【第1部】はこちら 【第2部】はこちら 歌人として語り継ぐ 満州国の設立に関わり、戦後、A級戦犯として処刑された陸軍大将の土肥原賢二。その孫の佐伯裕子氏(68歳)は歌人という道を選んだ。戦争犯罪者の家族として苦悩してきた父・実氏を見続けてきて、家族だけが知るその姿を歌に残したいと思ったからだ。 「祖父が処刑される前に残した『何も弁解するな。どんなことでも受け入れなさい』という言葉を幼いころから母に教えられてきました。私が最初に出した歌集のテーマは『沈黙』。歌を書くときに、なるべくありのままを受け入れるという姿勢は祖父の言葉に影響を受けたからです」(佐伯氏) 太平洋戦争末期、牛島満大将は、沖縄戦で日本軍を指揮し、5倍以上の戦力差があるアメリカ軍に対し徹底抗戦を貫いた。牛島は温厚な性格で知られ、陸軍士官学校長なども歴任、軍人というだけでなく優れた教育者でもあった。その牛島の孫である貞満氏(61