戦後日本の美術家たちによる、天皇をモチーフにした表現の数々。 芸術を支える制度と真実を求める政治的表現の衝突。日本社会における、一木一草に宿るという天皇制。その中にあって、制度を凝視し、議論を喚起する「天皇アート」の作品を論じる。 <目次> 序章 天皇制という分水嶺 社会の名で、いま日本で起きていること 忌避すべき政治性の真髄、天皇表現 第1章 一九四五以前の天皇アートの変遷と社会背景 歴代の帝肖像画/幕末諷刺画/キヨッソーネ/明治期錦絵(月岡芳年)/ 明治神宮聖徳記念絵画館&神宮徴古館/本多錦吉郎/宮武外骨 第2章 敗戦直後に開花したポリティカルアート 池田龍雄/桂川寛 第3章 戦争体験への熟考から生まれたもの 山下菊二/丸木位里・俊 第4章 見えない制度をめぐる表現 高松次郎/今泉省彦/赤瀬川原平/貝原浩/向井孝/内海信彦/新潟現代美術家集団GUN(前山忠・堀川紀夫)/小池一誠(幻触)