『センスの哲学』(文藝春秋)は、気鋭の哲学者・作家の千葉雅也氏によるまったく新しい視点の芸術入門書だ。本書で登場する「センス」と「リズム」の関連とは?「芸術と生活をつなげる感覚」とは?著者インタビューをお送りしよう。 新しい芸術入門書 ―本書はまず、「芸術と生活をつなげる感覚を伝える」ことに主眼があると説明されます。こうした試みはどこからスタートされたのでしょうか。 試みをスタートさせたというよりは、僕が成長する過程で持つようになった芸術への感触を、素直に文字に起こしたという感じですね。もともと芸術を味わうことは、「食べ物を味わう」ようなことだという感覚が自分のなかにあり、その思いをいつかは、さまざまな芸術論や哲学などを援用して文章にしたいと感じていたんです。 ただ、それを20代や30代でやろうとしていたら、恐らくは論文調の硬いものになったでしょうし、より柔らかく昇華させて、いろんな人に届