<「国家による毒殺」という衝撃の事件を描いたドラマ『リトビネンコ暗殺』。主演俳優が語るその意味と、「正しく」伝えることの責任> 興味をそそられるだけでなく、引き受けるべき重大な挑戦でもあった。アレクサンドル(愛称サーシャ)・リトビネンコが「決して口封じされない」ために――。 ドラマ『リトビネンコ暗殺』(スターチャンネルEXで独占配信中)でリトビネンコを演じたことについて、イギリス人俳優デービッド・テナントは本誌にそう語る。 旧ソ連の情報機関KGB、およびロシア連邦保安局(FSB)の元職員で、イギリスに亡命したリトビネンコに突然、異変が起きたのは2006年11月1日。毒を盛られたのだと、彼は察知した。それだけではない。差し迫る自分の死は、ロシア政府の承認によるものだということも。 自らの死後に捜査が行われるよう、リトビネンコはロンドン警視庁に連絡を取った。 投与された毒物は放射性物質ポロニウ