ロシアのプーチン大統領が12日、訪ロ中の安倍晋三首相に対し、年内に無条件で平和条約を締結することを提案した。北方四島の帰属問題の解決を平和条約の前提とする日本政府の立場に反するもので、領土問題に注力してきた首相には寝耳に水だった。突然の提案の背景では、ロシアを取り巻く地政学上の環境変化が作用している。「今思いついた」プーチン氏の提案は首脳会談ではなく、極東ウラジオストクで開催中の東方経済フォー
<領土問題解決の環境整備を図りたい日本だが、ロシアは態度を硬化させている> 日本の安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は仲がいい。先のG20首脳会議に合わせて行われた両者の会談は、実に18回目。直前に行われた米ロ首脳の初会談が長引き開始こそ大幅に遅れたが、約50分の会談のうち15分は通訳を交えて両首脳だけで行われるなど、おおむね良好に進んだらしい。 平和条約や経済協力、北朝鮮問題などが話し合われ、9月にウラジオストクで開かれる東方経済フォーラムへの安倍の参加も確認された。これぞロシアに対する「新しいアプローチ」の成果、と安倍は自慢したいようだが、現実はそう甘くない。 昨年5月の日ロ首脳会談で発表されたこの新アプローチは、ハイレベルの政治対話や両国の交流促進に向けた「8項目の経済協力プラン」から成り、日本としては北方領土問題の解決に向けた環境整備につなげたい考えだ。また14年のウクライナ侵攻
Abe hopes economic interactions will help compel Russia to compromise on a territorial dispute. Russian President Vladimir Putin (R) meets with Japanese Prime Minister Shinzo Abe at the Bocharov Ruchei state residence in Sochi, Russia (May 6, 2016). Credit: Michael Klimentyev/Sputnik/Kremlin via Reuters On May 6, 2016, Prime Minister Shinzo Abe traveled to Russia to meet with President Vladimir Pu
6月1日にプーチン大統領は、日露関係や北方領土問題に関して重大発言をした。私にとって衝撃的だったのは、日米韓などが北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗してミサイル防衛(MD)システムなどを強化していることに対して、彼が「これはイランの核を口実にした欧州でのMD配備と同じ欺瞞(ぎまん)で、問題は全く北朝鮮にあるのではない」と述べたことだ。 つまり彼は、日米韓の本音は露を対象にしたMD包囲網の強化だとの被害者意識を強めている。あるいはそれを理由に、北方四島の軍事強化を正当化しているのだ。彼は「これらの島はその最適の場所」とさえ言う。露は公式には北朝鮮の核・ミサイル開発を批判するが、実際には日米韓が北朝鮮を「喫緊の脅威」と強い懸念を抱いていることを全く無視している。 二島返還さえ拒否する口実に
異例のブリーフィング2017年6月15日、在日ロシア大使館と同武官室は、日本メディアなどを招いて異例のブリーフィングを行った。 「異例」というのは、ロシア大使館武官室がこのような会合を開催することが極めて珍しいためである。 武官室に勤務するロシア武官たちはロシア軍の情報機関である参謀本部総局(GU。従来は参謀本部情報総局=GRUと呼ばれていた)に所属する諜報要員であるとみられており、基本的にはメディアの前には姿を現さない。 これまでにも武官が日本のメディアに登場したのは、東日本大震災直後にロシア空軍機が日本周辺を飛行したことに対して釈明を行ったケースなど、かなりの重要事態に限られていた。 これに対して今回のブリーフィングではカメラを招き入れており、日本側に対して重要なメッセージを発しようとしたと考えられる。 では、ロシア側が日本側に発しようとしたメッセージとは何か。 日米ミサイル防衛を懸念
「クリル諸島」への師団配備を公表ロシア軍が新たに1個師団を「クリル諸島」に年内に配備するというニュースが大きな注目を集めている。 2月22日にロシア議会の公聴会に臨んだショイグ国防相が明らかにしたものだが、クリル諸島といえば千島列島と北方領土を含むロシア側の名称であるため、これを「北方領土への」新師団配備と解釈する報道も多いようだ。 また、日本政府も「北方四島でロシア軍の軍備を強化するものであるならば」との条件付きでロシア側に遺憾の意を表明したことを明らかにした。 ただし、冒頭で述べたように、ロシア側が発表したのは(北方領土を範囲の一部に含む)「クリル諸島」への師団配備であり、我が国の北方領土に新たな部隊配備を行うと明言したわけではない。 ロシア側は配備を「年内」としているので近く追加情報が出てくると思われるが、まずは現時点での冷静な議論のために、判明していることをまとめておこう。 その上
12月15、16日に行われた、安倍総理とプーチン大統領による日露首脳会談。筆者の関心はもちろん北方領土問題にあった。「平和条約締結後の色丹島・歯舞諸島の返還」を明記した「1956年の日ソ共同宣言を確認する」との言及があるかと思われたが、結果はご承知のとおりである 国内では一時「4島一括返還」の期待まで膨らんでいただけに、日露首脳会談の成果全体を否定的にとらえる向きも多いようである。だがロシアの軍事戦略を考えれば、日ソ共同宣言通りの歯舞・色丹の2島返還に期待は持てても、択捉・国後両島についてはそもそも厳しいものだったのである。
ロシア政府は、12月に予定されたロシアのウラジーミル・プーチン大統領の訪日直前に、クリル諸島南部に地対艦ミサイルシステムを配備した。これにより、平和条約が締結されていないため未だに第二次世界大戦が正式には終結していない二国間で70年も続く外交上の駆け引きは、さらに重要度を高めている。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による訪日が予定される中、ロシアは「バル」と「バスティオン」のミサイルシステム (NATOのコード名ではそれぞれ「センナイト」と「ストゥージ」) をクリル列島に配備した。 12月15日に山口県で予定されているプーチン大統領と安倍首相の会談のわずか数週間前となる11月22日に地対艦ミサイルユニットが配備されたことは、解決不可能とも見える領土問題をめぐる何らかの「打開策」の合意に向けた両国の最近の取り組みに、悪影響を及ぼすとみられている。 緊張緩和のために言及される可能性がある
12月にプーチン大統領が訪日し、山口で公式の首脳会談、翌日東京で実務会議が行われる。安倍晋三首相は当初、山口での会談に拘(こだわ)った。「静かな環境でゆっくり」つまり、平和条約問題を2人でじっくり懇談したいからだ。しかし経済協力にしか関心のないプーチン氏は、当初は東京での公式会談、それが無理なら山口と東京の双方を望んだ。大型経済代表団同伴が理由だ。結局首相はプーチン氏に押し切られた。 役者は露側の方が数段上9月6日、プーチン氏は記者会見で露記者の「東京でも伊勢志摩でもなく、なぜ山口なのか」との質問に「詮索したくないが、日本は米国追随だからだ」と答えている。伊勢志摩云々(うんぬん)の質問は素人的に見えるし、プーチン氏の答えも異様だ。だが私はこの質疑応答は奥が深いと思う。
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