三菱商事は20日、全額出資するシンガポール子会社のデリバティブ取引で約3億2000万ドル(約345億円)の損失が発生する見込みだと発表した。シンガポールで原油・石油製品の取引を行う子会社の中国籍社員が社内規定に違反する取引を行ったことによるもので、7月以降の原油価格下落で損失が拡大した。 この社員は1月以降デリバティブ取引を繰り返しており、リスク管理システム上のデータを改ざんし、中国の顧客向けの原油取引に関連したヘッジ取引であるかのように装い発生した損失が社内で認識されなくなるようにしていたという。8月中旬以降同社員は欠勤しており、担当していた取引を精査したところ不正が判明した。 この取引を行った現地社員を9月18日付で解雇し、19日付でシンガポールで刑事告訴した。対象の取引はすでに手じまっているものの、関連取引費用などを含めた損失の確定額を現在精査している。今期(2020年3月期)の業績
「非人道兵器」と呼ばれるクラスター爆弾を製造する企業に対して、投融資を行っている世界各国の金融機関をNGO(非政府組織)団体が発表しました。 調査・報告はオランダのNGOが行ったもので、クラスター爆弾を製造しているアメリカ、中国、韓国の6社に対して世界の金融機関が投融資を行っているか、あるいは禁止しているかなどがまとめられています。調査報告は、2013年から今年3月までに世界で166の金融機関が310億ドル、約3兆4000億円を投融資したことが明らかになったとしています。日本の金融機関では三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、オリックス、第一生命がリストに挙がっています。2010年に発効したクラスター爆弾の禁止条約は日本を含む101カ国が批准していますが、そのなかで、日本は製造企業へ投融資を行っている金融機関の数が最も多くなっています。投融資額は合わせて20億
順調な滑り出しだったが、1997年に状況が一転した。アジア通貨危機が発生したのだ。タイ通貨バーツの暴落を皮切りに発生したこの経済危機は、またたく間にアジア諸国に波及し、各国経済に悪影響を及ぼした。 ミャンマーでも2003年、銀行危機や取付騒ぎが起こり、資本市場の育成に向けた気運は一気に減退した。さらに、2007年には燃料の大幅値上げをきっかけに全国規模で高揚した僧侶による非暴力抗議活動や学生による政府抗議デモを軍事政権が弾圧・抑圧する事態が発生。 これに対し、欧米諸国が経済制裁に踏み切ったことから、証券取引所の設立に向けた機運は一層縮小した。 しかし、そんな逆風の中でも取り組みは続いた。この時期、日本をはじめ、欧米など各国の企業の多くは撤退を余儀なくされた。また、欧米諸国は政府開発援助(ODA)を停止。日本政府は支援は続けたものの、分野は人道支援に絞り、規模も縮小していた時期だ。 証券市場
日本政府は、緊急時に通貨を融通し合う「通貨スワップ(交換)」の日韓協定について、韓国政府から正式要請があれば再締結に応じる方針を固めた。日本政府高官が13日、明らかにした。北朝鮮の核開発問題や中国景気の悪化など安全保障と経済の両面で不安要素を抱える東アジア地域の安定に向け、正式要請には応じるべきだと判断した。再締結が実現すれば、協定は昨年2月以来となる。 日本政府は、中国の景気後退が韓国経済に大きな影響を与えるリスクがあるため、国境を超えた景気悪化の連鎖を防ぐには通貨スワップ協定が有効だと判断した。韓国で経済危機が発生し米ドルや日本円が不足したときに、日本が通貨を融通し経済の安定化を図る。 日本政府は、韓国政府から協定再開の申し入れを受けてから、融通枠の上限額などを検討する。協議がまとまれば国際会議に合わせた財務相会談や首脳会談などでの調印式も検討する。 通貨スワップ協定は、経済力のある国
日本や中国、韓国、インドネシアなど13カ国が参加する「東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)」が今春にも国際機関に昇格する。主導する日本は、国際金融システムの番人である国際通貨基金(IMF)のアジア版と位置付け、通貨危機の警戒体制強化などを目指す。 AMROは2011年4月に設立された。参加国から派遣されたエコノミストがアジア域内の経済や金融情勢を調査・分析。通貨危機時には、外貨を融通し合うチェンマイ・イニシアチブ(CMIM)の発動を13カ国に勧告する役割を担う。 現在は本部を置くシンガポールの一法人にすぎないため、人材難などを理由に組織として未熟との見方が多かった。国際機関化を実現する協定発効には各国議会の承認が必要だが、日本は既に手続きを終えており、残りの国でも今春までに承認されるめどが立った。 国際機関への昇格で信用力が向上し、IMFなどとの連
マカオのカジノを経由して資産を海外へ持ち出す中国人は少なくない(資料写真)。(c)AFP/Philippe Lopez〔AFPBB News〕 「3.11」の影響で冷え切っていた投資ブームが再び盛り返しているのだ。山手線沿線で開業する不動産仲介業者によると、中国人からの不動産売買の問い合わせは「最近、非常に増えている」という。 だが、そこには「歓迎ムード」はない。取引の現場で広がっているのはむしろ困惑だ。 当初は「(中国人の)お客様は神様」という風潮もあったが、“マナー問題”が顕在化したことにより中国人との取引にはむしろ消極的だ。「できることなら相手にしたくない」と本音を漏らす不動産仲介の営業マンもいる。 「4000万円の物件でも、のっけから『1000万円負けろ』と平気で言ってくる。売主さんとようやく話をまとめても、契約当日にさらに値引きを迫ってくる。引き渡しの後も何かと文句をつけてくる。
クルーグマンが変節した/いやしていない、と話題になっていたので、改めて整理してみます。 blogos.com つまり異次元緩和と呼ばれた大胆な金融緩和の発想元となっているクルーグマン教授が、自らその考え方が誤りであることを認めた格好となった。これは日銀にとっては事件とも言えよう。アベノミクスの背景にあるリフレ派の考え方をその教祖とも呼べる人が疑問視したのである。 gendai.ismedia.jp ところで、このクルーグマン氏の「変節」は、現在の日銀の金融政策に批判的な論者らに熱狂的な歓喜をもって迎え入れられたが、残念ながら、そのインプリケーションは、彼らが期待したものとは全く正反対である。 クルーグマン氏は、「日本がこの『臆病者の罠』から抜け出すためには、よりアグレッシブな金融緩和を実施すると同時に財政支出も拡大すべきだ」と提案している。 見方が正反対に分かれるのは、「変節した」派はクル
周りの温度が上昇しているのにそこから逃げることができない――。欧州と日本の通貨当局はそんな「ゆでガエル」のような状況に陥る可能性がある。鍋を熱しているのは中国の通貨・人民元の切り下げだ。 中国政府による今回の人民元安誘導は、新興国や資源国で輸出業者の競争、自国の株式市場、およびデフレへのインパクトに対する懸念を引き起こし、それらの国々の通貨全般に影響を及ぼしている。 では、先進国通貨はどうか。米ドルの上昇は、米連邦準備理事会(FRB)に来月の利上げを延期する理由を提供するかもしれないが、複数の為替ストラテジストの見立てによれば、米国経済は人民元切り下げの直接的な影響から十分守られているという。 ただ、ユーロ圏と日本はそうはいかないかもしれない。どちらも(段階は異なるとはいえ)金融緩和の最中にあり、そうすることによって――間接的にではあるが――通貨安を促し、中国との貿易取引が多い輸出業者を支
(ブルームバーグ):麻生太郎財務相は中国の金融市場の安定化策を批判し、20カ国・地域(G20)で日本が孤立した格好となった。 アンカラで4、5両日開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議で、大半の当局者は中国が経済の移行に伴う混乱を最小化する計画の説明を歓迎したが、麻生財務相は説明が十分ではないと語った。 同会議に出席した2人の当局者が匿名で語ったところによると、中国の計画に不満を表明したのは麻生財務相だけだった。 サウジアラビア通貨庁(SAMA、中央銀行に相当)のファハド・ムバラク総裁はアンカラでのブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、中国の問題が誇張されていると指摘。「われわれは中国が改革の道を歩んでいると確信している」と語った。 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は会議で、中国当局が金融システムの安定化のために行動を取っていると述べるとともに、長期的に人民元が一段と下
今年6月、対ドルの円相場は13年ぶりの安値となる1ドル=125円台をつけた後、これ以上の円安はありそうにないという黒田東彦・日銀総裁の発言を受け、122円に迫る水準まで反騰した。 だが、黒田総裁が後に明確にしたように、日本の金融政策の立案者は為替レートの動きを予測しようとはしないし、ましてや管理などしない。 日銀の目標は、あらゆる効果的な中央銀行のそれと同様、雇用とインフレの適正な組み合わせを保証することだ。 金融政策と為替レートの関係 もちろん、一国の金融政策は確かに短期的に為替レートに影響を及ぼす。だが、影響を及ぼすのは、唯一、他の関係国の金融政策との関係においてのみだ。 今日の日本の場合、為替レートは自国の金融緩和よりも、米連邦準備理事会(FRB)による大規模な量的緩和(QE)が円に上昇圧力をかけた時期を経て、金融引き締めに向かう米国の動きによって決定されている。 また、国は外国為替
こうした長期金利の上昇は、景気回復の動きを背景としていると捉えられている。しかし、日米欧の長期金利の上昇は、本当に景気回復を背景としたものなのだろうか。 米国、ドイツで金利が急上昇 米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)が年内に利上げに踏み切る可能性が高く、量的緩和政策終了の先行きが見えない欧州や日本と違い、「利上げ」という新しいステージに向かい、景気回復基調を背景に長期金利が上昇しやすい環境になっている。 この長期金利の上昇に警鐘を鳴らしたのは、イエレンFRB議長だった。5月6日の講演で、「初回の利上げを契機に、債券利回りは急激に上昇するかもしれない。こうした現象は2013年の『テーパータントラム』でも見られ、金利は非常に大きく上昇した」と金利上昇リスクを指摘した。 「タントラム」とは「癇癪(かんしゃく)を破裂させること」で、量的緩和の縮小・停止(テーパー)を契機に長期金利が急上昇する
Chris Arnadeという人が、元ウォール街トレーダーという視点からギリシャ危機についてThe Atlanticに書いている。(H/T Economist's View)。 以下はその冒頭部。 One of the first lessons I was taught on Wall Street was, “Know who the fool is.” That was the gist of it. The more detailed description, yelled at me repeatedly was, “Know who the fucking idiot with the money is and cram as much toxic shit down their throat as they can take. But be nice to them firs
経済史の重要な分岐点は、ごくたまにしかやってこない。優れた政治家が意を決して取り組めば、一国の経済が進む航路を若干変えることはできるかもしれないが、大きく変えられることは非常に少ない。ましてや、全く新しい方向に進ませることなど、まず無理だ。 新時代の到来を示唆する断絶の瞬間は、半世紀に1度ぐらいしか訪れない。 思えば、フランクリン・D・ルーズベルト大統領が米国経済を不況から引っ張り上げたのは1930年代のことだ。 英国のマーガレット・サッチャー首相と米国のロナルド・レーガン大統領の下でインフレスパイラルが制御されたのはその50年後のことだった。 安倍首相が手にした大きなチャンス 日本の安倍晋三首相は、このえり抜きの政治家のリストに名を連ねるチャンスを手にしている。 安倍氏が政権を握った時、市場は文字通り大喜びした。日本がデフレによる停滞から脱出するまで、制限を設けずに金融を緩和すると約束し
7月7日、中国当局が相次いで打ち出した異例の株価支援策。それがうまく行くと考えるのは、愚か者だけだ。写真は証券会社の株価ボード。北京で1日撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) James Saft [7日 ロイター] - 中国当局が相次いで打ち出した異例の株価支援策。それがうまく行かないと考えるのは、勇気があり余る投資家だけだろう。一方、それがうまく行くと考えるのは、愚か者だけだ。 今の中国株に関して選択の余地があるなら、正しい態度は傍観者として様子を見守ることだ。なぜなら、株式市場の急落に直面した中国当局は、一連の強力な対策で売り手を威圧しようとしており、それらは株価にとっては支援材料だが、現実と株価のかい離をもたらすからだ。 6月12日以降に上海総合指数が約30%下落したのを受け、中国当局は今月4日から立て続けに株価の下支え策を発表。中国の大手証券21社は、相場を
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