コロナ対策において、「行動制限」は費用対効果が低いと指摘されながらも、何度も繰り返された。高齢者のゼロリスクのために、生産年齢人口に相当する世代が大いに割を食ったと筆者は指摘する。コロナ禍で覆い隠された「少子高齢化社会」「ウェルビーイング」の問題に改めて向き合う(この記事の前編は、こちらのリンク先からお読みいただけます) 費用対効果の低かった「行動制限」 「世代間の公平性」の問題を考える上で有益と思われる本を紹介しておきたい。ちょうどコロナ下の最初の年、2020年度にゼミ生たちとアメリカの法学者・サンスティーンの『恐怖の法則』という本を読んだ。この本はリスクに対する政策のあり方を論じたもので、ゼロリスクを志向する「予防原則」は必ず立ちゆかなくなるものなので、リスクを計算してバランスを取る「費用便益分析」の考え方を採用することの重要性を説いている。この本自体はパンデミックを主対象としたもので