日本の国民食にして海外での人気も高いラーメンは、実は中国から伝来して100年余りに過ぎない新しい食文化だ。新シリーズのプロローグでは、進化の過程で多彩なバリエーションを生み、ついにはミシュランに認められるグルメとなったラーメンの定義と歴史を解説する。 港町を中心に広まった「中華そば」 すし、天ぷら、とんかつ......世界でも人気の多彩な食文化が根付いている日本において、ラーメンほど多様な広がりを見せているジャンルはない。だが、その歴史は意外にも浅く、伝来以来わずか100年余りに過ぎない。にもかかわらず、すでに世界に通用する日本発の食文化として認知されている。まずは、日常的過ぎて日本人ですら意識していない、ラーメンの定義と歴史について考察したい。 ラーメンの起源は諸説あるものの、一般的には明治時代(1868~1912年)末期から大正時代(1912~26年)にかけて、中国の福建省や広東省から