第1部第4章判事補のニセ電話事件(2)-「やらせ」てしまってよいか 公職選挙法90条 “公務員たることを辞したるものとみなす” ここまでで鬼頭判事補の刑事裁判まで紹介しましたが、話はその少し前に戻ります。国会の裁判官訴追委員会が鬼頭判事補罷免の訴追を決定し、これを受けて77年(昭和52年)2月から国会の弾劾裁判が始まっていました。鬼頭判事補はたまたま、裁判官としての最初の10年の任期がこの年の4月6日に切れることになっていましたが、問題はそれまでに弾劾裁判の罷免判決が間に合うかどうかにありました。 というのは、鬼頭判事補としては、罷免されると法曹資格を失い、弁護士にもなれなくなるので、自分の方から裁判官を辞任して罷免判決を免れたいのです。しかし罷免訴追が決定した後は辞任できないと法律で決められていますので、辞任するには罷免判決が出ないうちに任期切れを迎えるしか方法がありません。しかしこれは