半世紀前の1971年8月15日、ニクソン米大統領がテレビ演説で「金とドルの交換停止」を発表した。金1トロイオンス=35ドルだった不動のドルに、各国通貨が決まった固定レートで結び付けられた戦後の国際通貨制度「ブレトン・ウッズ体制」が崩壊し、変動相場制への道が開かれた。 策士ニクソンの賭け 日本では「ニクソン・ショック」と呼ばれたこの発表は、米国内の物価・賃金の凍結令や10%の輸入課徴金の創設とパッケージだった。 ベトナム戦争の戦費がかさみ「大砲も、バターも」路線が行き詰まった。インフレと失業の増加、対外的には国際収支の赤字山積で、ドルの信認が揺らいでいた。一発逆転を狙った策士ニクソンの賭けだった。 数カ月前から欧州の通貨市場でドルが売られ、投機筋の標的とされた「強い通貨」ドイツ・マルクなどはフロート(変動相場)に移行していた。日本政府は、22年続いた 1ドル=360円の固定レートを死守する構