東南アジアにおける中国の経済面での存在感が縮小し始めている。かつて中国はこの地域に最も多くの融資や援助を行っていたが、今日では他国に押され影が薄くなっている。中国が自国の裏庭ともいえる同地域に向ける金を切り詰めると、習近平国家主席とその取り巻きが間違いなく今も夢見ている世界支配はこれまで以上に遠のくことになる。 中国の東南アジアへの政府開発融資(ODF)は、データが入手できる直近の年である2021年に再び減少した。同年のODFは39億ドル(約5630億円)相当で、最も多かった2015年の76億ドル(約1兆970億円)の半分強の水準だ。2010年以降の年平均額である55億3000ドル(約7940億円)をも下回っている。 中国に代わって他国や国際機関の存在感が増している。2015年以降、中国はこの地域最大の単独投資国として全体の25%を占めていたのが、わずか14%にまで落ち込んだ。実際、中国の
HOME > エッセー > 政治外交班 > 聖学院大学教授宮本悟氏より 南北の融和だけでは、韓国は北東アジアの中で孤立しかねない状況にあることを趣旨とするエッセイが投稿されました(エッセイはあくまで個人の見解です)」 朝鮮半島の情勢変化に対する日本の対北東アジア政策の現状と展望 Current status and visions of Japan’s policy for Northeast Asia responding to the changes in the situation of the Korean peninsula 聖学院大学政治経済学部政治経済学科 教授 宮本悟 Satoru Miyamoto 以下は、2019年1月29日に新潟の朱鷺メッセ4階マリンホールで開催された「2019北東アジア経済発展国際会議(NICE)イン新潟」の「セッションA:朝鮮半島情勢の変化と北東ア
大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を進める北朝鮮には、国連の安全保障理事会で石炭などの輸出を禁止する新たな制裁決議が採択された。河野氏は決議の確実な履行が必要と語る一方、「中国が石炭を買わないと東南アジアにその分、流れているという話もある」と指摘。そういった「抜け穴」をふさぐことが必要とした。北朝鮮と軍事演習や物品の取引を行っている国には、「北朝鮮をこのまま野放しにはできない」と働き掛けていくべきだと述べた。 河野氏は神奈川県出身の54歳。米ジョージタウン大学を卒業し、96年の衆院選で初当選。衆院外務委員長、国家公安委員長兼行政改革担当相などを歴任した。父親の河野洋平元衆院議長も外相経験者で、親子2代での就任となった。洋平氏は93年、官房長官として慰安婦問題で日本軍の関与を認める談話を出した。祖父の一郎氏も農相などを務め周辺諸国との外交に尽力した。 河野外相は今後の対中外交の場面では、「
Commentary by Phuong Nguyen Published March 17, 2016 In Southeast Asia, Japan can be said to enjoy unrivaled popularity. According to the 2015 Pew Global Attitudes survey, an average of about 80 percent of respondents surveyed across four Southeast Asian countries said they hold a favorable view of Japan. While China’s expanding military footprint in the disputed South China Sea has a headline-gra
4月7日、ベトナム国境警備隊は領海に侵入した中国漁船6隻に退去を命じた。ベトナム・フーコック島の海軍基地に停泊した沿岸警備隊と軍の艦船(後方、2014年撮影、資料写真)。(c)AFP/HOANG DINH NAM〔AFPBB News〕 米国の大手研究機関のベトナム系米国人学者がこのほど発表した論文によると、東南アジアにおいて日本の影響力拡大が広く歓迎されるようになってきているという。 同論文は、そうした日本の影響力拡大を安倍晋三首相による外交政策の成果として高く評価し、中韓両国以外のアジア諸国から安倍外交がきわめて前向きに受けとめられている実態を映し出した。 評価され歓迎されている安倍政権の外交政策 3月後半、ワシントンの大手シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のフォン・グエン研究員は、「東南アジアは日本の安倍ドクトリンの旋律に協調する」と題する論文を発表した。グエン氏はベトナ
今年(2016年)の正月早々、1月2日、中国は南沙諸島(スプラトリー諸島)のファイアリークロス礁(永暑礁)に建設していた滑走路に“民間機”を着陸させるテストフライトを行った。 それに引き続いて6日には、海南島の海口美蘭国際空港を飛び立った民間旅客機(中国政府借り上げ)2機がおよそ2時間後にファイアリークロス礁滑走路に着陸した。6日のフライトの模様は多数の写真で公開された。 中国当局によると、2日に実施した民間機着陸は、建設を完了した滑走路の強度などをテストするための文字通りのテストフライトであったという。そして6日のフライトは、地上管制塔と交信しながら旅客機が飛行場に着陸したものであり、テストフライトとは性格が違うものであるとコメントしている。要するに、フィアリークロス滑走路の運用は実質的に開始されたということなのであろう。
ひょっとするとリベラルな国際秩序の感覚とその教えこそが、中長期的には中国の不法な行動を止める大きなブレーキとなりうるかもしれません。私たちは、100年かけようと、中国の良識ある人々たちと一緒になって、その可能性にかける必要があることは間違いないでしょう。 コレヒドール島の歴史が教える南シナ海の未来 今回のマニラ訪問では、アジアの秩序をめぐる歴史についていろいろ考えさせられました。会議前日の休みを利用して、第2次世界大戦中の日米がぶつかった激戦地であるコレヒドール島を訪ねることができたからです。今ではマニラから観光船に乗って1時間半ほどでコレヒドール島に到着します。 1942年5月にフィリピンを攻略した日本軍は、米国の司令部が置かれていたコレヒドール島に総攻撃をかけます。あのダグラス・マッカーサー将軍がまさにこのコレヒドール島の駐フィリピン米軍最高指揮官であったことは有名な話です。しかし、日
今日の横浜北部はほぼ梅雨明けとも言って良いくらいの、快晴の真夏日となりました。 さて、東南アジアを歴訪している国際政治ジャーナリストのファリード・ザカリアが、オバマ政権がアジアで作った真空状態に中国が入り込んでパワーを拡大している様子を報告しております。 興味深いので久々に要約です。 === With an absent United States, China marches on by By Fareed Zakaria http://www.washingtonpost.com/opinions/outside-our-focus-china-marches-on/2015/07/02/370a3b38-20f3-11e5-84d5-eb37ee8eaa61_story.html アメリカがよそ見している間に進軍する中国 By ファリード・ザカリア ●ブッシュ前大統領がイラクへの大規
米ホワイトハウスで開かれた共同記者会見中に握手する安倍晋三首相(左)とバラク・オバマ米大統領(2015年4月28日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News〕 今回の改定は大きな意義と若干の課題を伴うものでしたが、前後編に分けて具体的にいくつかご紹介していきたいと思います。今回は、ガイドライン改定における意義について論じるものです。 大成功だった安倍首相の演説 米報道の多く、それも賛否の双方が「歴史的」と評価した安倍首相の米議会演説は、高らかに外交における自由主義の尊重、すなわち日本外交が戦後に果たしてきた役割の重要性を肯定的に謳いあげたという意味で、素晴らしいものでした。 これは、一部を除けば、演説に対する多くの批判が揚げ足取り的な「因縁」か、ポジショントークに終始し、その本質的な批判ができないでいることからも明らかでしょう。何より、上院議長たるバイデン副大統領、共和
米シンクタンク、戦略国際問題研究所が運営するオンラインサイトに掲載された南沙諸島のミスチーフ礁を捉えた衛星画像。中国の船がしゅんせつ作業中と見られる(2015年3月16日撮影)。(c)AFP/CSIS Asia Maritime Transparency Initiative/DigitalGlobe〔AFPBB News〕 2013年9月から10月初めにかけ、習近平主席が外遊先で提唱した陸の「シルクロード経済ベルト」と海の「21世紀海上シルクロード」構想は、2014年10月のAPEC非公式首脳会議で改めて「一帯一路」という中国の世界戦略として内外に喧伝されるところとなった。この戦略こそ、中国がユーラシア大陸の盟主になるために構想されたものであると言っても過言ではない。 それを実現させるためには、中国の経済成長が持続的なものでなければならないし、中国の強大化が周辺諸国を恐れさせるものであっ
中国の中長期戦略である新シルクロード構想「一帯一路」。その融資をサポートするアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立をめぐり、中国でも激論が交わされている。 学者や研究者の報告書には「中国の課題克服」をテーマにしたものが目につくようになった。その懸念の1つが「中国のやり方が参加国に受け入れられるかどうか」ということである。 領有権争いからASEAN諸国の目をそらす策略? 30億人の市場を切り開く陸上と海上の新シルクロード構想は、習近平国家主席が掲げる「中国の夢」を実現する「新しい改革開放政策」とも言われている。アジア、欧州、アフリカ大陸と周辺の海洋が舞台になるが、その核となるのが、新疆ウイグル自治区を拠点とした中国の西方の開発と、東方の南シナ海の海洋開発だ。 中国が掲げる「21世紀の海上シルクロード」とは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の海洋周辺地区の経済や貿易の活発化を目指すものだ。こ
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