戦後、村社会の崩壊とともに、檀家制度からの離脱者が急増した。そうした人々の受け皿となって目覚ましい成長を遂げた新興仏教教団も、いまやかつての勢いはみられない。しかしこうした「組織」の衰退の流れとは逆行して、仏教に心のよりどころを求める人は増えるのではないか。 檀家制度の崩壊による打撃 1945年、日本が第2次世界大戦で無条件降伏した時、日本仏教の諸宗派も、国家神道という共通の基盤を失って混乱状態に陥った。現実の権力者である天皇を自分たちの教義に組み込んでいた仏教各宗派は、その教義を全面的に放棄せざるを得ない状況に追い込まれて政治的な影響力を失っていった。同時に、戦後の農地改革によって小作農が自立していくにつれ、地主として収益を得ていた寺院も大きな打撃を受けた。日本の仏教界は、江戸時代からの檀家制度による布施だけを頼りにして生きていかざるを得なくなったのである。 しかし戦後、さまざまな要因に