、あの「イマジン」の音楽に合わせて「未来に向かって、一緒に」と一直線に並んで歩く一糸乱れぬ行進、聖火台点灯役にウイグル人女子選手をあえて抜擢した開幕式の演出、さらに高梨沙羅選手ら5人のノルディックスキー・ジャンプ団体競技での「スーツ規定違反」、スピードスケートやスノーボードでの異様な「判定」による有力選手の失格、女子テニスプレイヤー
北京オリンピックが2月4日に開幕する。世界屈指のアスリートたちが熱戦を繰り広げる中、忘れてはならない問題がある。 新疆ウイグル自治区での人権問題だ。この問題に家族が巻き込まれたという日本在住のウイグル出身の男性は「私たちの日常平和を破壊しておきながら、何事もなかったかのように開かれるオリンピックには反対」と訴える。 新疆ウイグル自治区は中国北西端にあり、中央アジアなどに隣接している。中国の行政単位(省または自治区)としては最大の面積で、約2500万人が住んでいるとされる。多様な少数民族が暮らしてるが、最も多いのがウイグル族だ。18世紀半ばに清朝が征服して以降、今の中国に属している。2009年に広東省の工場で漢族がウイグル族を襲う事件があり、自治区のウルムチでウイグル族が抗議デモをしたところ、治安部隊と衝突。これをきっかけに当局の締め付けが強まり、ウイグル族を「テロ分子」「分離独立派」なとど
北京オリンピックは4日夜、開会式が行われ、習近平国家主席が開幕を宣言して17日間の日程が始まりました。 アメリカなどが、新疆ウイグル自治区などでの人権問題を理由に政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を行う中、式では、聖火リレーの最終ランナーをウイグル族の女性選手らが務める場面もありました。 4日夜、国家スタジアム、通称「鳥の巣」で行われた北京オリンピックの開会式は、新型コロナウイルスの感染対策などを理由に、一般向けにチケットは販売されず、観客は招待された人に限られ、時間もおよそ2時間半と、2008年の夏の大会より大幅に規模が縮小されました。 式では、大会組織委員会の会長で、北京市トップの蔡奇書記があいさつし、「習近平国家主席と政府の力強い指導のもと、新型コロナの感染の影響を全力で克服し、予定通り開幕することができた」と述べ、開催を主導してきた習主席のリーダーシップをたたえました。 そ
仏パリで記者会見したエマニュエル・マクロン大統領(2021年12月9日撮影)。(c)Ludovic MARIN / various sources / AFP 【12月10日 AFP】エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は9日、欧米諸国が表明した北京冬季五輪の外交的ボイコットについて、「ささい」な措置だとし、フランスは同調しない意向を示した。 マクロン氏は記者会見で、取るべき行動は「選手を派遣しない完全なボイコットか、有用な行動で変化を促すかのどちらかだ」とし、「有用な結果をもたらす行動には賛成だ」と説明。「最近の数週間で起こったことを考えると」フランスは選手の保護を保証する憲章の制定に向けて国際オリンピック委員会(IOC)と協力したいとも述べた。 この発言は、中国の前副首相から性的関係を強要されたとSNSで告発した後、3週間消息を絶った女子テニス選手の彭帥(P
IOC=国際オリンピック委員会は2日、中国の前の副首相との関係を告白したのち、行方が分からなくなっていると伝えられている女子プロテニスの彭帥選手と、先月に続き再びテレビ電話で対話したと発表しました。 IOCは「多くの人や組織と同じ懸念を共有している」などとしています。 中国の女子プロテニスの彭選手をめぐっては、共産党最高指導部のメンバーだった張高麗前副首相から性的関係を迫られたことなどを告白したとされる文書がSNS上に投稿され、その後、行方が分からなくなったと伝えられています。 IOCは、先月21日にバッハ会長が彭選手と30分間にわたって対話したことを明らかにしていましたが、2日、再びテレビ電話で対話したと発表しました。 IOCは、彭選手の幸福と安全について「多くの人や組織と同じ懸念を共有している」などとしたうえで、来年1月に個人的に会うことで合意していると強調しました。 さらに、彭選手を
中国の前の副首相との関係を告白したのち、行方が分からなくなっていると伝えられている女子テニス選手について、IOC=国際オリンピック委員会は21日、バッハ会長がこの選手とテレビ電話で対話をしたと発表しました。 IOCによりますと、この選手は北京市内の自宅で暮らし、無事でいることを説明したということです。 中国の女子プロテニスの彭帥選手をめぐっては、共産党最高指導部のメンバーだった張高麗前副首相から性的関係を迫られたことなどを告白したとされる文書がSNS上に投稿され、その後、行方が分からなくなったと伝えられています。 IOCは21日、ホームページでバッハ会長が彭帥選手とテレビ電話で30分間にわたって対話したと発表しました。 それによりますと、いずれもIOCのアスリート委員で、彭帥選手の知人の李玲蔚氏と、エンマ・テルホ氏が同席し、冒頭で彭帥選手がIOCに対して感謝の気持ちを示したうえで、北京市内
東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に移す案について、東京都の小池知事が「北方領土でどうか」などと発言したことに対し、ロシア外務省は、北方四島はロシアの領土だと強調したうえで、「スポーツは対立を引き起こすような冗談に使うべきではない」と批判しました。 この発言に対してロシア外務省や東京のロシア大使館は18日、公式のツイッターやフェイスブックなどで「小池知事にご参考までに申しますが、日本には気候の涼しい土地が十分にある。しかし、ロシアの南クリルの島々は日本のものではない」とコメントして、北方四島はロシアの領土だと強調しました。 そのうえで「スポーツは結び付きをもたらすべきで、対立を引き起こすような冗談に使うべきではない」と、小池知事の発言を批判しました。 ロシア外務省は、これまでに東京オリンピック・パラリンピックの公式ホームページについても、北方領土が日本の領土として地図上に表示され
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