天文学的超超長期の未来 だから長期主義とは、端的に「人類銀河宇宙進出未来主義」とでも言ったほうがわかりやすいくらいの時空スケールなのだ。長期主義は、遠い未来、全宇宙に広がる新たなデジタル人類の繁栄こそを願い、その実現のためになら、人類が抱える、今、目の間にある様々な社会問題の解決が劣後しても構わないという、一種のSF脳の産物である。つまり、太陽が爆発した後、系外宇宙に進出(避難)した、現生人類の末裔である超人類=デジタル人類の将来こそを憂える思想=物語である。はるか彼方の宇宙を植民してまわる超未来のデジタル人類の話。グレッグ・イーガンのSFである『ディアスポラ』の世界だ。 そのような超未来での損失の可能性と、現代の不具合の可能性を平然と比較衡量し、その結果によって、現在の不都合な事態を見過ごすことも厭わないのが長期主義の立場である。イーロン・マスクのようなシリコンバレーの起業家や投資家の中