■はじめに 昨日から、〈東名高速あおり運転事件〉の裁判員裁判が始まっています。この事件の概要は次のようなものでした。 被告人が、2018年6月5日夜、東名高速下り線パーキングエリアで被害者家族の夫から駐車方法を注意されて立腹し、一家4人が乗った車を乗用車で執拗に追跡し、幅寄せや被害者車両の進路に割り込んで減速するなどの「あおり運転」で行く手を塞ぎ、中央分離帯そばの追い越し車線に強制的に停車させ、その後、後続のトラックが追突事故を引き起こし、被害家族夫婦を死亡させ、同乗の娘2人に傷害を負わせた。 裁判では、被告人は事実関係について基本的に認めているようですが、検察側と弁護側の法律解釈については真っ向から対立しています。そこで、問題となっている法律の解釈について、改めて考えてみたいと思います。 ■被告人を〈危険運転致死傷罪〉に問えるのか*強制停車行為は「危険運転」か 危険運転致死傷罪とは、平成