眠っていた。長らく。青空のもと、列車の窓から差し込む7月の強い日差しを背に受けながら、でもそれはじりじりと暑いわけでもなく、もともと気温がさほど高くない日に、列車内に冷房も入っていたから、中和されてちょうどいいくらいだった。眠るにはまさにうってつけだった。車掌が放送でまもなく終点の村上ですという。目覚めたときはもう終着だった。昭和の気動車が惰性走行で駅構内に侵入していく。エンジンはアイドリングしたきりで、がらがらがらがらと低回転でまわっている。それがやかましいわけじゃないのだけど、ほかのいろいろな音と混じり合って全体的にうるさくて、乗り換えの案内を告げる車掌の声はよく聞き取れなかった。もっとも僕にとってそれは重要な放送じゃない。終着の村上で降りるのだから。列車は車体を左右に揺らしながら転線し、到着ホームの線路に入る。僕は少しずつ目を開けていく。──寝足りない、もう少し寝ていたい。そうだ、今