東京都中野区の地域新聞で、91歳の記者が現役で活躍している。地元の話題を伝える「週刊とうきょう」の涌井友子記者は、創刊した夫の遺志を継ぎ40年。4人の娘を育てながら新聞を作り続け、地元で「母ちゃん記者」と慕われる。ここ数年、再開発で大きく変わる中野を見続けようと、今日もペンとカメラとつえを手に街を歩く。 七月中旬、中野区役所での区長会見。花模様のつえを手にした小柄な涌井さんが会見場に現れた。顔なじみの区職員らと世間話をして記者席に座った。会見後、酒井直人区長との懇話会では、二十〜三十代の記者らと区内の情勢について意見を交わした。 涌井さんは「週刊とうきょう」の主幹で編集発行人。同紙は、地域紙記者だった夫の啓権(ひろのり)さんが独立し、一九七四年創刊した。「週刊」だが、当初から現在まで月二回発行。中野以外も広く取材できるよう「とうきょう」としたという。現在の発行部数は約三千部。タブロイド判二