防衛省は、南西地域に配備する陸上自衛隊の地対艦誘導ミサイル(SSM)を改良し、射程を現在の約2倍に延伸する検討に入った。艦艇の能力増強を図る中国軍への対処能力と抑止力を高める狙いがある。改良した同型のミサイルを海上自衛隊の哨戒機にも搭載し、空対艦ミサイルとしても活用する。複数の政府関係者が28日、明らかにした。 射程を延伸するのは最新鋭の12式SSM。現在は射程200キロ程度だが、最大400キロ程度にまで伸ばす。令和5(2023)年度に部隊配備する。 陸自は、戦力の「空白地帯」とされる南西地域の防衛態勢強化を急いでいる。今年3月には鹿児島県・奄美大島と沖縄県・宮古島に駐屯地や分屯地を新設。奄美大島では南西地域で初めて12式SSMが配備され、来年には宮古島にも導入される。駐屯地の新設が計画されている沖縄県の石垣島でも配備される見通しだ。 陸自は、離島侵攻に対し(1)洋上(2)海岸地域(3)内
防衛省が、中国による南西方面の離島への侵攻に備え、民間航空機が運航している離島の空港の滑走路を復旧する部隊の新設を検討していることが24日、分かった。沖縄県の宮古島(宮古島市)や石垣島(石垣市)などの空港が対象。武力攻撃への自衛隊の対処と住民避難で空港の機能は不可欠だが、敵の攻撃により滑走路が破壊されれば、平時に管理している県では復旧できないと判断した。 離島防衛をめぐっては、陸上自衛隊が26日、宮古島市と鹿児島県の奄美大島にある奄美市と瀬戸内町に新たな駐屯地などを開設し、有事で初動対処にあたる警備部隊と地対艦・地対空ミサイルを配置する。南西方面で陸自の実戦部隊配備は初で、石垣市にも同じ構成の配備を計画している。 中国との有事で懸念される尖閣諸島(石垣市)侵攻を想定すると、宮古・石垣両島にも同時に侵攻する恐れが強い。中国は尖閣と宮古・石垣両島をひとつの戦域と捉えているためで、両島に陸自を配
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐる政府との対立が深まる中、沖縄県の玉城デニー知事は9日、東京の日本外国特派員協会で会見し、名護市辺野古への移設反対を海外メディアに訴えた。米国世論に働きかけるため、11日には就任後初めて訪米する。出発を前に、外国の記者はどう見たのか。 沖縄県の玉城デニー知事が9日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で就任後初めて会見し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対していると改めて訴えた。「沖縄の過大な基地負担を減らすのでなく、機能強化して新基地を造るのは絶対に認められない」と強調した。 玉城氏は、米海兵隊員と沖縄の女性の間に生まれた出自を語り、日米安保体制は認める立場と自己紹介。「沖縄の全基地の即時閉鎖・撤去は求めていない」と述べた。その上で、米軍基地があるがゆえに事件・事故が今も後を絶たない実情を説明し、「基地の整理縮小を着実
「自衛隊配備」をめぐって、大論争になった島がある。東京から約2000キロ、日本最西端に位置する沖縄県・与那国島だ。島を二分した住民投票を経て、防衛省は2016年春、この島に国境を監視する部隊を配備した。それから2年半。小さな島には若い隊員やその家族が移り住み、念願だったごみ処理施設は防衛予算で新設が決まった。島で見かける迷彩服や丘にそびえるレーダー塔も見慣れた光景になりつつある。一方で、「疑問の声を上げにくくなった」と悩む人も少なくない。激しく争った賛否双方の島民たちは、いま、何を思っているのだろうか。まずは、住民投票の際、迷いながら賛成票を投じた若者の話から。(笹島康仁、大矢英代/Yahoo!ニュース 特集編集部)
沖縄県の石垣島(石垣市)を本拠地とする日刊紙「八重山毎日新聞」が12日付の1面コラム「不連続線」で、「石垣も自衛隊が来れば自衛隊にまつわる新たな犯罪や事故が当然予測される」と書いたことを受け、八重山防衛協会、八重山自衛隊家族会、隊友会八重山支部の3団体は19日までに、コラムの記述撤回と謝罪を求める抗議書を、八重山毎日新聞の黒島安隆社長あてに提出した。 コラムでは、政府による陸上自衛隊配備の是非が大きな争点となる3月11日投開票の石垣市長選や、秋に予定される県知事選などに触れて自衛隊をくさし、「今年の選挙は沖縄の基地負担のありようを問う選挙だ」と強調した。 3団体は抗議書で「国家の主権と国民の生命財産を守る任務に就く自衛隊および自衛官の尊厳を著しく毀損するものであり、憲法で保障されている職業選択の自由をないがしろにしている」となどと批判した。 筆者である八重山毎日新聞の上地義男氏は19日付の
10日から11日にかけて、沖縄県の宮古島や尖閣諸島の大正島の沖合で、外国の潜水艦が日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行したのを海上自衛隊が確認しました。大正島沖の接続水域では中国軍のフリゲート艦も確認されたということで、防衛省は、潜水艦は中国軍と見て情報収集と警戒監視に当たっています。 この潜水艦はその後も北西に航行を続け、接続水域から東シナ海に出ましたが、11日午前、尖閣諸島の大正島の北東で再び日本の接続水域に入ったいうことです。 また、大正島の沖合では、11日午前11時ごろ、中国海軍のフリゲート艦1隻が日本の接続水域に入り、いったん水域を出ましたが、その後、再び接続水域に入ったということです。 いずれも領海への侵入はないということですが、防衛省は、中国軍のフリゲート艦の動向などから潜水艦は中国軍と見て情報収集をするとともに警戒監視を続けています。 潜水艦がほかの国の沖合を航行する場
南西諸島周辺で活動を活発化させる中国などを念頭に、海上保安庁や防衛省は、2018年度予算概算要求で体制強化を明確に打ち出し、総額はともに過去最大規模となった。増強される「南の守り」の現場を見た。 ◆尖閣周辺に新巡視船 紺碧(こんぺき)の海が広がる尖閣諸島周辺で、海保の巡視船「しもじ」が波しぶきを上げて外国漁船に迫った。 「しもじ」は、外国漁船取り締まり強化のために新たに造られた船だ。船体側面の表示装置に外国語を示して警告し、拡声機で領海から離れるよう命じる。 「警告を無視した船には接舷して拿捕(だほ)することもある。特殊な海域でもあり、気を抜けない」。対応次第では国際問題に発展しかねない海域だけに、警備に目を光らせる大山洋船長(43)の言葉には緊張感がこもる。 ◆領海侵入が横行 好漁場であるこの海域には禁漁期明けの8月以降、中国や台湾から例年、200~300隻の漁船が来る。今年は最大で約7
尖閣諸島周辺の領海への侵入を繰り返す中国公船を最前線で監視するのが、魚釣島から南南東に約170キロの石垣島に常駐する石垣海上保安部(沖縄県石垣市)だ。 海上保安庁は2016年度末までに、大型の巡視船12隻を擁する尖閣諸島警備の専従体制をつくり、石垣海保に10隻、残り2隻は沖縄本島に配備した。石垣海保は約700人体制と、全国最大規模になった。 中国船が領海に侵入すると、海保の巡視船は一定の距離を保って並走し、「ここは日本領海だ」と退去を求める。すると「ここは中国の領海だ」と反論するという。遠山純司保安部長は「中国側は50年、100年の単位で尖閣問題に対応している。短絡的に彼らとぶつかり合うことは、かえって付け入る隙を与えることになる」。 海保の増強に加え、石垣島で進みつつあるのが「要塞(ようさい)化」だ。政府は13年の防衛大綱で「島嶼(しょ)部への部隊配備」を明記。初動対応を担うため、奄美大
南西諸島の防衛を強化するため、上陸作戦を専門とする新たな部隊が1年後に発足するのを前に、部隊の中核となる陸上自衛隊の隊員たちがアメリカ西海岸で日米共同訓練を行いました。東シナ海などで中国の海洋進出が強まる中、不測の事態に備える一方で、現場の緊張を高めないための取り組みを、どう進めていくかが課題になっています。 隊員たちは、来年度末に発足する予定の上陸作戦を専門とする「水陸機動団」の中核となるメンバーで、今回の訓練は発足に向けた最終的な仕上げと位置づけられました。 訓練は離島が侵攻されたため、日米が共同で海から上陸し奪回するという想定で行われ、主力の部隊が5キロほど沖合いの艦艇から、水陸両用車のAAV7を使って、砂浜に次々に上陸しました。自衛隊の隊員がAAV7を訓練で操縦するのは今回が初めてで、同乗したアメリカ軍の兵士と声をかけ合いながら、海上から陸上での操縦に切り替える際のポイントなどを確
飛距離300キロを想定している。宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる。2017年度予算の防衛省の概算要求に開発費を盛り込み、23年度頃の配備を目指す。中国は尖閣周辺での挑発行動を繰り返しており、長距離攻撃能力の強化で抑止力を高める狙いがある。 開発するのは、輸送や移動が容易な車両搭載型ミサイル。GPS(全地球測位システム)などを利用した誘導装置を搭載し、離島周辺に展開する他国軍艦などを近隣の島から攻撃する能力を持たせる。13年に閣議決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)では、離島防衛強化が打ち出されており、開発はこの一環だ。
中国軍が尖閣諸島など日本の領海や領空への侵犯を重ねる中、中国の軍事動向を調査する米国の研究機関が「中国軍部はヘリコプター急襲や洋上基地の利用によって尖閣諸島を奪取する戦略を着実に進めている」とする分析を明らかにした。 同研究機関は、中国は長期的には東シナ海での覇権を確立するとともに、沖縄を含む琉球諸島全体の制覇を目論んでいると明言している。 尖閣制覇の目的は? ワシントンで中国の軍事動向を研究する民間機関「国際評価戦略研究センター」の主任研究員リチャード・フィッシャー氏は、中国人民解放軍の東シナ海戦略についての調査結果を報告書にまとめ、このほど公表した。 同報告書は、まず中国が南シナ海で人工島建設による軍事化を推進し、同時に東シナ海でも、2013年11月の防空識別圏(ADIZ)の一方的な設置宣言に象徴されるように、軍事能力を高めていることを指摘する。特に、尖閣を含む琉球諸島の南部を重点的な
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